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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

豪ドル/米ドルや豪ドル/円の押し目買いで!
ウクライナ情勢で核の恐怖が現実的なものと
なり、資金は「北半球から南半球」へ

2022年02月28日(月)15:20公開 (2022年02月28日(月)15:20更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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ロシアがウクライナへ侵攻、SWIFT排除の影響は

先週とは状況が一変しましたね。


木曜日(2月24日)に、ロシアがウクライナへ侵攻しました。


被害が最小限で済むことをお祈りしたいと思います。

【参考記事】
米ドル/円と豪ドル/円の戻り売りを継続。リスクオフの根底にあるのは米国の金融政策、利上げを嫌気して株式市場は調整へ(2月21日、西原宏一&大橋ひろこ)

おっしゃるとおりですね。


事前に想定されていたのは、ロシアが独立を承認したルガンスクとドネツクの2州への侵攻でした。


ところが、ロシア軍は首都キエフを含むウクライナ全土へ攻め込んでいます。


この段階で、ロシアへの経済制裁も相当厳しいものになるだろうな、と予想できました。

週末には、ロシアのSWIFT(国際銀行間通信協会※)排除で主要国が合意しました。

(※編集部注:SWIFT(国際銀行間通信協会)とは、国境を越えた迅速な送金・決済を可能にし、国際貿易を円滑に行うためのシステムのこと。事実上の送金の国際標準で、SWIFTから排除されれば国際送金ができなくなる)

ロシアが本当にSWIFTから排除されれば、仮にウクライナを制圧したとしても、今後のロシア経済は非常に厳しくなります。

WTI原油100ドル到達とイラン産原油

天然ガスや原油などの資源をロシアに頼っていた欧州には、エネルギー政策上、大きなリスクとなりますね。

タカ派スタンスへ転換したばかりのECB(欧州中央銀行)ですが、利上げが遠のいた印象です。

コモディティ市場では、ロシア侵攻の日にWTI原油が100ドルへ到達しましたが、翌日には利食い売りに押されるなどして、91ドルを割れる場面もありました。


ボラティリティが非常に高まっています。


3月2日(水)はOPECプラス(※)閣僚級会合ですが、ロシアが参加するかどうかも微妙ですし、増産余力も限られています。


それよりも、イラン核合意の再建交渉に注目です。

(※編集部注:「OPECプラス」とは、OPEC(石油輸出国機構)にOPEC非加盟の主要産油国を加えた枠組みのこと)

WTI原油先物 日足
WTI原油先物 日足チャート

(出所:TradingView

イラン産原油の輸出が再開されれば、エネルギー高騰の抑制になるということですね。

ただ、ロシアを追い詰めすぎると、核のボタンを押されるリスクも高まります。


SWIFTから排除したとしても、第3国を経由した輸出などの「抜け道」を完全にはふさがないだろうという見方もあります。

「有事の金」とロシア中銀の売却リスク

経済制裁の一環として、ロシア中銀への取引制限も検討されています。


ロシア中銀はゴールドを大量に保有していますね。

暴落したロシアルーブルの防衛資金を捻出するために、制裁発動前にゴールドをキャッシュ化するのではとの思惑が出るかもしれませんね。


「有事の金」とは限らないので、要注意です。

今日(2月28日)午後には、ロシアとウクライナの停戦協議が開催される予定。


交渉の行方で情勢が大きく変わりますし、今夜のニューヨーク勢の反応も見たいところですね。


SWIFT排除の件も、ある程度は織り込み済みだろうとは思うのですが。

金融引き締めも控えていますし、バイ・ザ・ファクトの買いがどこまで続くか、ですね。


金融政策に目を向けると、3月16日(水)FOMC(米連邦公開市場委員会)での0.5%利上げ織り込みは、急速に低下しています。

さすがに3月の利上げは0.25%にとどまるのでしょうし、「年内毎回利上げ」の可能性も遠のきました。


インフレをなぜ放置したのかと責任を問われていたパウエルFRB議長にとっては、幸運と言えるかもしれません。


「地政学リスクに備えていたのだ」との大義名分ができたからです。

「南半球シフト」でオセアニア通貨は上昇へ

明日、3月1日(火)は豪州の金融政策発表ですが、この情勢では動けませんね。

利上げはもちろんないでしょうし、タカ派的なことも言いづらい。


ただし、核の恐怖が現実的なものとなり、「北半球から南半球へ」という資金のシフトが起きつつあります

たしかに、豪ドルやニュージーランドドルは底堅いですね。

ナスダック総合指数は年初から20%落ちているのですが、豪ドル/円は1円弱しか下がっていません


ロシア侵攻がゲームチェンジとなり、南半球のオセアニア通貨が買われるのでないかと想定しています。

ナスダック総合指数 日足
ナスダック総合指数 日足チャート

(出所:TradingView

今週の戦略を伺いたいところですが、情勢は目まぐるしく変わっています。


停戦交渉や今日のニューヨーク市場を見てからの判断でもよさそうですね。

現時点の材料から考えるなら、先週とはスタンスを変えて、豪ドル/米ドル、あるいは豪ドル/円の押し目買いがいいのではないでしょうか。

【参考記事】
米ドル/円と豪ドル/円の戻り売りを継続。リスクオフの根底にあるのは米国の金融政策、利上げを嫌気して株式市場は調整へ(2月21日、西原宏一&大橋ひろこ)

豪ドル/米ドル 日足
豪ドル/米ドル 日足チャート

(出所:TradingView

豪ドル/円 日足
豪ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

(構成/ミドルマン・高城泰)

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