パニック的な円売り殺到で、米ドル/円は黒田シーリングの125円台へ急騰。豪ドル/円も95円に迫る展開に
みなさん、こんにちは。
今週(3月28日~)は月曜日にパニック的な円売りが殺到して、米ドル/円は一時、125.09円まで急騰しました。
(出所:TradinView)
当コラムで100円をターゲットにしている豪ドル/円も、一気に節目となる95.00円に迫る94.31円まで急騰しました。
【参考記事】
●円安の本命は豪ドル/円! わずか2カ月半で10円以上も急騰した豪ドル/円は、100円がターゲットに。米ドル/円は、125円へ(3月23日、西原宏一)
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米ドル/円は黒田シーリング到達後に反落。ユーロ/豪ドルはダブルボトムを形成
米ドル/円は「黒田シーリング(※)の125円台」に到達しましたので、年初からひとつの節目となりそうな、3月28日(月)までの主要通貨の騰落率を確認してみましょう。
(※編集部注:2015年夏、日銀の量的・質的金融緩和で円安政策が推進された時の米ドル/円のピーク水準のこと。黒田日銀総裁が「実質実効為替レートではこれ以上の円安は想定し難い」と発言したことから「黒田シーリング」と呼ばれている)
(※筆者提供のデータを参考にメルマガ部作成)
年初から対米ドルでもっとも値を上げているのは豪ドル。そして、もっとも値を下げているのは円であり、豪ドル/円の買いが際立っています。
その豪ドル/円の急騰をサポートした米ドル/円は、3月28日(月)に「黒田シーリング」と呼ばれる125円台をつけて急速に失速。米ドル/円の高値は125.09円になります。
(出所:TradinView)
そして、豪ドルを持ち上げた通貨ペアであるユーロ/豪ドルですが、3月28日(月)に1.4536豪ドルと年初来安値を更新して反発。3月7日(月)につけた1.4564豪ドルの安値と相まってダブルボトムを形成しています。
(出所:TradinView)
豪ドル/円も高値を形成したのが3月28日(月)。つまり、これまで注目されて大きな動きを見せてきた、米ドル/円、豪ドル/円が高値、ユーロ/豪ドルが安値をいったんつけたわけです。
米ドル/円が一気に125.00円を突破したことで、多くのマーケット参加者の利益確定が遅れた
では、改めて注目通貨ペアをもう一度見直してみましょう。
今週(3月28日~)月曜日の動きを振り返ってみると、米ドル/円を豪快に押し上げたのが123.50円のオプションに絡む動きでした。
先週(3月21日~)マーケットでウワサされたのが、1カ月物のオプションが巨額に買われたことでした。
そのため、今週(3月28日~)、米ドル/円が123.50円まで上昇することは、マーケット参加者の想定内だったといえるのですが、月曜日のマーケットで125.00円に置いてあったバリア・オプションまで一気にブレイクしてしまったので、筆者も含め、多くのマーケット参加者が翻弄された展開となっています。つまり、利益確定が遅れたということです。
(※編集部注:「バリア・オプション」とは、原資産の価格(レート)が一定の価格に達するか否かで、権利が発生したり消滅したりするオプションのこと)
【参考記事】
●【西原宏一が教える FXトレード戦略超入門】オプションを知れば節目がわかる!
●円安の本命は豪ドル/円! わずか2カ月半で10円以上も急騰した豪ドル/円は、100円がターゲットに。米ドル/円は、125円へ(3月23日、西原宏一)
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米ドル/円は123.50円以上は重くなる可能性。高値追いはせずに、十分に押し目を待つ必要がありそう
具体的にいえば、オプションが大量に買われた123.50円レベルと、黒田シーリングの125円レベルではきっちり利益確定の売りを出し、下がれば再びロングを構築するというのが米ドル/円に対して強気のトレーダーの基本的なスタンスでした。
ところが、日銀の指値オペという報道が米ドル/円を一気に125.09円まで急騰させたため、125円どころか124円台でもきっちり利益確定できないままとなりました。
そのため、123円台後半から124.00円台で慌てて利益確定に出たという展開になっています(少なくとも筆者はそうでした…)。
(出所:TradinView)
一方、123.50円のドルコール・オプションを持っている参加者にすれば、一気にイン・ザ・マネー(※)になったため、123.50円以上の水準では断続的に米ドルショートを構築できたはず。
(※編集部注:「イン・ザ・マネー」とは、オプション取引において、オプション取引の権利を持っている所有者が権利行使した場合、利益が出る状態のこと)
結果、123.50円以上のレベルでは、かなりの米ドル売りがマーケットに投下されたことが想定されます。
そして、この123.50円のオプションをロング(買い)にしているプレイヤーへの影響は大きく、3月30日(水)のように、米ドル/円が急落すれば、彼らは123.50円以上で構築した米ドル/円のショート(売り)を買い戻すことができます。
そして、再び米ドル/円が123.50円以上になれば売り直すことができます。
つまり、当面123.50円以上はまとまった米ドル売り注文がオプション市場から投入されることになるため、米ドル/円は123.50円以上は重くなる公算が高まっています。
結果、米ドル/円は高値追いをせず、十分押し目を待つ必要があると想定してます。
ヘッジファンドはユーロの買い場をじっくり狙う。ユーロ/豪ドルの反発が、ユーロ/米ドル、ユーロ/円の動きを活発化させるか
一方、ダブルボトムを形成し反発に転じているユーロ/豪ドルの動向から考えると、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)のロング(買い)では、豪ドル/円よりユーロ/円を選択するほうがワークする可能性が高まります。
(出所:TradinView)
そして、注目はユーロ/米ドル。
ユーロ/米ドルに関しては、当コラムで何度か取り上げているように、友人のヘッジファンドなどは買い場をじっくり狙っています(彼らがユーロに対して強気なのは【参考記事】を参照してください)。
【参考記事】
●ユーロ/米ドルの1.08ドル台は、絶好の買いチャンスだった。豪ドル/米ドルは0.75ドル付近を上抜ければ、0.80ドルを目指す展開へ(3月10日、西原宏一)
彼らがユーロ買いに出た1.08ドル台ですが、その後なかなか1.08ドル台まで値を下げず本稿執筆時点では1.1170ドル水準まで反発しています。
(出所:TradinView)
加えて、米ドル/円同様、ユーロ/米ドルも注目は1.1000ドルのオプションです。本稿執筆時点では、1.1000ドルのオプションはかなりの金額が残っていると想定されるため、1.1000ドル以下のレベルでは、オプション市場からまとまったユーロ買いが投入されると考えています。
結果、ユーロ/米ドルのダウンサイドリスクは徐々に限定的となり、ユーロ/豪ドルの反発とともに、ユーロ/米ドル、ユーロ/円の動きが活発化する公算が高まっています。
1.1000ドルレベルで底固めを形成し反発に転じているユーロ/米ドル、そしてユーロ/円の動向に注目です。
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