米ドル/円は米10年債利回りと極めて高い相関が継続。米ドル/円の130円超えは5月FOMC前後を想定していた
みなさん、こんにちは。
前回のコラムでご紹介させていただいたとおり、米10年債利回りと米ドル/円の相関性は極めて高いままで、米ドル/円の行方を左右するのは米10年債利回りの動向といえる状況が続いていました。以下は、米10年債利回りの日足チャートです。
【参考記事】
●米ドル/円は、米10年債利回りが3%を突破するタイミングで130円へ! 米10年債利回りが3.5%になれば、135円へ向かう展開へ(4月21日、西原宏一)
(出所:TradingView)
FRB(米連邦準備制度理事会)の連続利上げ予測を背景に、米10年債利回りは上昇を続け、4月20日(水)に2.9770%の高値をつけてからは、いったん反落。4月27日(水)に2.7710%の安値をつけると、本稿執筆時点では2.8280%レベルに反発して推移しています。
次は、米ドル/円の日足チャートです。
(出所:TradingView)
高値である129.40円をつけたのが、米10年債利回りが高値をつけたのと同日の4月20日(水)。
その後、米10年債利回りが安値をつけた日である4月27日(水)に126.95円の安値をつけました。そして、米10年債利回りの反発につれて、米ドル/円も反発し、4月28日(木)午前中の東京市場までは128.70円水準での高値圏で推移しました。
結果、前述のように3月からの米ドル/円は、米10年債利回りに極めて高い影響を受ける状態が続いていました。そのため、米ドル/円が130円を超えてくるのは、5月4日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)前後ではないかと個人的には想定していました。
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日銀が毎営業日の指し値オペを発表。米10年債利回りの上昇を待たずに、米ドル/円が走り出したきっかけに
ところが、この相関を大きく変えるであろう報道が本日(4月28日)ありました。
それは、日銀による毎営業日の指し値オペの発表です。
本稿執筆時点の米10年債利回りは2.83%。ところが、本日(4月28日)の米ドル/円は一時130.00円を突破し、前回の高値を超えて急騰しています。
(出所:TradingView)
これまでの両者の相関性から考えれば、米ドル/円はまだ128円台であるはずでしたが、日銀による毎営業日の指し値オペという発表により、相関性を大きく変えることになったわけです。
日銀、指し値オペ毎営業日実施へ
出所:日経新聞
急激な円安に対する懸念も高まっている中、「徹底的に金利上昇を阻止する」という明確なスタンスを、多くのマーケット参加者に印象づけたことになります。
つまり、急激な円安に当局が警戒感を示しているにも関わらず、日銀は(見方によれば)円安誘導ともとれる金融政策を継続したことになるわけです。
これが、米ドル/円と米10年債利回りの高い相関性を切り離すこととなり、米10年債利回りの3.00%超えを待たず、米ドル/円が130円を超えて走り出したきっかけになっています。
(出所:TradingView)
米ドル/円は140円に向けて続伸。次の注目材料は5月3日~4日のFOMC
先日まで、為替介入に関する報道があったのはなんだったのか(?)と言いたくなる日銀の毎営業日指し値オペの発表。
そして、米10年債利回り次第といわれるほど高い相関を維持してきた、米10年債利回りと米ドル/円。
しかし今回は、米10年債利回りが3.00%を超えるのを待たずに、米ドル/円が130円を突破してきました。
今週(4月25日~)のように、米国株が急落する局面では、「米金利低下=米ドル/円下落」という高い相関性の中、米ドル/円が反落する局面もあるでしょうが、日銀の毎営業日指値オペの発表により、もうひとつ円安要因が加わった展開。
日銀の毎営業日指し値オペの発表、さらに5月4日(水)のFOMCの発表を控え、140円に向けて続伸する米ドル/円の動向に注目です。
(出所:TradingView)
※次回のコラムは5月12日(木)の予定となります。
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