日銀のYCCレンジ幅拡大に注目。拡大されれば円高、現状維持なら円安に推移することになりそう
米ドル/円は130円を目前に調整する動きとなっています。
129.40円まで上昇し、4月22日(金)に再度129.10円まで上昇したものの、129円台での滞空時間は短く、128円台での推移が多くなっています。
129円台に定着できない動きが続いているため、まだ調整しやすいように見えます。
(出所:TradingView)
今週(4月25日~)の注目イベントは、日銀金融政策決定会合になります。
現在のYCC(イールドカーブ・コントロール)(※)は±0.25%のレンジ幅で推移することになっていますが、市場参加者にはこれを拡大するのではないか、という予想が出ています。
これが拡大されると、金融緩和を緩めることになるため、円高に推移することになります。
(※編集部注:「イールド・カーブコントロール」とは、長期金利と短期金利の誘導目標を操作して、イールドカーブを適切な水準に維持すること)
ただ黒田総裁は金融緩和策を根気よく継続すると発言しているため、金融政策が現状維持となれば円安に推移することになります。
今回の日銀金融政策決定会合は、市場参加者にはYCCが拡大されるとの予想もあるため、荒れることが考えられます。
5月4日のFOMCでは0.50%の利上げがほぼ確実。金融引き締め加速で株式市場は軟調になりやすいか
来週(5月2日~)はゴールデンウィークになるため、本コラムはお休みとなります。
その間にはFOMCも開催されるため、こちらも記載しておきます。
FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は先週(4月18日~)に0.50%の利上げの可能性に言及したこともあり、5月4日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、0.50%の利上げがほぼ確実です。
そして、次回以降も大幅利上げが連続する見通しとなります。
9兆ドルのバランスシートの縮小計画も発表されることになり、前回よりも2倍のペースになることが予想されています。
金融引き締めを急ぐことから、株式市場は軟調になりやすいと思います。
(出所:TradingView)
さらに、セル・イン・メイの季節性も入るため、しばらくはリスク回避の動きになりやすい状況が続くことになります。
為替市場はリスク回避で米ドル高か。ただ、米ドル/円が下降トレンドになるようなことは考えにくい
NYダウなどは弱くなりやすいため、為替市場としてはリスク回避で米ドル高が考えられます。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
リスク回避の場合、通常は円高もセットになりやすいですが、直近ではその動きになっているものの、米ドル/円の下げは限定的ではないかと思います。
米ドル/円は下がれば買いたいと考えている人が多く、買い遅れている実需もあると聞きます。
現在は127円台で買いが出ているようです。まだ下がる可能性があると思いますが、下降トレンドになるようなことは考えにくいと思います。
(出所:TradingView)
ユーロ/米ドルは週足だと下げ余地は少ないが、1時間足からはまだ下がる可能性があるような動きに
米ドル高になるため、ユーロは軟調になりやすいと思いますが、ただユーロ/米ドルは週足のレンジ下限は1.03~1.04ドルになります。
【参考記事】
●米ドル/円は、重要なサポートを下回るまで買いを継続。ユーロ/豪ドルは1.36豪ドル、豪ドル/米ドルは0.78ドルがターゲット(4月19日、バカラ村)
ここを下抜けるのはまだ無理だと思いますので、下げ余地は少ないことになります。
(出所:TradingView)
レジスタンスとしては、1.0950ドルがサポートからレジスタンスに変わっています。
そして1時間足では、1.0760ドルがサポートからレジスタンスに切り替わっています。こちらのレジスタンスは強いとは言えないため、越える可能性はあると思いますが、すでに1.0696ドルまで下がってきました。
週足を見ると下値余地は少ないものの、1.0950ドルが超えることができず、チャートからはサポートがレジスタンスに変わっているため、まだ下がる可能性があるような動きです。
英ポンド/米ドルや豪ドル/米ドルなど、米ドル/円以外のドルストレートで米ドル買いを考えるときか
英ポンド/米ドルも3月から約1カ月半ほど1.3000ドルがサポートされていましたが、ディセンディングトライアングル(※)を形成し下抜けてきました。
(※編集部注:「ディセンディングトライアングル」では、下限ラインが水平で、上限ラインが下降している。ブレイクした後は一段の下落するケースが多くなる)
(出所:TradingView)
リスク回避のため、豪ドル/米ドルも軟調に推移しており、0.7135ドルまで下がってきています。
(出所:TradingView)
FRBの金融政策や季節性から、NYダウなどが弱くなる可能性は高いと思います。
金融市場全体であれば、米国株を戻り売りするのがわかりやすいと思いますが、為替市場で考えるのであれば、米ドル買いをするのが無難なトレードだと思います。
したがって英ポンド/米ドルや豪ドル/米ドルなど、米ドル/円以外のドルストレートで米ドル買いを考えるときではないかと思います。
(※次回のコラムは5月10日(火)の予定となります。)
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