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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

米ドル/円は買いから入る以外に選択肢は
なく、トレンドが続く限りはフォローする
しかない。ポジショントークは聞き流せ!

2022年05月06日(金)17:47公開 (2022年05月06日(金)17:47更新)
陳満咲杜

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マーケットは荒れているが、米大幅利上げがもたらした「後遺症」があった方がむしろ正常

 マーケットは荒れている。5月5日(木)未明、予想どおりのFOMC(米公開市場委員会)の結果を受けて米株が急騰、ドルインデックスは反落したが、昨日(5月5日)は一転、米株急落、ドルインデックスは切り返してきた。

NYダウ 日足
NYダウ 日足チャート

(出所:TradingView

ドルインデックス 日足
ドルインデックス 日足チャート

(出所:TradingView

 昨日(5月5日)は、NYダウが一時1000ドル急落するほど、極めてボラティリティが高かったが、結局、行って来いの相場となり、株価や為替水準はと言えば、FOMC前とあまり変わらなかった

 FOMC直後の米株の急騰は、FRB(米連邦準備制度理事会)議長さんが次回大幅利上げの可能性を否定したからだと言われ、昨日(5月5日)の急落は、FOMC声明文やFRB議長さんの発言をもう1回確認してみると、買う材料がなかったからなどと解釈されている。

 結論から言えば、すべて後付けなので、聞き流してよいと思う。

 なにしろ、そもそもFRB議長さんの大幅利上げ否定の中身と言えば、0.75%利上げといった過激予想の否定であって、このような予測自体、大袈裟で現実的ではないものだった。

 利上げ継続、またインフレ退治のスタンスが強調される今回のFOMC声明文自体も、まったくと言っていいほど事前予想のとおりだったから、今さら「買い材料が見つからない」と言うのも滑稽である。

 いずれにせよ、米大幅利上げがもたらした「後遺症」があった方がむしろ正常なので、無理な解釈はいらない。

 というのも、今回の0.5%の利上げは、FRBにしてみれば22年ぶりであり、さらに大規模なQT(資産圧縮)を伴うから、「後遺症」がない方がおかしい。

 したがって、これぐらいの波乱があっても、実はサプライズではなく、むしろ当然の成り行きではないかと思う。

猫も杓子もショックを予想しているうちはショックは起こらない

 ボラティリティの高まりが想定されやすいから、波乱はあってもむしろ想定内と言うなら、株価の絶対水準のほうがより重要なはずだ。

 確かにマーケットは大きく揺れているが、水準的に言えば、FOMC直前まで戻っただけなので、危機的な状況というのは早いとうか、危機がくるとは限らないと思う。

 前述のように、22年ぶりの大幅利上げに踏み切ったFRBが、これからも利上げを継続していくので、リーマンショックを超える危機がくるといったあおり文句に動揺させられても仕方がないと思うが、巷では猫も杓子も同じことを言っているから、逆にそうなるとは限らないと思うわけだ。

 理屈はシンプルだ。今、騒いでいる者たちが、昔、リーマンショックを予想できただろうか。あるいは、2020年コロナショック後の相場の流れを予想できたのだろうか。

 結果的に事前予想どころか、発生当時でも現状認識ができなかった者が圧倒的に多かったにもかかわらず、なぜ今、皆が予想できると自信を持てるのか。それに尽きる。

 つまるところ、猫も杓子もショックを予想しているうちは、ショックなんかは来ないか、発生してもショックではなくなる

 相場はいつも大衆の意表を突く習性を有するから、巷の「正論」と距離を置いた方が無難だ。

128円台後半のサポートがしっかり確認されている米ドル/円、エントリーはロングしかない

 とはいえ、相場の逆張りはお勧めできない。米株の反落が、今、確認されているということだけで、押し目買いを積極的に行う理由もない。言ってみれば、今だからこそ、大まかな流れを把握し、丁寧なトレンド・フォローを行う時期である。

 要するに憶測をせず、慎重なスタンスをもって順張りするしかない。米ドル/円で言えば、128円台後半のサポートがしっかり確認されているから、エントリーならロングしかない

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足チャート

(出所:TradingView

 そして上値の方は、現時点であれこれ考えても適切でない可能性があるから、ブル(上昇)トレンドが続く限り、フォローしていくしかない。

 確かに円が「売られすぎ」かもしれないが、米ドル全面高を背景とした米ドル買いの側面を考えると、目先、上値ターゲットを自ら限定してしまうと、結局、「憶測」の可能性が高いから、トレンドが許す限り、米ドル買い・円売りを実行していくしかない。

円安はメイントレンドなのでフォローしていくしかないが、円安をあおる論調は聞き流した方が無難

 反面、あくまでトレンド・フォローの視点においてそう言っているのであって、ウォール街を中心に、最近もっぱら円安をあおる論調とは一線を画したい。

 140円を超えれば、日本政府が十何兆円規模の資金をもって介入してくるとか、150円、160円まで円安が進むとか、ウォール街の面々が「節操なし」にあおっているようにみえる。

 「節操なし」という言葉は失礼かもしれないが、適切だと思うから、使わせていただく。言いたいのは、彼らのポジショントークは聞き流した方が無難であるということだ。

 相場のことは相場に聞く。相場の流れを見ればわかるように、確かに米ドル全面高が続いているが、主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)はメイントレンド、すなわち円安の方向を維持しており、トレンド・フォローの視点における円売りが健在だ。

世界の通貨VS円 日足
世界の通貨VS円 日足チャート

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足

 英利上げ後、英ポンドの急落があって、英ポンド/円の反落幅が目先、拡大しているが、それにしても大まかな円安基調を保っているから、基本的な見方は変わらない。

 いろいろ言ってきたが、要するにFOMCの波乱があっても、これから米雇用統計を含め、いろんな不確実性があっても、円安は相場のメイントレンドとして一番フォローしやすく、また安心感があるから、フォローしていくしかない。

 シンプル・イズ・ザ・ベスト。博学の方が、大体、相場下手であると言われるが、その原因のほとんどがシンプルに相場の流れに便乗する能力を失ってしまったからだと思う。博学であるからこそ、いろいろ自分勝手な「知恵」が湧き出し、かえってトレードの邪魔になるからだ。

 まだGW中なので、今回はこのあたりで失礼する。市況はいかに。

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