米ドル/円の次の目標は2002年1月の高値135.15円。1998年8月の高値147.66円までは道のりが遠い
先週のコラムで、「米ドル/円は131円に向かう展開」とお話ししましたが、あっさりとそこも突き抜けてしまいました。
【参考記事】
●米ドル/円は、131円台を再び目指す展開へ。円安になる環境に変化がない中、ファンダメンタルズとチャートの両方が底打ちを示唆(6月2日、今井雅人)
こうなると、次の目標は2002年1月の高値135.15円ということになりますが、それも目前に迫ってきているので、近いうちに到達するでしょう。
問題は、その先一体どこまでいくのかということですが、チャート的には言えば、1998年8月の高値147.66円ということになります。そこまでは、まだまだ道のりは長いですが。
(出所:TradingView)
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調整がある程度終わった時に、市場環境をもう一度良く見てみると、何も変わっていないことに気が付き、再び円安が進行する
さて、この円安の原因については、すでに何度も説明してきています。
【参考記事】
●米ドル/円の128円台後半は絶好の買い場、129円台前半から買い下がりたい。ただし、さらなる円安には新しい材料が必要か(5月12日、今井雅人)
●日銀が毎営業日の指し値オペ実施を決定!米ドル/円は1米ドル=130円どころではない、135円や140円が視野に入った!(4月28日、今井雅人)
●1米ドル=130円が、円買い介入の参考値になる可能性!? 円安基調に変化はないが、関係者の発言のトーンや行動を注視(4月21日、今井雅人)
結局、その原因に変化がないために、円安が継続的に進行してしまう。それだけのことです。
ただ、相場は時に先に折り込み過ぎて、行き過ぎるときがあるために、途中、調整局面が出てきます。今回で言えば、131円台から126円台に下落した局面でした。
そして、その調整がある程度終わった時に、市場環境をもう一度良く見てみると、何も変わっていないことに気が付き、再び円安が進行する。こういう流れでした。
(出所:TradingView)
インフレを抑えるために、今の米国にとって、米ドル高は歓迎すべきものだということを忘れてはいけない
こうした急激な円安が進行しているにも関わらず、金融当局の真剣度が伝わってきません。
日銀の黒田総裁は、「急激な円安は望ましくはない」とは言っていますが、「金融政策は為替相場とは関係ない」し、そもそも「円安は米国の金融引き締めが原因である」との見解。それから、「為替政策は財務省の所管で我々は関係ない」と、非常にそっけない態度を変えていません。
また、鈴木財務大臣は、急激な円安に懸念を示しながらも、「日本経済に取って円安はプラスとマイナスの両面がある」と、これも煮え切らないコメントをしています。大臣は、「今後円安に関して米国と対応を協議する」と言っています。
その相手となるのは、イエレン米財務長官です。しかし、イエレン財務長官は最近、「自分はインフレの見通しを間違えた。今は、FRB(米連邦準備制度理事会)と協力しながら、インフレを抑えなければいけない」と言っています。
インフレを抑えるためには、通貨は強い方がいい。つまり、今の米国にとって、米ドル高は歓迎すべきものだということを忘れてはいけません。
その米ドル高の流れを阻止しようとする日本の要請に、米国が素直に応じるとはどうしても考えられません。
イエレン財務長官は最近、「自分はインフレの見通しを間違えた。今は、FRBと協力しながら、インフレを抑えなければいけない」と言っている。インフレを抑えるためには、通貨は強い方がいい。つまり、今の米国にとって、米ドル高は歓迎すべきものだということを忘れてはならない (C) Bloomberg/Getty Images
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円安はまだまだ続くと考えるのが自然。資金を守ることにも留意しながら、さらなる円安で勝負
また、需給関係で見ると、日本の年金などの機関投資家は、かなり米ドルを買い遅れているようです。
あれよあれよという間にスルスルと上昇してしまったので、買うチャンスを失ってしまったということだと思います。
こうしたことを総合的に考えると、円安はまだまだ続くと考える方が自然だということです。
私の持論ですが、相場には簡単な相場と難しい相場があります。難しい相場は出来るだけ損をしないようにし、簡単な相場でどれだけ儲けられるかが、トレードの成功の鍵だと思っています。
今年(2022年)は、いつか米ドル高・円安に向かい出すと思いながら、1月、2月は悶々としていましたが、3月に入り116円台後半を上に抜けてからは、数年に一度のチャンスと思い勝負してきました。
利益が出てくるとポジションを積み増す、いわゆる、ピラミッディング戦法をやってきました。お陰で、3ヶ月余りで資金が10倍近くになりました。
しかし、このやり方は、段々ポジションが大きくなっていきますので、逆に向かい始めた時に大損をしてしまうリスクがあります。
かつて、痛い目にあったことも何度かあります。そこからの教訓ですが、上がってから買い増していった分に対しては、ストップオーダーを入れながら、資金を守るということも重要です。
そういうことに留意をしながら、さらなる円安方向で勝負していくつもりです。
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