豪州が金融引き締めモードに。豪ドル/円は中期的に100円を目指す
今週もよろしくお願いします。
今週(4月4日~)は2つの国で金融政策に関して、大きな出来事がありました。
1つ目は豪州です。
4月5日(火)にRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])の政策決定会合がありました。
政策金利は据え置きだったのですが、「声明文の中で忍耐強く対応する用意がある」「高度に景気支援的な金融環境を維持することを約束」などの文言を削除し、金融引き締めに向かいつつあることを示しました。
いよいよ、オセアニアも金融引き締めモードに入っていきます。
資源価格が強い中で、オセアニアやメキシコなどの通貨はまだ上昇の余地があると考えており、個人的には、資源国通貨である、豪ドルやメキシコペソ買いで勝負しています。
豪ドル/円は中期的には100円を目指すと考えています。
(出所:TradingView)
1つだけ懸念があるとすれば、これらの通貨は米国の利上げに弱いという点です。
米国の利上げのスピードが速まると、これらの通貨は米ドルに対して弱くなるので、米ドル/円より円安のスピードが遅くなることがありうるという可能性を頭に入れておいてください。
ハト派で有名だったブレイナードFRB理事が金融引き締めに前のめりになり、驚きが広がった
2つ目は、米国でFRB(米連邦準備制度理事会)のブレイナード理事が、量的引き締めと呼ばれる資産縮小について「5月にも急ピッチで始める」と発言しました。
ブレイナードさんはもともと金融引き締めに慎重なハト派で有名な人で、こういう人まで金融引き締めに前のめりになっているということに驚きが広がり、米金利が上昇し、ドル高が進みました。
ブレイナードFRB理事はもともと金融引き締めに慎重なハト派で有名な人。こういう人まで金融引き締めに前のめりになっているということに驚きが広がった (C)Bloomberg
一方の日本ですが、黒田日銀総裁は国会での報告で「今後も強力な金融緩和を継続していく」との姿勢を明確に示し、日本の長期金利は低下しました。
これでは、円独歩安になるのは当たり前です。今後も円安は続くという前提で円売りを続けています。
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新年度入りで、新規の外貨投資は一気には出ないが、大体GWまでにある程度を済ませている状況か
さて、4月になり日本の企業の多くは新年度に入りました。
現在、新規の外貨投資でさらなる円安へと期待している方が多いと思いますが、今回はその辺りについてご説明をしていきます。
結論から言うと、こうした新規投資は一気に出てくる訳ではありません。
日本の企業ではご存知のとおり、意思決定をするのに社内の丁寧な決裁が必要になります。
まず、新年度の投資方針会議でその年度の方針を決めます。
もちろん、前年度までにある程度の方針は決めているところも多くありますが、だからと言って、一気に新規投資をするという機関投資家は滅多にいません。
とはいえ、キャッシュを持っていても、収益は上がっていかないので、年度の早い時期に新規投資をしていく必要は当然あります。
こうした背景のもと、例年、大体GWまでにはある程度の新規投資を済ませていますので、今年度も同じような状況だと考えていいかと思います。
リターンの目標が3%前後で、国内の10年債利回りが0.25%しかなければ、機関投資家は国内の株式に加えて、外貨投資せざるを得ない
各投資機関は年度のリターンの目標を立てます。
機関によって異なりますが、最低でも3%程度のリターンは求められるのではないかと思います。
ちなみに、新しく創設された大学ファンドの例ですが、3%プラス物価予想上昇率1.38%の4.38%のリターンを目標にしています。
【参考記事】
●米ドル/円はぴょ~んと117円台へ。なぜ、ここまで上昇した?「大学ファンド」が影響したってホント?(3月14日、西原宏一&大橋ひろこ)
日銀の黒田総裁は、国内の10年債利回り(長期金利)を0.25%以下に抑えるための指値オペの重要性を現在も強調しています。
リターンの目標が3%前後であるにもかかわらず、国内の10年債利回りが0.25%しかなければ、機関投資家の選択は、国内の株式に加えて海外の株式や債券に投資せざるを得ないのは当然のことです。
ですから、今年度も新規の外貨投資がかなり出てくることは間違いありません。
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米ドル/円も130円程度までの米ドル高・円安も視野に
中期的に円安はまだゆっくりと進むと考えています。
米ドル/円も130円程度までの米ドル高・円安も視野に入ってきたと思います。
(出所:TradingView)
なお、先週のコラムでユーロに上昇の余地ありと指摘しましたが、これは大きな間違いでした。
【参考記事】
●円相場を取り巻く環境に変化なし。今は乱高下で疲労感が漂っているが、上下動を繰り返しながらジリジリと円安方向へ(3月31日、今井雅人)
ウクライナの情勢はやはり簡単には解決できませんし、ECB(欧州中央銀行)の関係者が早期の金融引き締めに否定的な発言を軒並みしています。
この通貨は現在非常に難しいので、トレードを控えています。
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