円安加速で、日本政府としてもただ見ているわけにはいかなくなるのでは?というのも事実
先週(4月11日~)から今週(4月18日~)にかけても、さらに円安が進んでいます。
もっとも顕著なのは米ドル/円で、いよいよ130円が視野に入ってきました。
(出所:TradingView)
FOMC(米連邦公開市場委員会)のメンバーの人たちは、5月の0.5%の利上げを明言し、6月の0.5%利上げも示唆する人も出てきました。
メンバー総じて「現在のインフレはあまりにも高すぎる」と警戒の声を上げています。
一方の日銀ですが、4月20日(水)もまた指し値オペを実施しました。4月21日(木)から4月26日(火)までの連続指し値オペも通知しています。
これで、米ドル高・円安の流れが止まるわけがありません。
日本の機関投資家も、新規投資のための米ドル買いがまだまだ残っています。
こうした状況を考えると、円安基調に変化が出るとはとても思えません。
ただ、これだけ円安のスピードが加速してしまうと、日本政府としてもただ見ているわけにはいかなくなるのでは?というのも、これまた事実です。
【参考記事】
●円高方向への転換はないが、今後、円安のスピードは鈍化する。今の米国にとって、「米ドル高・円安」は歓迎すべき状況(4月14日、今井雅人)
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1998年4月9日、4月10日に米ドル売り・円買い介入を実施した、130円という数字は1つの参考値になる可能性
では、過去の例を見て、今後の為替介入の可能性について考えてみたいと思います。
日本政府が行った為替介入は、ほとんどのケースが円高を阻止する米ドル買い・円売り介入でした。
しかし、米ドル売り・円買い介入をしたケースもまれにあります。
一番最近は1998年の円安局面でした。この時は、山一證券を初めとして大きな金融機関が倒産し、日本経済が低迷していました。
米ドル/円は、結局147円台にまで達しました。
その途中、1998年4月9日(木)、4月10日(金)に最初の米ドル売り・円買い介入を実施しました。介入金額は2日間で2兆8000億円程度です。
ちなみに、その両日の仲値はそれぞれ132.05円、129.50円です。
つまり、130円前後で米ドル売り・円買い介入をしたということです。
(出所:TradingView)
当時と状況は同じではないかもしれませんが、政府関係者も過去の動きを確認するでしょうから、130円という数字が1つの参考値になる可能性は十分にあると思います。
為替介入には段階がある。「注視する」から「断固たる措置」という言葉が繰り返された後、介入が始まるかも
さて、その上でこれまでの経験から、今後起きうる流れについて考えてみます。
まず、1つ確認しておきたいことは、為替介入はいきなりは起きないということです。段階があります。
現在、鈴木財務大臣は「緊張感を持って市場の動向を注視したい」という言い方をしています。
「注視する」ということは、見ているということですから、行動はまだしないと言っているのも同然です。
ですから、マーケットもスルーしてしまうわけです。
おそらく今後、この表現にどこかで「必要であれば、断固たる措置を取る」という言葉が付け加えられます。
この言葉は市場関係者に実際の介入が現実味を帯びてくるよ、と伝えるためですので、発言が出た最初の時は、かなり市場は反応すると思います。
しかし、そこから同じことを毎日繰り返して言うようになると段々市場はスルーするようになります。
そして、その後実際に介入が始まるかもしれません。
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日銀のレートチェックで米ドル/円が下落すれば、投資家はむしろ狙って買ってくる
もう1つは、日銀によるレートチェックです。
為替介入は政府・財務省の所管ですが、実際に介入を実施するのは日銀です。日銀が政府から委託をうけて執行することになります。
レートチェックというのは、正式なものではないのですが、日銀が金融機関に「現在のレートはいくらですか?」などの質問をわざとしてきます。
そうすると、金融機関は為替介入があるのではないか?と疑って、その情報がマーケットに広がり、米ドル/円が下落するという展開になりやすいという事です。
ただ、こうした影響による相場の下落は一時的に終わってしまうことがほとんどです。投資家はむしろ下落したところを狙って買ってきます。
米ドル/円が130円に近づいたことで、今後こうした上下動を繰り返す局面に入ってくるかもしれないということを頭に入れておきたいと思います。
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