2022年はボラティリティが改善。年後半もこのまま値動きが良い相場が続くか
みなさん,こんにちは。
本日は6月30日(木)。半期末ですね。
早いもので、今年(2022年)もすでに半分終了。
2022年はFXの年だと思っていますが、年前半は、米ドル/円、豪ドル/円、そして今月(6月)からのスイスフラン/円の上昇と、ボラティリティが改善しています。
【参考記事】
●米ドル/円は1米ドル=150円もあり得る!? 「2022年はFXの年!」。米長期金利に注目すれば、今年の為替は初心者にもわかりやすい!
このまま値動きの良い相場が続いてほしいところですね。
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SNBの衝撃は収まらない。最強通貨のスイスフランは対円で2週間で10円急騰
そして、今週(6月27日~)話題になっている通貨は、先週(6月20日~)に引き続きスイスフラン!
今週(6月27日~)の相場では、6月30日(木)の半期末に向けて、まず「リバランス」が話題に。週初、今回のリバランスは、米国株買い、米ドル売りというのが話題になっていました。
米国株に関しては、6月27日(月)に米大手JPモルガンが出した「今週、米国株がリバランスで7%上昇する」とのレポートどおり、先週(6月20日~)後半から大きく上昇しています。
(出所:TradingView)
一方、通貨に関しては不透明。
6月27日(月)の欧州市場で、英国のバークレイズ銀行や米系のモルガンスタンレーのストラテジストの試算から、米ドル買い戻しが優勢とのレポートが出ているということが話題となり、リバランスでの需給は不透明に。このあたりは変化については、メルマガ「トレード戦略指令」で紹介しています。
そして、6月27日(月)の欧州市場では、多くのマーケット参加者は、今回のリバランスは一転して米ドル買いというに見方に変更しました。
結果、モルガン・スタンレーなどがレポートで示しているとおり、本稿執筆時点まではリバランスに向けて、米ドル買い優勢。
6月29日(水)もマーケットにはリバランスの米ドル買いが継続的に持ち込まれ、米ドル/円は137.00円という高値に到達。これは、1998年9月以来、約24年ぶりの高値を更新したことになります。
(出所:TradingView)
SNBが0.50%利上げした金融政策決定会合以降、相場は変わった。スイスフラン/円は2週間で約10円急騰
こうした環境下、先週(6月20日~)に引き続き、筆者は米ドル/円以上に、スイスフランに注目しています。
6月中旬からのスイスフランの急騰は凄まじく、例えば、6月15日(水)から6月29日(水)の上昇幅は強烈でした。
6月15日(水)のスイスフラン/円の安値は134.05円。
6月28日(火)の高値は143.75円。
つまり、2週間で約10円(970pips)急騰したことになるのです。
(出所:TradingView)
振り返ると、0.50%の利上げを決定した、6月16日(木)のSNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])の金融政策決定会合以降、相場が変わっており、米ドル高への傾斜が見られます。
一方、米ドル/スイスフランだけ、米ドル安に振れているため、ユーロ/スイスフランが下落、スイスフラン/円が急騰するのもうなずけるところ。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
結果、ユーロ/スイスフランは節目のパリティ(=1.0000スイスフラン)を割り込み、現在、0.9970スイスフランレベルで軟調に推移しており、0.9800スイスフランへ向けて下落中。
2週間で10円急騰したスイスフラン/円は150円に向けて上昇中と、スイスフランの強さが際立っています。
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米ドルに対してもっとも下落しているのは日本円。大幅利上げを織り込み済みの豪ドルも弱い
以下のグラフは、6月15日(水)からの主要通貨の対米ドル騰落率。
(出所:筆者提供のデータを参考にメルマガ部が作成)
米ドルに対してもっとも値を下げているのが、いつもどおり日本円。
ただ、次に下落している通貨は豪ドルというのが目立っています。
なぜなら、RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])が急速にタカ派に傾斜したため、金利先物市場では豪ドルも米ドルに遜色なく、大幅利上げが織り込まれています。
それにも関わらず、豪ドル/米ドルが続落しているところに、米ドルの底堅さを印象づけています。
ただ、その米ドルに対しても大きく上昇しているのがスイスフラン。
スイスフラン/円は上昇を続ける米ドル/円と、下落を続ける米ドル/スイスフランを合成した通貨ペアなので、スイスフラン/円が暴騰しているのは当然といえます。
スイスフランはいつ最強通貨になったのか。決め手となったヨルダン総裁の発言とは?
では、なぜスイスフランが最強通貨になったのかをもう一度検証してみましょう。
スイスフランが最強通貨になったのは、6月16日(木)、SNBが逆通貨戦争に突入したため。
以下、前回のコラムを抜粋しておきます。
【参考記事】
●スイスフラン/円の押し目買いと、ニュージーランドドル/円の戻り売りで。日本以外の主要国は、「逆通貨戦争」へ突入(6月23日、西原宏一)
ヨルダン総裁のコメントで注目されたのが、スイスフラン買い(=外貨売り)する可能性を示唆したこと。
これまで主要国の「通貨戦争」というのは、自国通貨安に誘導する介入を意味していました。
特に、スイスフランと日本円というのは避難通貨として、常時通貨高に悩まされ、自国通貨安に誘導する介入を繰り返していました。
ところが今回のヨルダン総裁は他の主要国同様、利上げに踏み切り「逆通貨戦争」へ突入しました。
きっかけはインフレです。
スイスは現在、SNBが輸入インフレから経済を守るスタンスを明確にしています。
そして、スイスフラン高がインフレ圧力抑制の鍵を握っていると考えており、SNBが利上げ、逆介入(スイスフラン買い)、バランスシートの縮小のいずれかを優先するかがフォーカスされています。
そして6月16日(木)、まず0.50%の利上げを行ったわけです。
キーワードは、もちろん「インフレ」。
ヨルダン総裁は記者会見の冒頭で、「スイスフランはもはや高く評価されていない」と、これまでの通貨に対するスタンスを覆すコメントもしています。
つまり、現時点から大きくスイスフラン安になることは許容できないということになります。
SNBはスイスフラン高維持のため、保有する株式売却に動くのではないかと米国株の市場関係者の間で話題に
話題は為替から離れますが、SNBの発表は、米国株の市場関係者の間でも話題になっています。
SNBの最新の株式保有報告書 (SNBは他のヘッジファンドと同様に株式保有を報告している)では、SNBは1770億ドルの米国株(および数千億ドルのその他証券)を保有しているとされており、今後、スイスフラン高を維持するためにこれらの売却を進める可能性があり、 アップル株などの下落を誘引するのではないかとの憶測が出たわけです。
一方、スイスといえば、近年では「クリプト・バレー」という言葉も連想されます。
スイスには人口3万人に満たないツークという小さな村があります。
しかし、近年、次々とクリプト・スタートアップが集結してきました。
結果、ツークは世界に流通するブロックチェーンや暗号技術の大半のコードが書かれている小さなエリアとして一躍有名になっています。
クリプト・バレーといえば、筆者は、シンガポールが思い浮かびますが、グローバルには「シリコンバレーの次のバレー」を狙っているのが、ツークということで有名になっているようです。
スイスフラン/円のターゲットは150円。7月もスイスフランの動向に注目
話題を為替に戻すと、SNBがインフレを嫌ってスイスフランは続伸。
ユーロ/スイスフランは節目のパリティ(=1.0000スイスフラン)はすでに決壊。
(出所:TradingView)
米ドル/スイスフランは、サポートラインの0.9500スイスフランをクリアに割れるかどうかがポイントになります。
(出所:TradingView)
そしてSNBが通貨高誘導へ移行するのを横目に、日銀は金融緩和継続の方針という環境下、2週間で10円急騰しているスイスフラン/円の次のターゲットは150円。
7月もスイスフランの動向に注目です。
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