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志摩力男の「マーケットの常識を疑え!」

米ドル/円の上昇を後押ししているのは
日本の異様な金融緩和。放置したままだと、
近い将来、さらなる円安が進む可能性!

2022年07月07日(木)11:30公開 (2022年07月07日(木)11:30更新)
志摩力男

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YouTube動画「週刊!志摩力男」では、志摩さんがその日のコラムの内容からより注目しているテーマをピックアップし、5分程度の動画で解説します。動画を視聴して、もっと知りたい!と思った人は、続けてコラムをご覧ください。

週刊!志摩力男

マーケットは大きく崩れる。特に驚くのが、小麦、コーン、大豆といったコモディティ価格の下落

 最近、あらゆるところで大きくマーケットが崩れています。

 株価が年初から崩れているのはもちろんですが、驚かされるのがコモディティ(商品)価格の下落。「ウクライナの小麦が輸出できないので、夏には小麦が足りなくなり、急騰する」と言われていましたが、小麦価格は5月高値が12.80ドル前後だったのが、8ドル前後へと暴落しています。同様にコーンも5月高値の8ドル前後から6ドル割れに、大豆も17ドル前後から13ドル台半ばへと下落しました。

小麦価格 日足
小麦価格 日足

(出所:TradingView

 貴金属も軒並み下がっています。銅はこれから再生可能エネルギーの時代を迎え限りなく上昇するかのようなストーリーが語られましたが、4.8ドル前後から3.4ドルへと下落しました。金も2000ドルでダブルトップ的なチャートとなり、1700ドル台へと軟化しています。原油も100ドル割れとなっています。

NY金先物 日足
NY金先物 日足

(出所:TradingView

 下落したのはコモディティだけではありません。米国10年債利回りは6月15日(水)前後の3.50%水準から昨日(7月6日)の2.75%前後まで急低下しました。株に関しては、今年(2022年)初めから下落しており、ナスダック総合指数は年初来の下落率が30%となりました。

ナスダック総合指数 日足
ナスダック総合指数 日足

(出所:TradingView

マーケットの激しい値動きの背景にある「リセッション懸念」

 これほどまでに激しい値動きには驚かされます。何が背景なのか。

 一言で言えば「リセッション(景気後退)懸念」ということになります。インフレ抑制のため、FRB(米連邦準備制度理事会)は今後も金融引き締めを続けますが、その結果、リセッションに陥るとみなされています。先日の議会証言で、パウエル議長は将来的にそうなる(金融引き締めでリセッションに陥る)可能性を認めました。

 ただ、リセッションはまだまだ先の話のはずですが、市場は意外に早いタイミングでオーバーキルになる瞬間が来ると考え始めたようです。

 7月1日(金)に発表された米国の6月ISM製造業景況指数は、予想55.3のところ結果は53.0となって米ドルが売られたのですが、その中に“Some customers are pushing orders out because they have too much inventory.”(中には、在庫が多すぎて注文が先送りになっている顧客もいます)という文言があり、在庫の積み上がりが意識されています。

 ゴールドマン・サックスは景気後退の可能性は高まっているが、その可能性は米国30%、欧州40%、英国45%と見ており、必ずしもリセッションに陥るとは見ていません。

 今回のインフレ上昇を見事に予言したラリー・サマーズ元財務長官は、かねてより2023年に景気後退が来ると言っていましたが、2022年中に来そうだと修正しています。そして、FRBが言うようなソフトランディングにはならずハードランディングなる、そしてインフレはその時に修正されると発言しています。

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リセッション懸念台頭で株式関係者が喜んでいる?その理由とは?

 しかし、いずれリセッションになるにしても、今このタイミングで大規模にコモディティ価格が下落する理由はないと思います。背景にあるのは、ヘッジファンド勢の損切りでしょう。コモディティロングのポジションは儲かっていたはずですが、株の下落や暗号資産の下落で生じた損失を埋め合わせるために売られた可能性が強いのではないかと思います。

 同じことは、米金利の低下にも言えて、米国債のショートポジションから大きな利益を得ていたはずですが、こちらも損失補填のためにポジションをクローズせざるを得なくなったプレーヤーがいて、必要以上に価格が上昇(金利は低下)したのだと思います。

米10年債利回り 日足
米長期金利 日足

(出所:TradingView

 ウクライナ情勢などを見ても、現在の価格下落は小麦やコーンを買う良いチャンスに見えますし、原油は一部アナリストが言うほどダウンサイドリスクはないと思います。

 おもしろいのは、今回のリセッション懸念台頭で、一番喜んでいるのは株の関係者ということです。リセッションに陥るなら、さらに株は売り込まれるのではないかとも思われますが、最近の株価は金利との相関関係を強めており、リセッションになれば金融緩和が近いということで、株には買い材料とみなされているようです。

NYダウ 日足
NYダウ 日足

(出所:TradingView

ウクライナにおける戦争は長期化の様相。戦況次第で資源価格急騰リスクはある

 ウクライナにおける戦争は、開戦からすでに4カ月経過しました。一部の政治評論家は、ロシアが軍事費を出せないので、資金不足からこの戦争はすぐに終わると喧伝していましたが、とてもそうなるようには見えません。

 戦闘初期の頃は、西側の通常兵器が優秀なので、すぐにロシアを押し返し有利な状況に持っていけるかと思われましたが、ロシア軍が戦線を組み換え、ウクライナ東部に戦力を集中して以降は、ロシアが有利に戦闘を進めているように見えます。

 西側の軍事援助にもジレンマが感じられます。最新兵器をウクライナに送れば、それでウクライナ側が攻勢となりますが、ロシアが追い込まれれば核を使用するリスクが高まります。核の使用となれば、第3次世界大戦が現実的になります。

 よって、ウクライナが勝ち過ぎないように、負け過ぎないように援助することになりますが、戦況は膠着します。当初の予想とは反対に、長期化する可能性が高まっているようです。そうなると、状況次第でいつでも資源価格が急騰するリスクがあります。

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米金利が急低下しても米ドル/円は高値圏を維持。この乖離は何を意味するのか?

 今回、米金利が急低下しましたが、米ドル/円との乖離が生じています。

米ドル/円&米10年債利回り 日足
米ドル/円&米10年債利回り 日足

(出所:TradingView

 米10年債利回りが2.90%前後に落ちましたが、この2.90%前後の米金利の時、かつて米ドル/円がどの程度の値段で取引されていたかを見ると、130円を割り込み120円台後半となっています。

 米ドル/円の水準が間違っていて、将来的に米ドル/円が下落することで調整されるのか、それとも、米ドル/円は別の理由(日本の金融政策)があって高値圏での推移になっており、将来的に140円を超えていくのか、ここが注目だと思います。

 ここはマーケットに結論を出してもらいたいところです。私個人の考えとしては、日米金利差も重要ですが、日本の異様な金融緩和政策が米ドル/円上昇を後押ししているのだと思います。これを放置していると、近い将来さらに円安が進むでしょう。

 今は、この米金利と米ドル/円相場の乖離がどの様になるのか、注目したいと思います。


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