西原宏一さんのメルマガ「トレード戦略指令!」の有料会員向けに配信している動画コンテンツ「今月のFX・投資作戦会議」の中で、西原さんが為替相場で特に注目しているテーマを解説する「にっしートピック!」を無料公開しています。当コラム「FX&コモディティ今週の作戦会議」の内容とも連動しているので、ぜひ、ご視聴ください。
今日から本格的な下半期入り。米休場明けでNY勢が帰ってくる、7月5日以降の値動きに注目!
今日(7月4日)は独立記念日で米国市場が休場ですね。
先週(6月27日~)はリバランスの影響がありましたし、本格的な下半期(7~12月)入りは今週(7月4日~)から。今日、そしてニューヨーク勢が帰ってくる明日(7月5日)以降の値動きを慎重に見ていきたいと思います。
上半期末のリバランスは全体的に米ドル買いでしたね。
【参考記事】
●米ドル/円は、131円台へ突入する深い調整の可能性も。注目はスイスフラン! 通貨高誘導へのレジームチェンジで、上値余地がある(6月27日、西原宏一&大橋ひろこ)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)
セオリーに従えば米ドル売り・株買いでした。株はたしかに上がりましたが、為替のほうは難しかったですね。
8月の豪ドル/円には、80%の確率で下落するという強烈なアノマリーが!
今週は、7月5日(火)にRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])が政策金利を発表します。
6月は予想を上回る0.5%利上げのサプライズでしたが、ロウ総裁は利上げ継続を表明しており、今回も0.5%利上げの見通し。気になるのが豪ドル/円のアノマリーです。1998年以降、8月の豪ドル/円は23回中19回、つまり約80%の確率で下落しています。
(出所:TradingView)
なにか理由があるのでしょうか?
豪ドル/円は、株式市場のヘッジに使われやすいためでしょう。夏場は株価が下がりやすいですし、そのヘッジとして豪ドル/円を売ろうと考える投資家が一定数いるためだと思われます。
日本の株式市場では7月8日(金)、ETF(上場投資信託)の配当金捻出のための売りが現物と先物を合わせて約1.1兆円も出てくるとの試算が出ています。事前にわかっている材料ですが、過去最高の金額ですし、これを嫌気して先に逃げておこうと考える投資家も多いでしょうね。
(出所:TradingView)
リバランスも終わりましたし、今週の株式市場は重そうですね。今回のRBAですが、0.5%の利上げは100%織り込まれているわけではありません。発表後に豪ドルが買われる場面があれば、いい売り場になりそうです。長期的には豪ドルに対して強気なため、短期的なポジションにはなりますが。
豪ドルを売る相手はどの通貨がいい? シンプルに考えれば豪ドル/円の戻り売りか
豪ドルを売るとしたら、相手通貨は何がいいですか?
SNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])は、通貨安誘導から通貨高誘導へとスタンスを変えました。大きなレジームチェンジですからスイスフランもいいと思いますが、豪ドル/スイスフランは扱っているFX会社が少ない。スイスフラン/円と豪ドル/円、あるいはユーロ/スイスフランとユーロ/豪ドルの合成通貨ペアで取引することもできますが、シンプルに考えれば豪ドル/円での戻り売りでしょう。
【参考記事】
●スイスフラン/円は、1フラン=150円に向けて上昇中! わずか2週間で10円も急騰、逆通貨戦争で最強通貨となったスイスフランを買え!(6月30日、西原宏一)
●スイスフラン/円の押し目買いと、ニュージーランドドル/円の戻り売りで。日本以外の主要国は、「逆通貨戦争」へ突入(6月23日、西原宏一)
(出所:TradingView)
クロス円となると米ドル/円の影響もありますね。米国の経済指標には弱い数字が目立ちます。ISM製造業景況感指数は、2020年6月以来の低水準となりました。今週はISMの非製造業景況感指数が6日(水)に、そして8日(金)には米雇用統計が発表されます。
市場はリセッションの話題一色に。ただし、米ドル/円は下がっても132円から131円台程度か
市場の話題が「リセッション(景気後退)」一色になってきましたね。経済指標が落ち込むと利上げの減速期待で株価が上がるという、不思議なステージとなっています。リセッションが話題になるとともに米ドル/円も下落していますから、一見すると「リスクオフの円高」が戻っているようにも見えますが、実際には米金利に連れて下げているだけ。米10年債利回りは2.8%台まで低下しています。
金利低下は米国だけでなく世界的な傾向です。先週のリバランスの影響による一時的な低下なのか、景気後退を織り込んでトレンドとなっていくのか、どう見ますか?
今後も悪い経済指標が出てくるでしょうが、さらに下がっても米10年債利回りは2.5%程度までと見ています。それに連れて米ドル/円も落ちるでしょうが、132円から131円台程度まででしょうか。そこは買い場になりそうです。
(出所:TradingView)
コモディティ市場は崩れるも、原油価格は高止まり。週末の参議院選挙の影響は?
コモディティ(商品)市場は全体的に崩れ始めていますが、原油だけは高止まりしたまま。需給が相当タイトなようです。来週(7月11日~)、バイデン米大統領は増産を要請するため中東を訪問予定です。サウジアラビアが増産を承諾すれば原油価格も下がるでしょうが、先週のOPECプラスを見るかぎり、そんな気配はなさそうです。
(出所:TradingView)
来週には米CPI(消費者物価指数)が発表されます。前年比で9%、10%へと上がることはなくとも、高止まりが続きそうですね。
今週末(7月10日)には参議院選挙がありますが、為替市場にはとくに影響がないでしょう。今週の戦略は豪ドル/円の戻り売りでよろしいですか?
そうですね。ただ、豪ドルに対して長期的には強気の見方を崩していません。仏系銀行は豪ドル/円の売りを「The best summer sunscreen」と評しています。「この夏、最高の日焼け止め」というわけです。豪ドル売りはこの夏限りの短期戦略と考えています。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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