米ドル/円が膠着する原因は? かなり下落して130円くらいにいても不思議ではないが…
ここ2週間以上、米ドル/円は135円台を中心に134円台から136円台で膠着しています。その原因について考えてみます。
(出所:TradingView)
まず、IMM(国際通貨先物市場)の米ドル/円のポジションを見てください。ここ3週間ほど、投機目的の米ドル/円のロングポジションが減ってきていることが分かります。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
彼らがポジションを減らしているのは、米国の景気の先行きに対しての懸念が広がってきているからだと思います。
実際に米長期金利(米10年債利回り)の推移を見ると、3%を超えなくなってきています。
(出所:TradingView)
金利市場では来年(2023年)、FRB(米連邦準備制度理事会)が一転して利下げをするという見方が広がっています。
また、足元で原油価格が下落してきており、WTI原油先物は100ドルを割り込んでいますが、それも本来であれば、円高要因となるはずです。
(出所:TradingView)
以上の状況を考えると、米ドル/円はかなり下落して、130円ぐらいにいても不思議ではありません。
しかし、実際は下落することなく135円台でもみ合いに入っています。
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日本人プレーヤーの米ドル買い需要が、米ドル/円の下落を阻止しており、当面レンジ相場か
これをどう説明するか。その答えは日本のプレーヤーにあると思います。
最近の東京市場を見ても、輸出と輸入を比べると、輸入の米ドル買いが上回る日が続いています。これが、米ドル/円を支えている要因の1つです。
そして、もう1つは日本の機関投資家です。日本の機関投資家は、まだ新規投資のための米ドルの手当が終わっていないようで、追いかけて買ってくることはないのですが、134円台から135円台前半に買い注文を断続的に入れてきています。
(出所:TradingView)
こうした日本人プレーヤーの米ドル買い需要が、米ドル/円の下落を阻止しているのではないかと私は考えています。
以上のことを考えると、米ドル/円は当面レンジから抜け出せない可能性が高いのではないかと予想されます。
ユーロ/米ドルがパリティに達する可能性はそこそこ高い
さて、次にユーロ/米ドルについて。
ユーロ/米ドルは1.01ドル台にまで下落し、約20年ぶりの安値となっています。いよいよ、パリティ(1ユーロ=1米ドル)が目前に迫ってきました。
(出所:TradingView)
米長期金利が低下しているにもかかわらず、ユーロ/米ドルが米ドル高に向かっているはなぜでしょうか。
それは最近、米国よりEU(欧州連合)諸国の方が先に景気が後退するのではないかという見方が広がっているからです。
最近の欧州から出てきている経済指標は、ドイツのIfo企業景況感指数を始めとして、予想を下回るものが多くなってきました。その度にユーロ/米ドルは下落してきました。米国の要因ではなく、ユーロ側の要因で下落してきているのが特徴的です。
米国は6月も0.75%の大幅な利上げに踏み切っていますが、ECB(欧州中央銀行)はようやく今月(7月)、0.25%の利上げを実施する予定で、まだ利上げは始まっていません。
にもかかわらず、EU諸国の方が、景気が先に後退する可能性を指摘されています。
これは、ウクライナ情勢の影響と考えるのが自然だと思います。
ユーロ/米ドルがパリティに達する可能性は、そこそこ高いのではないでしょうか。
日本の資本の買い需要をバックに、米ドル/円の典型的なレンジトレードを狙う時期
トレードとしては、日本の資本の買い需要をバックにして、米ドル/円の135円台前半から134円台を買い、136円台があれば決済するという典型的なレンジトレードを狙う時期であると思っています。
(出所:TradingView)
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