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6月米CPI上昇率は9.1%。イールドカーブの逆転で経験則的には景気後退が現実味
安倍元首相が銃弾に命を奪われるという信じ難い惨劇がありました。当コラムでは、時にアベノミクスを批判しますが、安倍元首相が外交面を中心に素晴らしい功績を残されたことは誰も否定できないことです。心より安倍元首相のご冥福をお祈りします。
米6月CPI(消費者物価指数)は、事前に米大統領報道官が「非常に高い水準が予想される」と警告した通り、上昇率は9.1%と前回(5月)の8.6%、市場予想の中心値8.8%を上回ってきました。この影響で、7月27日(水)開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)において、元来想定された利上げ幅の0.75%よりも大きい、1.00%という数字が予想され始めています。
イールドカーブの逆転も進み、現状、米2年債が3.15%、米10年債が2.94%なので、その差は0.21%に開いています。イールドカーブが逆転すると、その後半年から1年半のタイムラグをおいて、必ず景気後退が起こったという経験則があります。よって、「逆イールド」はマスコミが大好きなネタです。
【参考コンテンツ】
●「逆イールド」発生は景気後退のシグナル!? 過去8回の逆イールドを検証してみた!
【参考記事】
●株価を暴落させた逆イールドとは?逆イールドは景気後退の予兆って本当?(2019年8月16日公開)
(出所:TradingView)
「CPIショック」的な見出しが並ぶでしょう。しかし、前回のコラムでコモディティ(商品)価格下落を取り上げましたが、今月(7月)のCPIからは低下したコモディティ価格が反映されることになります。おそらく、この6月のCPIが今回のインフレ上昇のピーク値になるのではないかと予想しています。
【参考記事】
●米ドル/円の上昇を後押ししているのは日本の異様な金融緩和。放置したままだと、近い将来、さらなる円安が進む可能性!(7月7日、志摩力男)
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パウエル議長はとにかく金融引き締めを続けるだけ。アーサー・バーンズの二の舞いは避けたい
とはいえ、7月27日(水)に開催されるFOMCにおいて、0.75%になるのか1.00%になるのかわかりませんが、パウエルFRB議長が取れる選択肢は限られています。とにかく金融引き締めを続けるだけです。
7月FOMCで利上げ幅が0.75%になるのか1.00%になるのかわからないが、パウエル議長の選択肢はとにかく金融引き締めを続けるだけ (C)Bloomberg/GettyImages
1970年代、インフレを抑制できなかったアーサー・バーンズ議長は「史上最低のFRB議長」とされ、20%を超える高金利で景気後退をものともせずインフレを抑制したボルカー議長は「もっとも尊敬されるFRB議長」と言われています。バーンズ議長の二の舞いだけは演じたく無いものです。
【参考記事】
●米ドル高の材料だった高いインフレ率は、今後は米ドル安の材料になる可能性。パウエル議長は、インフレと闘う気がない(2022年1月13日、志摩力男)
パウエル議長自身も、6月23日(木)に行われた米下院金融委員会公聴会において、インフレ抑制するためなら”unconditional”(無条件に)コミットメントすると発言しています。かつてドラギECB前総裁がユーロを守るためなら何でもする(Whatever it takes)と発言したのに似ていると思いました。
FRBは金融引き締めを急ぎ、何も動かない日銀という構図。米ドル高・円安がさらに進むか
こうなってくると、7月21日(木)に行われる「日銀金融政策決定会合」と「ECB理事会」が決定的に重要になってきます。FRBは金融引き締めを急ぎますが、日銀とECBはどう対応するでしょうか。
まずECB理事会に関しては、0.25%の利上げが予想されていますが、これが0.50%に引き上げられるかもしれません。
そうしなければ、FRBとの整合性がとれず、ユーロ/米ドルはパリティ(=1.00ドル)を下回って、過去最安値である0.8228ドルを目指し、安値模索となる可能性があります。
(出所:TradingView)
その一方、日銀政策決定会合ですが、政策変更はないでしょう。安倍元首相が暗殺者の凶弾に倒れた直後です。ここで政策を大きく変更すると、暗殺者に屈したように見えてしまいます。そうしたことは、絶対に避けられるべきです。
しかし、そうなると金融引き締めに動くFRBに対し、何も動かない日銀という構図になります。米ドル高・円安がさらに進む可能性があります。
【参考記事】
●米ドル/円の上昇を後押ししているのは日本の異様な金融緩和。放置したままだと、近い将来、さらなる円安が進む可能性!(7月7日、志摩力男)
(出所:TradingView)
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年初から25円近く円安が進んだ米ドル/円だが、依然として、押し目買いストラテジーで臨みたい
先日、イエレン議長が日本を訪れました。メインの話はロシアを金融的に封じ込めることでしょうが、介入政策をどうするのか、実際にYCC(イールドカーブ・コントロール)を変更する際はどの様にしてソフトランディングさせるつもりなのか、日本側のプランを聞いたと思います。
(※編集部注:「イールド・カーブコントロール」とは、長期金利と短期金利の誘導目標を操作して、イールドカーブを適切な水準に維持すること)
向こう数カ月、日本は金融政策的には動けません。そうなるとさらに円安が進むことになります。依然として、米ドル/円は押し目買いというストラテジーになります。
年初から25円近く円安が進み、「そろそろ一服」という気持ちになりがちですが、状況は依然として米ドル買い・円売りだと思います。
(出所:TradingView)
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