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志摩力男の「マーケットの常識を疑え!」

米ドル高の材料だった高いインフレ率は、
今後は米ドル安の材料になる可能性。
パウエル議長は、インフレと闘う気がない

2022年01月13日(木)12:54公開 (2022年01月13日(木)12:54更新)
志摩力男

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パウエルFRB議長はインフレと闘う気がない…。高インフレ率が米ドル安ロジックになる可能性

 1月12日(水)に発表された12月の米CPI(消費者物価指数)は、ほぼ市場予想通りで、ついにプラス7%に乗せてきました。昨年(2021年)までのマーケットであれば、当然、米ドル買いに反応したでしょう。しかし、市場は米ドル買いではなく、米ドル売りで反応してきました。

米ドルVS世界の通貨 4時間足
米ドルVS世界の通貨 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足

 あまり、思い込みすぎるのも良くないかもしれませんが、私には大きな「異変」に感じられました。マーケットが明らかに変化した瞬間だったと思います。

 前日(1月11日)に行われたパウエルFRB議長の議会証言の影響もあるでしょう。昨年(2021年)12月18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)後の会見では、インフレに対処すると明言し、きっぱりとした決意に満ちていました。

 ところが1月12日(水)の議会証言では、闘う意思が感じられませんでした。再任が決まったことで、インフレファイターを演じる必要がなくなった、だから態度にぞんざいなところが出てきてしまったのでしょう。

 パウエル議長はバランスシートの縮小に関して「今年の後半」と発言しましたが、ゴールドマンサックスが7月スタートと予想を前倒ししてきたことが念頭にあったと思います。市場予想より遅らせ意図的に「ハト」を演出したのです。

 「インフレに対して闘う気がない」、市場もその様に解釈したのでしょう。

 これまでは、「高いインフレ率→FRB利上げ→米ドル買い」というロジックできました。しかし今後は、「高いインフレ率→低い実質金利→米ドル安」というロジックに切り替わるかもしれません。

米ドルVS世界の通貨 週足
米ドルVS世界の通貨 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足

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インフレによる金融引き締めで、米国株に投じられた巨額資金が出口を探している?

 新興国通貨の解説などをするとき、見た目の金利ではなく、実質金利が高い通貨を選択して下さいと言います。トルコのように、金利が高くても、インフレ率がそれ以上に高く、実質金利がマイナスの通貨は下落する宿命にあります。

米ドル/トルコリラ 週足
米ドル/トルコリラ 週足

(出所:TradingView

 米ドルに関しては、実質金利が大幅にマイナスであることは無視して、金利が今後上昇していくところのみを見ていましたが、もう大目に見るわけにはいかなくなりました。

 インフレ率は7%、FF金利(※)は0~0.25%なので、実質金利はマイナス6.75~7%ということになります。これは相当低い。しかし、それにも関わらずどうしてこれまで米ドルが売られなかったのか。それは、高い株価が投資資金を世界中から引き寄せていたからでしょう。

(※編集部注:「FF金利」とは、フェデラルファンド金利のことで、FFレートとも呼ばれる。米国の政策金利)

 しかし、ついにインフレで金融引き締めに動かざるを得なくなりました。金利上昇で今後引き寄せられるであろう資金よりも、はるかに巨額の米国株式市場にこれまで投じられていた資金が、出口を探し始めているのかもしれません。

米国株に資金が吸い寄せられなくなったとき、米ドルは大きく売られることになるか

 過去2年間、米株式市場は非常に好調でした。2年連続20%以上のリターンを記録しましたが、この素晴らしいリターンが今後も続くのは難しい。今年(2022年)は良くて同程度でしょうか。

NYダウ 週足
NYダウ 週足

(出所:TradingView

 米金利上昇で米ドル/円上昇というのをメインシナリオとしてきました。それ故、真逆の話をするのも躊躇しますが、金利が上昇する通貨が上昇するというのもセオリーですが、インフレ率の高い通貨は下落するというのもセオリーです。

 再任が決まったパウエルFRB議長を見ていると、やはりどこかに「今のインフレは一時的」という思いが滲み出ており、インフレと闘う気がないように見えます。

 実質金利がマイナスのトルコリラは大きく売られました。株価が高値圏にあり、これ以上資金を吸い寄せられなくなってきたとき、米ドルも同じような運命をたどるのでしょうか。

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パウエル議長が史上最低の烙印を押されたFRB議長、アーサー・バーンズの二の舞に?

 今の状況はますます1970年代に似ている感じがします。ベトナム戦争を戦い、ものすごい戦費を使い過剰流動性から米ドルは売られ、米国はインフレに苦しみました。

 今はコロナとの戦争を戦い、巨額の財政資金を投じた結果、何年も見たこともなかったインフレに見舞われています。

 1970年代のFRB議長、アーサー・バーンズは、インフレは「一時的」という言葉を繰り返し、高インフレを招き、史上最低のFRB議長の烙印を押されました。

 その後、ボルカーFRB議長による超高金利政策でインフレを退治しましたが、パウエルFRB議長がアーサー・バーンズの二の舞を演じることを案ずる次第です。

パウエル議長が、1970年代に「一時的」という言葉を繰り返し高インフレを招き史上最低のFRB議長の烙印を押されたアーサー・バーンズ氏の二の舞にならなければ良いが… (C)Bloomberg/GettyImages

パウエル議長が、1970年代に「一時的」という言葉を繰り返し高インフレを招き、史上最低のFRB議長の烙印を押されたアーサー・バーンズ氏の二の舞にならなければ良いが… (C)Bloomberg/GettyImages


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