米ドル/円は、1998年の高値147.66円をあっさり抜けると、150円目前に迫ってきた
米ドル/円が、とうとう150円目前に迫ってきています。
この1週間の間に、1998年の高値147.66円をあっさり抜けると、その後も連日少しずつ米ドル/円は上昇をしていき、現在の水準にまできました。
(出所:TradingView)
こうした米ドル高・円安の背景は言うまでもありません。日米の金融政策の差です。
米国のインフレは全く収まる様子がなく、直近のCPI(消費者物価指数)は年率で8.2%と市場予想を上回る結果となりました。
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インフレの高止まりを受けて、米国の長期金利(10年債利回り)も上昇し、4.1%を超えてきて、とうとう2008年以来の水準となっています。
(出所:TradingView)
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イエレン米財務長官やバイデン米大統領の発言を受けて、日本の介入も市場からはあまり恐れられなくなってきている
一方の日本ですが、黒田日銀総裁は金融緩和を変更する気はまったくみられません。
日銀の金融緩和が、円安の要因であることは明らかであるのにも関わらず、「為替相場は政府、財務省の所管であり、現在の円安は問題である」と他人事のような発言ばかりしています。
それに対して、政府は9月に約3兆円の米ドル売り・円買い介入を実施しましたが、効果は過去と同様に一時的で、その後むしろ、米ドル高・円安は加速しています。
最近、「覆面介入を実施しているのではないか」という観測もありますが、それが事実だとしても、介入の効果はもはや期待できません。
先日、G20財務大臣中央銀行総裁会議が実施されましたが、それに合わせる形で、イエレン米財務長官は「米ドル高はファンダメンタルズを反映したもので、現状の水準は適切である。市場で決定されている為替レートの水準を支持する」と発言しています。
バイデン米大統領も「米ドル高は問題ない」との見解を表明しました。
米国にここまで言われてしまっては、日本の介入も市場からはあまり恐れられなくなってきていると言うことです。
実際、投資家は政府・日銀が米ドル売り介入して、下がったところは米ドル/円を買いたいと待ち構えています。
政府がここまで無策であるかぎり、米ドル/円はまだまだ上昇する。1990年の160円はすでに視野に入り、場合によっては180円程度まで上昇することもあるのでは
私は、以前から、日銀はせめてYCC(イールド・カーブ・コントロール)の上下幅を拡大する程度の政策変更を早急に行い、政府は、2006年にブッシュ政権が実施した、レパトリ減税を参考に日本版HIA(※)を行うべきだと主張してきました。
(※編集部注:「HIA(Homeland Investment Act)」は、元々は米国ブッシュ政権下で2004年に成立した時限立法。本国投資法などと呼ばれる。この法律下で、米国内での投資や雇用の創出を目的に、米多国籍企業による米国送金時の税負担優遇などが行われた)
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⇒日銀が6/16~17の金融政策決定会合で、長期金利変動の許容幅を拡大する可能性はある?もし拡大すれば、為替はかなりの円高に(6月16日、今井雅人)
しかし、今の政府は介入を実施しただけで、他に何も円安を阻止する対策を講じようとしません。あまりにも無策です。
まさに、この円安は人災です。私たちは自分の生活を守るためにも、FX取引を活用して、稼いでおくことです。
政府がここまで無策であるかぎり、米ドル/円はまだまだ上昇するでしょう。1990年の160円はすでに視野に入っています。
さらに、そこで止まるかと言えば、それも怪しい。場合によっては180円程度まで上昇することもあるのではないでしょうか。
(出所:TradingView)
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トラフ英首相が辞任しない限り、英ポンドは今後下落する可能性が高い
最後に、英ポンドについて触れておきます。
トラフ英首相は、結局、減税政策を撤回しました。私は当初よりこの政策を愚策だと批判してきましたが、呆れて物が言えません。この政権はもはや死に体となってしまいました。
減税案の撤回で、英ポンド/米ドルも上昇しましたが、これは一時的だと思います。トラフ英首相が辞任しない限り、英ポンドは今後下落する可能性が高いと考えています。
(出所:TradingView)
トレード方針ですが、ここまで米ドル/円のロング、メキシコペソ/円のロングを主軸としてトレードしてきましたが、今後も継続していきます。
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