メルマガ「ザイFX! FXプレミアム配信 With今井雅人」では、その日のニュースをコンパクトに解説し、今後の為替の値動きについての予測とともに、今井氏のポジションについても可能な限り配信しています。
24年ぶりの為替介入が行われた直前の、2022年9月22日(木)13時~16時、今井氏に取材を敢行。145円台の為替介入を予測していた今井氏が語った、介入相場の儲け方とは? 以下のYouToubeリンクから、ぜひご視聴ください。
【※今井氏へ取材したYouToubeはこちら!】
⇒145円台の為替介入を予測していた今井氏が語った、介入相場の儲け方とは?(2022年9月22日、今井雅人)
為替介入は特定の水準を意識して行うものではないのが建前だが、1米ドル=145円台は一応通貨当局が意識している水準
為替市場が非常に賑わしくなってきました。さまざまなことが起きていますので、一度整理をしてみたいと思います。
まず、日本政府による為替介入です。先週のコラムで為替介入の可能性が高まっていると指摘しましたが、その直後に実際に介入が実施されました。金額は、おそらく4兆円弱程度だったのではないかと推測されます。
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⇒米ドル/円にまだまだ上昇の余地! 中期的に150円も視野に。唯一気になるのは日本政府の介入のリスク。米ドル高の流れは、米国の利上げのピークが見えるまで続く!(9月22日、今井雅人)
為替介入は、過度の変動や相場の行き過ぎを是正するためのものであって、特定の水準を意識して行うものではないというのが、国際社会の表向きの約束事です。
今回もFOMC(米連邦公開市場委員会)、日銀の金融政策決定会合を受けて、米ドル/円が急騰していたので、それを食い止めるために行ったというのが公式見解です。
ただ、それはあくまでも建前であって、実際は特定の水準も意識しているのは自明の理ですので、145円台というのは、一応通貨当局が意識している水準だということわかります。
介入のあと、米ドル/円がグズグズした動きをしている時は、次の介入の可能性はまずない
その上で、今後ですが、今の様子を見ていると、継続的に米ドル売り介入をするという考えではないようです。
そうなると、考えられるシナリオは過去の例から見て2つです。
1つは、今回の介入でいったんしばらく様子を見て、また米ドル/円が上がり出してもアクションは起こさないというものです。
2つ目は、米ドル/円がまた急騰する局面になったら、モグラ叩きのように介入を実施するというものです。
従って、直近のように、米ドル/円がグズグズした動きをしている時は、介入の可能性はまずないだろうということです。逆に上昇してくるとリスクは高まります。
介入を重ねるにつれて影響は少なくなる。日米の金融政策の違いが鮮明なうちは、米ドル高・円安は続く
次に介入による影響ですが、短期的なことで言えば、介入時の相場への影響は、介入を重ねるにつれて少なくなってきます。
1度目は5円ほど米ドル安・円高が進みましたが、次はそんなには落ちません。2~3円程度だと思います。そして、さらに影響は小さくなっていきます。
また、介入をしたからと言って、そもそも米ドル高・円安になっている原因に変化がない限り、トレンドを変えることはできません。
ですから、日米の金融政策の違いが鮮明なうちは、米ドル高・円安は続くと考えておいていいと思います。
チグハグな政策を実施している英国に、投資家の信頼が戻るはずがない。英ポンド/米ドルはパリティまで下落する可能性も
次に、英国です。
トラス新政権は、かねてからの公約でもあった大規模な減税を実施すると発表しました。減税に伴って、大量の国債の発行も必要になることも明らかにされました。
これを受けて、英国の国債が暴落し、株式、英ポンドも急落するというトリプル安の展開となりました。
通常時では、こんな反応はしないのですが、現在、BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])はインフレ抑制のために金融引き締めを続けており、長期金利(10年債利回り)が上昇している中での発表でしたから、さらに国債を発行するということで、市場がパニックになってしまいました。
困ったのは、BOEです。こうした市場のパニックを受けて、緊急に国債を購入することを決定し、発表しました。
インフレ抑制に逆行する対策を講じざるを得なかったBOEには、とんだとばっちりでした。
しかし、こういうチグハグな政策を実施している英国に、投資家の信頼が戻るはずがありません。英ポンドはまた下落していくと思います。パリティ(1英ポンド=1.00ドル)まで下落する可能性もあると見ています。
(出所:TradingView)
米ドル高のトレンドは変わっていない。米ドルが下落した局面ではしっかり米ドル買いをしていく方針
最後に米国の長期金利です。米国の長期金利はずっと上昇していましたが、9月28日(水)に急低下しました。特段理由はないですが、やはり上がりすぎていたということでしょう。
(出所:TradingView)
それと同時に、ユーロ/米ドルなどでも、一方的な米ドル高が進んでいたことに対する調整が入りました。
(出所:TradingView)
これは、金利、為替ともに調整ですが、チャートを見ると、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルの下落がかなり速く、オシレーター系のチャートはかなりの売られすぎを示していました。
しかし、所詮調整です。調整がひと段落すれば、また元のトレンドに戻ってくると思います。
色々書きましたが、米ドル高のトレンドは変わってはいません。しばらくは上下動をする可能性もありますので、米ドルが下落した局面ではしっかり米ドル買いをしていく方針で臨みたいと思います。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)
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