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アベノミクスの先に、好景気は待っていなかった。待っていたのは、「貧困」だった
最近、日本の物価は海外に比べて異様に安いという内容のテレビ番組をよく見るようになりました。
円安が加速する前、米ドル/円が110円前後であったとしても、日本の物価は海外に比べて安いと感じさせました。
それゆえ、円高になってその価格差が解消されるのか? それとも日本の物価が上昇することでその価格差が解消されるのか? どうなるのか注視していたのですが、驚くことにその差は解消されることなく、むしろ円安になってより価格差は広がりました。
日本だけが異様な金融緩和政策をやっているので、必然の結果とは言えます。価格差は広がり、日本はさらに安い国になりました。アベノミクスの先に、好景気が待っていると人々は期待したのですが、その先にあったのは貧困でした。アベノミクスは日本全体を貧困に陥れたのです。
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⇒日本経済はアベノミクスのツケをこれから払う局面に…悪い円安が来る!(2021年12月8日、志摩力男)
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日本と海外の物価の差はどうすれば埋まるのか。最悪は差が埋まらずに貧困が固定化されるシナリオも
しかし、これだけの価格差、いずれ何らかの形で解消されなければおかしい。従来であれば、日本の輸出が伸び、貿易黒字が増加し、円高になって解消されました。これがどう変化していくのでしょう。
【シナリオ(1) 円高になって、価格差解消】
購買力平価で考えると、米ドル/円の適正レートは75円前後ではないでしょうか。これは、ビッグマック指数(米国で5.81ドル、日本390円、米ドル/円は390÷5.81=67.12円が適切?)とも整合性がとれます。
日本が今後、どのような経緯で円高となるのかを考えると、そこは厳しい状況が想定されます。
貿易黒字がなくなったのは、日本の輸出企業が海外進出を進めたことが要因とよく言われていますが、今年(2022年)貿易赤字が増えたのは資源価格上昇のためです。
米中が対立する中、今後もエネルギー価格はある一定程度以上の価格で推移するのではないでしょうか。よって、簡単に貿易黒字には戻らないでしょう。また、経済学的には、高齢化によって貯蓄率が低下することは、貿易赤字を増やします。
円高になると、やはり輸出企業の競争力は落ちるでしょう。昔は普通だった円高ですが、今は10年前の75円に戻すのはかなり困難に見えます。
(出所:TradingView)
【シナリオ(2)日本でも物価高騰が起こる】
円高になることで内外価格差が埋まる、ということが起きないのであれば、日本の物価がもしかすると、ある日急騰するということで、差が埋まるのかもしれません。
日本の物価は長い間、低位安定が続いていました。しかし、高債務国の物価は、巨額債務の影響から最初はデフレが続きますが、なにかの瞬間にスイッチが入り、物価が高騰するというのはかつてよく見られる形でした。
日本の物価が上がるというのは、にわかには信じられません。しかし、電気料金等も、長期為替予約で資源調達が進んでいたから、インフレの影響をあまり受けませんでしたが、予約されている為替が終わったら、資源価格上昇の影響が出てきます。
可能性は高いようには、今は見えませんが、物価高騰はいつか来ると思っていたほうが良いかもしれません。
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⇒米ドル/円はトランプラリー高値118.68円が意識される展開へ。日本に突然インフレが襲ってきたら、その時、円はどう動く?(2021年10月13日、志摩力男)
【シナリオ(3)内外価格差は埋まらない】
価格差が結局埋まらない可能性もあります。価格差が埋まらなければ、単に貧困が続くというだけです。超円高にも超円安にもならず、そのまま貧困が固定化されます。これは、これで、最悪のシナリオです。
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異様な内外価格差が物価高騰で埋まるなら、1米ドル=200円超えもありえる
このシナリオ(1)~(3)のうち、何がもっとも起こりうるでしょうか? (3)がもっとも有り得そうですが、可能性は小さいかもしれませんが、物価高騰のシナリオ(2)となる可能性は、意外に高いと思います。日本でも、超インフレが起こるわけです。
かつての高債務国は、ずっとデフレが続き、最後の最後に超インフレになるというのがパターンでした。日本もそうならないとは限りません。日本にインフレが来るのは、にわかには信じがたいですが、内外価格差が解消される方法は、それ以外あまりみつからないなと思っています。その場合、米ドル/円相場は200円を優に超えることになりそうです。
(出所:TradingView)
円安を止めるための金利上昇もあるでしょう。その時、日本は物価高騰しているにも関わらず、金利が引き上げられ、住宅ローン等を返せない人々が増えるのでしょう。
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