FOMCは重要イベントだったが、米ドルに方向性をつけるような内容ではなかった
11月2日(水)、FOMC(米連邦公開市場委員会)は政策金利を0.75%、引き上げました。
(※詳しくはこちら⇒主要各国の政策金利の推移をグラフでチェック!)
声明文で大幅な利上げペースを鈍化させる可能性が示唆され、それを受けて米ドル安に推移していましたが、その後のパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の会見では、利上げサイクルの最終地点がまだ上がる可能性が示唆されて米ドル高に。
重要なイベントでしたが、米ドルに方向性をつけるような内容ではなく、乱高下の激しい動きとなりました。
これまでのような米ドル高トレンドは期待しにくいが、米ドル安にもなりにくい。米ドルは、しばらく底堅く推移する展開か
今年(2022年)は米ドルが強い年で、米ドル一強の相場が続いていました。ただ、9月下旬ごろからは、その動きも止まっています。
それ以降も米ドル買いの材料は出ていましたが、米ドル高トレンドに戻ることはなく、横ばいが続いています。
(出所:TradingView)
そこに、FRBの大幅利上げがなくなる可能性が出てきたため、これまでのような米ドル高トレンドは期待しにくいと思います。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル/円は150円トライの場面もまだありそうだが、短期では調整する可能性。米ドルが強い相場は崩れていないものの、しっかりとした米ドル高トレンドは期待しにくくなっている(10月18日、バカラ村)
しかし、インフレ率次第にはなりますが、0.25%や0.50%の利上げは今後も長期的に続くため、米ドル安にもなりにくと思います。
しばらく、米ドルは底堅く推移するような展開になりそうです。
米中間選挙は共和党が有利か。米国株にはプラスの材料だが、イベントとしてはCPIの方が重要に!
今週(11月7日~)の注目イベントとしては、8日(火)に米中間選挙、10日(木)に米CPI(消費者物価指数)の発表があります。
特に、CPIの発表は非常に重要です。
パウエルFRB議長も、政策金利はデータ次第としているため、CPIの伸びが予想よりも高いようであれば米ドル高、低くなれば米ドル安へ推移することになります。
また、米中間選挙では、民主党と共和党の議席争いが拮抗しているようです。
現在の議席数は、上下両院で共に民主党が多数派(※)となっていますが、世論調査によると今回の中間選挙で、下院は共和党が過半数を獲得し、上院は接戦のようですが共和党が1~2議席、民主党よりも多くなる可能性があります。
(※編集部注:現在、上院の議席数は民主党が50、共和党が50と同数で並んでいるが、議長を務めるハリス副大統領を含めると、民主党が多数派の状態)
そうなるとバイデン米大統領の政策が、今後は議会を通りにくくなることが予想されます。
2年後の米大統領選を占う意味でも重要な中間選挙では、上下両院で共和党が過半数の議席を獲得することも予想されており、今後はバイデン米大統領の政策が議会を通過しにくくなることも考えられる (C)Scott Olson/Getty Images News
ただし、これは米国株にとってはプラスの材料になるようです。
なぜなら、これまでのように偏った政策は通りにくくなるため、それが米国株へプラスに働き、年末に向けて米国株は上昇しやすいと見られているからです。
このように、米国株は米中間選挙によって上昇しやすいかもしれませんが、イベントとしては米CPIの方が重要で、この内容次第で金融市場はどちらにでも動くことになります。
豪ドル/米ドルは、基本的に押し目買いの相場へ。下降チャネルの上限に向けた反発が期待できそう
今の時期は基本的にリスク選好になりやすく、そのため、豪ドル/米ドルは上昇しやすいときになります。
チャートを見ると、豪ドル/米ドルは今年(2022年)の4月から、下降チャネル内での推移となっています。
下降トレンドが続いていますが、10月13日(木)に0.6170ドル付近で反発していて、この水準は下降チャネルの下限付近にあたります。
(出所:TradingView)
ユーロ/米ドルも、2月から下降チャネル内での推移が続いていましたが、先月(10月)下旬に下降チャネルの上限を上に抜けています。
(出所:TradingView)
ただし、上に抜けたからと言って、ユーロ/米ドルが上昇トレンドになるイメージはまだありません。
過去のコラムでも、ユーロ/米ドルが下降チャネルの上限を超えること、その後は揉み合いになることを伝えましたが、その揉み合いはまだ、続くのではないかと考えています。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル/円は140円まで下がる可能性も。ファンダメンタルでは買いだが、テクニカルでは日足のMACDがダイバージェンス。FOMC、米雇用統計、米CPIが米ドルの行方を決めることに(11月1日、バカラ村)
⇒ユーロ/米ドルは、0.9940ドル前後や1.0000ドルへ上昇か。ECBの利上げ継続や、米国株上昇による米ドル安が支え。介入が続くなか、日銀会合で円安になりにくい政策が出る?(10月25日、バカラ村)
豪ドル/米ドルもユーロ/米ドルと同様に、揉み合い気味の動きになるとは思いますが、基本的にはリスク選好になりやすいことから、下降チャネルの上限に向けた反発が期待できるのではないかと思います。
現在、豪ドル/米ドルの下降チャネル上限は0.67ドル台にあります。この水準は、時間とともに下がってきますが、そこに向けた反発は期待できるように思います。
(出所:TradingView)
ユーロ/米ドルが揉み合いのため、豪ドル/米ドルも上がっているところで買うと高値掴みとなりそうですが、豪ドル/米ドルは基本的には押し目買いの相場ではないかと考えています。
このように、今はリスク選好と考えていますが、11月10日(木)発表の米CPIの内容で、金融市場で全体的に動きが変わる可能性はあります。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)