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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

米ドル/円は、130円に向けて下落中! FRBのパウエル
議長が12月の引き締めペース減速を示唆。米ドル/円は
米2年債利回りの動きを見つつ、戻りを待って売りたい

2022年12月01日(木)17:30公開 (2022年12月01日(木)17:30更新)
西原宏一

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パウエル議長の講演で米ドル/円は136円台へ急落!

 みなさん、こんにちは。

 本日(12月1日・日本時間未明)、市場の注目を集めていたパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の講演が開催されました。

 パウエル議長は「早ければ12月にも政策引き締めペースを減速させる」と示唆。

 パウエル議長は「早ければ12月にも政策引き締めペースを減速させる」と示唆した (C)Bloomberg/Getty Images News

 一方でインフレとの闘いは終了からほど遠いと強調し、「金利は一段と上昇し、景気抑制的な水準にしばらくとどまる」との見方を明らかにしています。

 しかし、前述の「12月にも政策引き締めペースを減速させる」とのコメントがフォーカスされ、12月13-14日のFOMC(米連邦公開市場委員会)会合では0.5%の利上げになるとの観測が拡大。米金利は低下しました。

 米金利先物市場では、12月の利上げは0.5%とほぼ織り込んでいたので、個人的にはそれほどサプライズはありませんでしたが、パウエル議長のコメントにより、ターミナルレート(利上げの最終地点)が5%程度になるとの見方も増え、米2年債利回りは、4.5454%から4.3102%へと急落。

 米2年債利回りと相関性の極めて高い米ドル/円も139円台後半から136円台半ばまで反落しています。

エントリーポイントを探るのが難しい局面

 仮に米ドル/円が130円まで下落するとの想定どおりにいけばトレードは簡単なのですが、注意すべきは、そのエントリーポイントです。

 過去のコラムでご紹介させていただいているように、米ドル/円は151.95円で天井をつけているとのスタンスは変わりません。

 しかし、その後の米ドル/円は一気に15円近く急落しています。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:TradingView)

 今年(2022年)の米ドル/円はボラティリティが高いとはいえ、一気に15円も急落すれば、当然調整幅も大きくなります。

 米ドル/円の下落時に売りでエントリーしてしまうと、簡単に踏み上げられてしまいます。

 なぜ、こういう不安定な相場になっているのかは、米2年債利回りの推移が影響しています。

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米ドル/円が米2年債利回りを先導

 下の図は米2年債利回りと米ドル/円の相関チャートです。

米ドル/円と2年債利回り・日足
米ドル/円と2年債利回り・日足

(出所:TradingView)

 10月21日(金)に米ドル/円が151.95円の今年(2022年)の高値に到達するまでは、米2年債利回りが牽引する形で、米ドル/円がきれいに追随して上昇しています。

 ところが、10月21日(金)に介入が入ったタイミングで、この相関が逆転。

米2年債利回りが高止まりしても、米ドル/円は暴落したのです。

 151.95円に到達する前の相場は、米金利の高止まりにも関わらず、米ドル/円が急反落した場合、タイムラグをおいて必ず米ドル/円が反発し、米2年債利回りとの相関を守っていました。

 しかし10月21日(金)以降は、米ドル/円が先導する形で、米2年債利回りが下落する形になっています。

 米金利の下げ自体は緩慢であるため、米ドル/円は15円急落した後、一時5円も反発しましたが、再び急反落という相場を繰り広げています。

米ドル/円はこうした急反発をはさみながら、徐々に米2年債利回りとの乖離を埋め、下落相場を形成しています。

 そのため、トレードにおいては、米ドル/円が急落して、米2年債利回りとの乖離が拡大した局面ではエントリーを避け、戻りをていねいに待って米ドル/円を売る必要があります。

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米ドル/円は130円を目指して戻り売り

 米国債利回りが、2年債利回りを中心に穏やかに低下している環境下では、米ドルは徐々に値を下げる展開。

 米ドル/円はボラティリティが高いので、2年債利回りと大きく乖離して下落した局面での売りエントリーは避けること。

 そして、130円を目指してていねいに戻り売り、とします。


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