ビットコインの急落で、米国株反発のシナリオに影響が!
みなさん、こんにちは。
今週(11月7日~)のマーケットはまず「米中間選挙後の米国株高」という、強いアノマリーが注目されていました。
実際、今週の米国株は米中間選挙を控え、8日まで堅調に推移。
しかし9日のNY市場では、米国株が突然急落しました。
センチメントが悪化した材料は米中間選挙の結果ではなく、仮想通貨(暗号資産)の急落です。
仮想通貨交換業者のバイナンスは、同業FTXの買収計画の撤回を発表。バイナンスの広報担当は、FTXが抱える問題は「バイナンスには手に負えない、ないし支援できる範囲を超えている」と説明。
出所:Bloomberg
この発表を受けてビットコインは下げを拡大し、一時1万6000ドルを割り込んで急落しました。
(出所:TradingView)
同じリスクアセットのナスダックは2.5%急落。
今月に入って、米中間選挙というビッグイベントも消化し、底固めをしていたS&P500も2.1%下落。
このビットコインの急落によって、米系投機筋は「米中間選挙から2023年に向けて米国株は反発する」といったシナリオの修正を迫られています。
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法定通貨以外の取引はかなり厳しかった2022年
ここで今年の金融市場を振り返ってみましょう。
為替を中心にトレードしていると見落としがちですが、2022年は法定通貨以外の取引はかなり厳しい状況です。
FRB(米連邦準備制度理事会)が連続利上げをしたことから、米国株、米国債券とも下落。リスクアセットである、仮想通貨も年間を通して上値が重い展開が続いています。
そんな中、通貨(米ドル)だけは大きく値を上げ、多くのヘッジファンドの収益の大きな支えとなっています。ちなみに、グローバルに通貨といえば、基軸通貨である米ドルを指します。香港のファンドも資金管理は香港ドルではなく米ドルで管理しています。
その米ドルを上昇させた要因は、FRBの連続利上げ予測。
視点を変えれば、FRBの連続利上げ予測が後退すれば、米国株や米国債券も反発することになります。
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米2年債利回りがFRBのターミナルレート予測も織り込んでおり、米ドル/円は151.95円が天井か
ではここで米金利の動向をみてみましょう。
米のフェデラルファンド(FF)金利先物市場によれば、2023年の春、FF金利はほぼ5.00%程度まで上昇することを織り込んでいます。
一方、米2年債利回りは4.799%の高値をつけて反落しています。
(出所:TradingView)
この4.799%という金利は、ほぼ5.00%。
年末に向けて、FRBのターミナルレート(利上げの最終地点)の予測が大きく上振れない限り、この米2年債利回りは、来年のFRBのターミナルレート予測をほぼ織り込んでいると想定されます。
米ドル/円市場も同様。
10月のコラムでもご紹介しましたが、米ドル/円は、金利面でも、テクニカル面でも151.95円が当面の天井になる可能性が高まっています。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル/円は151.95円で天井を付け、急落する可能性に警戒! 当面は戻り売りの展開か。米利上げ最終地点の見通しに変化、米ドルは大きなターニングポイントに!(2022年10月27日 西原宏一)
なにより米ドル/円と相関性の高い米2年債利回りが5.00%を超えて急騰するような環境にならない限り、上値は重いと思われます。
結果、米ドル/円は151.95円で天井をつけた、という方針は変わらず。
(出所:TradingView)
米ドル/円は11月9日に節目の145.00円を割り込めず146円台まで反発していますが、ドル金利の急騰がなければ、米ドル/円の上値も重い展開は変わりません。
米2年債利回りの動向を横目に、米ドル/円の戻り売りを継続します。
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