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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

米ドル/円は、130円に向けた戻り売り! シリ
コンバレー銀行の破綻やクレディスイスの危機
で、リスクオフ的に買われるのは日本円一択!

2023年03月16日(木)09:38公開 (2023年03月16日(木)09:38更新)
西原宏一

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全米第16位のシリコンバレー銀行が2日で破綻の衝撃!

 みなさん、こんにちは。

 今月(3月)最大の注目といわれた米国のCPI(消費者物価指数)が今週(3月13日~)発表されましたが、それを遥かに凌駕するショックが金融市場を襲いました。

 それが「SVB(シリコンバレー銀行)ショック」。

 米シリコンバレー銀行(SVB)が、3月10日(金)に経営破綻したことを受け、米金融市場ではリスクオフの流れが強まり、株安・債券高が進行。

 強烈だったのが米債券市場の暴騰(利回りの急落)でした。

 節目である5.00%台に乗せていた米2年債利回りは、SVBショックを受け、一気に4.00%を割り込み、一時3.7115%まで暴落。

米2年債利回り 日足
米2年債利回り 日足

(出所:TradingView

結局、SVBはわずか2日で破綻してしまいました。

ムーディーズ格付け「A」評価のSVBがなぜ破綻してしまったのか?

 ここでSVBとはどのような銀行だったのか確認しましょう。

 SVBは、もともと全米第16位の銀行でした。しかも、ムーディーズの格付けではAランクを取得していました。それに加えて、経済誌・フォーブスでSVBはアメリカンベストバンクの20位にランクインしています。

 このように一定の評価を得ていたSVBですが、わずか2日で経営破綻に追い込まれてしまったのは、デリバティブなどのリスクの高い商品に手を出していたからなのでしょうか?

 答えは「ノー」です。

 SVBは(もっとも安全といわれている)米国債に大量の資金を投下していました。

 しかし昨年(2022年)からFRB(米連邦準備制度理事会)が急激に政策金利を引き上げたため、SVBが保有している債券が急落してしまったのです。

 加えて、SVBに資金を預けていたスタートアップ企業もSVBの預金を次々と引き出し始めました。結果、SVBはあっという間に破綻してしまったというわけです。

 全米第16位の銀行がわずか2日で破綻してしまうことを誰が想像できたでしょうか。

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相次ぐ米銀行破綻を受け、ムーディーズは米国のバンキングシステムの見通しを「ネガティブ」に引き下げ

 そしてSVBに続き、全米第29位のシグネチャー銀行も経営破綻しています。

 そして、ムーディーズは約1週間のうちにシルバーゲート銀行、SVB、シグネチャー銀行の3行が相次いで破綻したことを受け、米国のバンキングシステムの見通しをこれまでの「安定的」から「ネガティブ」に引き下げたようです。

ムーディーズ、米銀システム見通し「ネガティブ」に-1週間で3行破綻

出所:Bloomberg

 また、全米14位のファースト・リパブリック銀行を含む6行についても格下げ方向で見直すと報道されており、今月(3月)初旬のFRBが連続利上げするというコンセンサスは大きく後退。

 これは、FRBが政策金利を上げ続けると、今回のSVBのような事例が発生するためです。

 金利先物市場では年内の連続利下げを織り込み始めています。

金融大手クレディスイス破綻のウワサでリスクオフ加速

 そして、3月15日(水)の欧州市場で今度はグローバルバンクの破綻のウワサが駆け巡って、一度反発していた米2年債券利回りは再び4.00%を割り込み、米ドル/円も再び132円台に急落しました(日本時間3月15日21時頃)。

米2年債利回り 1時間足
米2年債利回り 1時間足

(出所:TradingView

米ドル/円 1時間足
米ドル/円 1時間足

(出所:TradingView

 SVBショックで神経質になっている金融市場で、もうひとつリスクオフを加速させる報道が欧州市場に流れます。

 それは、金融大手クレディスイス破綻のウワサです。

 もともとクレディスイスはアルケゴス等との取引による巨額損失の報道もあり破綻のウワサが絶えなかったのですが、今回のSVBショックで再びクレディスイスが話題に。

【※関連記事はこちら!】
リーマンショック再来!? 「クレスイ(クレディスイス)ショック」は起きるのか?(2022年10月3日、西原宏一&大橋ひろこ)

 破綻のウワサを加速させたのが、下記の報道。

クレディS筆頭株主が追加支援否定-株価急落、CDSは危機水準

出所:Bloomberg

 筆頭株主が追加出資の可能性を否定したのを受け、同行株価は24%安と過去最大の下落率を記録。上場来安値も更新しています。

 同行社債の保証コストは2008年の金融パニックを彷彿とさせる危機的な水準に上昇。

 株価と社債価格の急落を受け、クレディスイスの破綻確率は急上昇しています。

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リスクオフで選択される円。米ドル/円は130円に向けた戻り売り

 こうしたリスクオフの環境下では、通常米ドルや、日本円、そしてスイスフランが買われます。

 まず今回、米金利が急落しているので米ドルは選択しづらい。スイスフランは前述のクレディスイス破綻の報道で買い進みづらい。

 そのため、リスクオフで日本円が選択され、他通貨に対して円が急騰しています。

 SVBの破綻や、クレディスイス株急落の報道を受けても、本稿執筆時点での米ドル/円は132円台前半でサポートされています。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:TradingView

 ただ米銀の相次ぐ破綻という環境下、米金利先物市場では利上げどころか、FRBの年内利下げを織り込み始めており、米金利の上値は限定的。

 結果、軟調な米金利と歩調を合わせるように、米ドル/円も下落中で、130円に向けて戻り売りが良さそうです。

 米2年債と米ドル/円の動向に注目です。


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