「次に潰れる銀行は」の不安でリスクオフへ
3月10日(金)に米シリコンバレーバンク(SVB)が経営破たんし、今朝(3月13日朝)には、ニューヨーク州を拠点とするシグネチャーバンクも事業停止となりました。
日銀、米雇用統計とイベントの続いた先週(3月6日~)でしたが、それどころではありません。
「ノーランディング」なんていう言葉が出てきて、楽観が広がってからの、この事態です。
米ドル/円は今朝、133円50銭台まで急落しましたが、米財務省・FRB(米連邦準備制度理事会)・FDIC(米連邦預金保険公社)が、預金を全額保護すると共同で発表し、135円へ全戻し。
ところが、米金利が急落していることで、再び133円台へと下落しています。
(出所:TradingView)
市場は「次に潰れるのはどこか」と疑心暗鬼になっています。
3行目、4行目が出てきても、預金の全額保護を続けられるかどうかも疑問ですね。
米金利急落、3月22日FOMCは金利据え置きも
米国の友人も、中小銀行の預金を引き出していました。
僕であっても、中小銀行に預けた資金を大手行に移そうとするでしょうし、今後はパニック的な取り付け騒ぎが拡大するかどうか、ですね。
これだけ急ピッチで利上げが進めば、米国債での運用にリスクがあることはわかっていたはずですから、SVBは単純に運用が下手だった、ということですが、もっと上手に運用していた銀行でも、取り付け騒ぎが起こってしまうと資金が足りなくなる懸念はあります。
今こうして話している間にも、米金利は急落しています。
3月9日(木)に5%台だった米2年債利回りは、あっという間に4.3%台です。
前場の日経平均も437円安と大きく下げて引けており、リスク資産から安全資産の債券へと資金が動いているようですね。
(出所:TradingView)
来週、3月22日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、0.25%か0.5%の利上げが織り込まれていました。
SVBの件で0.5%の織り込みは消失。さらに、ゴールドマンサックスは据え置きの予想を出しています。消えかけていた年内利下げの織り込みも、復活しています。
こうしたことが、米金利急落の背景でしょう。
もし4%へと再び接近するようだと、米ドル/円は130円を割ってもおかしくありません。
(出所:TradingView)
仮想通貨市場では、ステーブルコインのUSDCで米ドルとのペッグが外れ、一時30セント台まで暴落しました。
発行元であるサークル社が、SVBに資金を預けていたことが不安視されたようです。
サークル社が安全性を表明し、99セント台まで回復していますが、シグネチャーバンクは仮想通貨関連を主要顧客としていましたから、今後、仮想通貨市場全体に影響が出てくるかもしれません。
明日の米CPI、バイデン米大統領は「良好な内容」と楽観視
明日(3月14日)は、米CPI(消費者物価指数)が発表されます。
今週からサマータイムのため、21時30分発表ですが、バイデン米大統領は「良好な内容になるだろう」と発言しています。
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米CPIが低下していれば、米金利はさらに低下しますね。
利上げ打ち止め・年内利下げの見通しが高まると、再び株が買われるようなことがあるかもしれません。
SVBの件で注目されていませんが、先週はサウジアラビアとイランが外構の施錠化で合意しました。
注目すべきは、仲介したのが中国だということですね。
地政学リスクの低下はいいことですが、中国が仲介したということは、米国の威信低下、ひいては米ドルの信任低下にもつながります。
米ドル基軸体制を支える要因のひとつが、資源取引の決済通貨として米ドルが利用される「ペトロダラー」でしたが、今回の件は「ペトロ人民元」にはずみをつけることにもなりかねません。
長期的には米ドル安要因となるかもしれませんね。
スイスフラン、円が買われ、米ドルが売られる展開に
今週(3月13日~)は、ECB(欧州中央銀行)理事会も開催されます。0.5%利上げが既定路線。
取り付け騒ぎが欧州へ波及するとは思いませんが、SVBのように、米国債で巨額の含み損を抱えて、経営に不安のある銀行があるのかどうかなど、質問が出るかもしれません。
今週の戦略ですが、金曜日以降ではもっとも買われたのがスイスフラン、次いで円。売られたのは米ドルです。
リスクオフでスイスフランが買われているのだとすれば、米ドル/スイスフランの売りでもいいでしょうし、もっとシンプルに米金利低下での米ドル/円ショートでもいいでしょう。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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