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米ドル/円は上下しつつも、結局はレンジ的な動きに?
このところの米ドル/円相場ですが、4月28日(金)の日銀政策決定会合後に急騰し、5月3日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)や同4日(木)のECB(欧州中央銀行)理事会を受けて急落し、同5日(金)の米雇用統計でリバウンドしつつも、同10日(水)の米CPIが落ち着いた数字だったことで再度133円台に突っ込むなど、「結局はレンジ?」的な動きになっています。
(出所:TradingView)
少し状況を整理しましょう。
米ドルの買い材料、売り材料を並べてみます。
この中で、米国の債務上限問題は、大変なことになる可能性はありますが、確率は極めて低いと思います。0.1%もないでしょう。
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⇒米債務上限問題とは? 債務が上限に到達したらどうなるのか、注目されるようになった理由、トレーダーが気をつけるべき点などを、わかりやすく解説!
民主党、共和党、それぞれ自分達が政策遂行するためにどれだけ頑張っているか、支持者に訴えなければなりません。ですから、危機も煽られるでしょうし、直前には本当に冷や汗が流れるシーンもあるでしょう。
でも、同じことを過去に何度もやっています。米国経済のデフォルトなど、取りようのない選択肢です。とても合意には至らなそうな雰囲気にはなりますが、最後は債務上限を大幅に修正して終わります。
今回は、共和党のマッカーシー下院議長のコントロールの利かない、一部の強硬なトランプ支持派がいます。彼らはどんなことがあっても妥協しないでしょう。最近の世論調査では、次の大統領選挙がバイデンVSトランプとなった場合、トランプ氏の支持率が上回るという結果がでました。そのこともあり、トランプ支持は強硬でしょう。合意は難しそうに見えます。それでも、最後は何か策があるはずです。デフォルトは回避されるはずです。
日本の金融政策は消極的に円安を抑える役目を果たすか
日本の金融政策も「読めない」ところがあります。
4月28日(金)の日銀政策決定会合後の植田新総裁の会見では、基本的には金融緩和を続けたい総裁の意向が示されましたが、直後に円安になった影響か、次の会見では、物価見通しがしっかりしてくればYCC(イールドカーブ・コントロール)解除と明言しました。
ここからわかるのは、YCC解除等、引き締め方向の政策変更の鍵を握るのは、実は為替相場ということです。円安になると、YCCやマイナス金利の解除をしてくるでしょう。
その意味では、日本の金融政策は消極的に円安を抑える役目を果たすと思います。でも、どこまでインパクトがあるのかといえば、最初は効果があっても、後半には効果はなくなるでしょう。
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すべては米国経済次第。リセッション回避なら米ドル/円は140円台半ばへ
そして、もっとも読めないのは米国経済です。米中小地銀の問題から「与信厳格化→信用収縮(クレジットクランチ)」が始まるとすれば、それがどの程度、米国経済の成長を抑えるのか、ここがわかりません。
もしかしたら、リーマン・ショック以上のリセッション(景気後退)が待っているのかもしれません。しかし、リセッションするにしても、深刻なリセッションなのか、少しマイナス成長になるぐらいなのか、それともマイナス成長が回避される形で終わるのか、そこは読めません。
最初にSVB(シリコンバレー銀行)破綻の話がでてきた時には、すごいことになると思いました。信用収縮から、リーマン・ショック級のリセッションがついに来るかとも思いました。しかし、そこはまだ結論を出せません。
パウエルFRB議長は3月に開催されたFOMCの会見で、利上げ幅で考えると、0.25%の利上げに匹敵すると言っていましたが、それでは少なすぎるとは思いました。
突き詰めれば、米国経済のリセッションが回避されるのか、それとも深刻なものとなるのか、それが米ドル/円相場の行方を決めると思います。
(出所:TradingView)
リセッションが回避されれば、日米金利差からキャリートレード的な動きになると思います。じわじわ140円を狙い、突破し、140円台半ばぐらいまで行くのでは無いかと思います。
軽いリセッションぐらいなら、少し円高に行くかもしれませんが、125円前後止まりで、再びレンジ相場という感じかなと思います。
米国が深刻なリセッションに陥れば、米ドル/円は100円近くまで下落もあり得るか
問題は、米国が深刻なリセッションとなった場合です。
商業用不動産が不良債権化し、銀行の破綻が止まらず、しかもノンバンクからも倒産企業が続出する場合、米国株も急落するでしょうから、米ドルは間違いなく落ちます。
米ドル/円は125円をしっかり割り込んでくれば、米国への投資を見直す動きもでてきて、最終的に100円前後まで落ちたとしても不思議ではないと思います。
(出所:TradingView)
140-150円になるかもしれないし、100円近くまで落ちるかもしれないと言うと、ちゃんと分析しているのかと言われるかもしれません。
しかし、米国のリセッションが深刻な場合、100円ぐらいまで落ちてしまう可能性は考慮しておかなければならないでしょう。すべては米国経済次第と考えます。
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