為替相場にとっての日銀報道はノイズ!?
みなさん、こんにちは。
今年に入ってからの日銀報道をきっかけとした、米ドル/円での米ドル高はノイズであり続けています。
前回の日銀金融政策決定会合が、マーケットが想定している以上にハト派だったことから、米ドル/円は一気に137.77円まで急騰。
200日移動平均線(=137.03円)をクリアに超えてきたことから、米ドル/円のブル派が勢いづく展開となったのが今月の初旬。
ただその後、米地銀破綻の報道などもあり、日銀報道による上昇分を2日で全て失い、133.50円まで全戻ししています。
(出所:TradingView)
1月の日銀会合後の米ドル/円の急騰も全戻ししましたが、今回の日銀会合をきっかけとした米ドル高も全てノイズで終わっています。
米ドル/円はレンジ圏内での乱高下が継続
昨年(2022年)の米ドル/円は久しぶりに「米ドル高・円安」というきれいなトレンドがでて、非常にわかりやすい相場だったのですが、それが一変しています。
今年に入ってからの米ドルの動きは一方向ではなく、対円では米ドル高ですが、対欧州通貨では米ドル安という展開も米ドル/円の動きを複雑にしています。
結果、当然調整はあるものの、欧州通貨/円は、上昇トレンドを形成しておりユーロ/円やスイスフラン/円、英ポンド/円をメインにトレードしたほうがわかりやすいマーケットになっています。
そのため、米ドル/円単体はトレンドが続かないことを念頭にトレードしなければならず、要注意です。
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ユーロ/米ドルの膠着は次の米ドル安への序章
一方、欧州通貨は対米ドルで堅調に推移しており、こちらでは米ドル安が鮮明となっています。
ユーロ/米ドル、米ドル/スイスフラン、英ポンド/米ドルでは、年初来の米ドル安がじわじわと進行中。
ただ過去1カ月のユーロ/米ドルは1.1100ドルがなかなか超えられない展開。
では、ユーロ/米ドルはトップアウトしたのでしょうか?
ここで5月の両中央銀行のスタンスを確認してみましょう。
5月3日と4日にFRB(米連邦準備制度理事会)とECB(欧州中央銀行)は、それぞれ0.25%の利上げを行い、それぞれ5.00%~5.25%と3.25%とに政策金利は引き上げられています。
そして、米国では引き締めの一服が迫っているか、もしくはすでに始まっている可能性があります。
一方、EU(欧州連合)ではそうした一服は見られず、さらなる引き上げがありそうだということが明確に示されているため、両中央銀行のスタンスの相違がユーロ/米ドルの強気要因であることに変わりはありません。
(出所:TradingView)
マーケットはユーロ/米ドルがなかなか1.1000ドル近辺での膠着を抜けられないため、ユーロ強気派に多少の疲弊感が出てきていますが、ユーロ/米ドルはこの膠着からのブレイク待ちです。
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中銀総裁が「インフレ率は高すぎる」と示唆するスイス高は続く
一方、スイスフランの底堅さは変わらず。
今月4日には米ドル/スイスフランが一時0.8820フランという年初来安値を更新して、スイスフランは値を上げ続けています(米ドル/スイスフランは下落)。
(出所:TradingView)
スイスフランは、中央銀行総裁が「インフレ率は高すぎる」とし、利上げの継続を示唆していることも、スイスフラン高を支えている要因の一つ。
スイス中銀総裁、追加利上げ示唆「インフレ率は高すぎる」
スイスフランはゴールド(金)も2035ドルと、年初来高値更新をうかがっている展開であることもサポート要因のひとつです。
欧州通貨/円がトレンドになっていることから、米ドル/円単体ではトレンドがなく、乱高下が続く可能性も高いので要注意。
中央銀行総裁が「インフレ率は高すぎる」とし、ゴールドも堅調なことから、0.8500フランへと下値余地が拡大している米ドル/スイスフランに注目です。
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