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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

リスクオフ相場で「株安・ゴールド高・資源国通貨安・
スイスフラン高」が継続。日本円は逃避通貨から脱落、
スイスフラン/円は170円、米ドル/円は155円へ!

2023年10月19日(木)17:10公開 (2023年10月19日(木)17:10更新)
西原宏一

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スイスフランは圧倒的に強い!史上最高値を更新!

 みなさん、こんにちは。

 今週も最強通貨スイスフランは続伸。年初来高値を上抜き、一時167.19円と史上最高値を更新しています。

スイスフラン/円・週足
スイスフラン/円・週足

(出所:TradingView

 スイスフランが上昇しているのは、引き続きパレスチナ・イスラエル戦争によるもの。

 パレスチナ・イスラエル戦争のようにマーケットに大きな負荷のかかるリスクオフの環境下では、避難通貨のスイスフランは圧倒的に強いのです。

 そのパレスチナ・イスラエル戦争の行方はますます混迷を深めています。

 今週もガザ地区の病院爆破で多大な被害が出たことが大きく報道されています。

 この原因がイスラエルによる爆撃が原因なのか、ハマス側が行ったのかで論争になっています。

 イスラエルを訪問しているバイデン米大統領はガザ地区の病院爆破については、「イスラエルの責任ではない」とする米国防総省の証拠を確認したと発言。

 個人的にもイスラエルが病院を爆破することはないと思いますが、仮にイスラエルが爆破させたとしても、米大統領はそれを否定せざるを得ません。

 仮にバイデン大統領が「イスラエルが病院を爆破したことを確認した」などとコメントすれば、「米国はイスラエルをこれ以上支援するのが難しくなった」という意味になり、大問題になるからです。

米国とイランを巻き込んだ代理戦争への懸念

 気になるのがイランの動向です。

 イランのアブドラヒアン外相は、イスラム諸国によるイスラエルへの「全面的かつ即時のボイコット」を訴え、石油の禁輸とイスラエル大使の追放を呼び掛けています。

 特に注目されるのは、壊滅的な代理戦争の懸念。

 現時点でこの紛争は中東地域に留まっていますが、暴力行為がエスカレートすれば、米国とイランを巻き込んだ、より壊滅的な代理戦争が勃発するのではないかということをマーケットは懸念しています。

 こうした状況下では、基本的にリスクオフ相場が継続。

 つまり「株安、ゴールド高、資源国通貨安、スイスフラン高」という流れが続く公算が高まっています。

 次に、避難通貨から転落した日本円についてチェックしてみましょう。

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日本円は極めてリスクに弱い通貨に転落

 本来リスクオフの環境下での日本円は、スイスフランと並び避難通貨として極めて高いパフォーマンスを演じていました。

 ところが10年ほど前から、日本円は避難通貨から脱落。

 今回のパレスチナ・イスラエル戦争での日本円は極めて軟調に推移しており、リスクに極めて弱い通貨に転落しています。



 本稿執筆時点での米ドル/円は149.80円と150.00円突破目前のレベルで推移。

米ドル/円・日足
米ドル/円・日足

(出所:TradingView

 ただ、150円台での政府・日銀の介入警戒感が払拭できず、高値圏での膠着相場となっています。

 通貨介入について日銀は、為替相場の水準ではなく、ボラティリティ(=変動率)を重視すると繰り返しコメントしています。

 今月(10月)の米ドル/円は総じて148.00~150.00円での狭いレンジで推移しているのみ。

 この米ドル/円相場は、とても変動率が高いとは言えませんので、日銀が介入するのは極めて難しい。

 ただ、ボラティリティ自体を短期のものとせず、例えば年間の変動率と見方を変えれば、米ドル/円は安値から23円上昇しているともいえますので、介入が可能となります。

 これだけ膠着している米ドル/円相場にいきなり日銀の介入が入ったとすれば、その正当性をどう主張するのかが興味深いとも言えます。

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スイスフラン/円は170円へ、米ドル/円も155円に向けて押し目買い

 ともあれ、避難通貨から転落し、日米の金利差にリードされて値を上げている米ドル/円はじわじわと155円に向けて上昇中。

 トレードの観点からいえば、米ドル/円での米ドル買いはスワップが取れるほうのポジションなので、時間がかかっても好都合とも言えます。

 乱高下に巻き込まれて、安値でぶん投げるというリスクが減ることになるからです。

スイスフラン/円・日足
スイスフラン/円・日足

(出所:TradingView

米ドル/円・週足
米ドル/円・週足

(出所:TradingView

 パレスチナ・イスラエル戦争の行方が混沌とする中、世界一の安全通貨スイスフラン/円は170円へ

 介入懸念はあるものの避難通貨から脱落し、日米の金利差にリードされて底堅い米ドル/円も155円に向けて押し目買いで。


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