植田日銀総裁の緩和継続表明で円安再開
みなさん、こんにちは。
先週11月1日、神田真人財務官による「為替介入は“スタンバイ"状態だ」とのコメントをきっかけに、米ドル/円は反落。
ドル金利も軟調に推移したこともあり、米ドル/円は一時149.25円まで下落。
【※関連記事はこちら!】
⇒円安よりもユーロの急失速に警戒! ユーロ/円は156円程度まで下落する可能性が高まる!米ドル/円は高値を追わず押し目待ち、目先は148円~152円でもみ合いか(2023年11月2日、西原宏一)
(出所:TradingView)
しかし今週に入り、植田日銀総裁による緩和継続コメントが報道され、円安相場が再開。米ドル/円は再び、151円台中盤まで反発しています。
植田日銀総裁、望ましい水準よりも低いインフレ率の修復は困難
(出所:Bloomberg)
さらには、「基調的な物価上昇率はなお2%をやや下回る」ともコメントしています。
こうしたコメントは金融緩和継続を意味することになるので、米ドル/円が反発するのもうなずけます。
財務官のスタンスは「投機的でけしからん」!
では、もう当局による「米ドル売り円買い介入」は意識しないでいいのでしょうか?
日銀総裁が金融緩和策継続を表明し円安を誘引しているわけですが、神田財務官のスタンスは変わっていません。
これまでの神田財務官の為替に関するコメントをまとめると下記の通り。
【1】為替の激しい下落時、国は「利上げか為替介入で対抗」
【2】為替円安「より緊張感高い状況」、急激な動きを懸念
そして先週の「スタンバイ」コメント。
【3】為替介入「スタンバイだ」…市場けん制「過度な変動にあらゆる手段排除せず」
つまり神田財務官は、現在の円安はファンダメンタルズを反映しておらず、投機的でけしからんというスタンス。
神田財務官、円安進行「投機的な動きには対応」
(出所:日本経済新聞)
財務官による「為替介入スタンバイ」コメントでせっかく円安トレンドを抑制したわけですが、植田日銀総裁の緩和継続コメントで円安を誘引することをなぜ許すのか、理解し難いところです。
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日銀総裁曰く「円安は緩和策の副作用」!
一方、日銀総裁は、この円安は副作用だとしています。
物価見通し「誤りあった」=円安も緩和の副作用―植田日銀総裁
(出所:時事通信ニュース)
その副作用を介入で抑えるということなのでしょう。
どちらにせよ、11月1日に財務官は介入スタンバイとコメントしているので、介入警戒感はかなり高まっています。
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介入でこの円安トレンドを沈静化することができるのか?
昨年介入が入った局面の米ドル/円の高値は151.95円、年初来高値は、10月31日に到達した151.72円。
(出所:TradingView)
2024年の米ドル/円に関しては、155円や160円といったさらなる円安を予測する銀行も多いのですが、主要米銀の米ドル/円の年内高値は152円が目立ちます。
結果、数日のボラティリティ(振れ幅)ではなく、年初来安値から25円強の円安である152円レベルは、当局は投機的な動きとして介入が実施される公算は高まっていると想定してます。
筆者も来年に向けては155~160円に向けて円安が継続する可能性が高いと想定していますが、本稿執筆時点での152.00円レベルは介入が実施される公算が高いのではないかと考えています。
米ドル/円の151円台の後半の攻防に注目です。
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