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米ドル/円は理解しがたい動きの中で何か起こっていたのか?
前回のコラムの復習です。日銀、FOMC(米連邦公開市場委員会)、米雇用統計と大きなイベントが続いた後でした。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル/円は149円台前半へ下落。FOMCはハト派的、米雇用統計は久しぶりに弱く米金利急低下が影響。米ドルはピークを打ったと見てもよいのか?(11月5日、志摩力男)
(※筆者提供)
これを素直に解釈すれば、米金利は低下し、日本の金利は上昇、米ドル/円は下落するはずです。
しかし、米ドル/円は149.20円まで下落したものの、今週(11月6日~)、特に何も材料がない中、ほぼ高値圏に戻っています。多くの方にとって、理解し難い動きだったのではないかと思います。
前回のコラムでは、私は下記のように指摘させて頂きました。
(※筆者提供)
米ドル/円はあっさりと151円台に戻しています。上記のような材料が出ても下がらないということは、この先、相当のすごい材料が出てきても、米ドル高・円安相場を転換させることは難しいということだと思います。
事実、私が聞いている限りでは、米ドル/円の149円台というのは、相当良いネームが買っていたと聞こえています。長期プレーヤーなので簡単に方針は変えないようなところです。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
つまり、円に見切りをつけ始めているということです。彼らも大量に円を持っています。これまでは、何か経済危機等があれば、「リスクオフの円買い」ということで円が買い戻されることで、ポートフォリオのヘッジになっていました。
2023年10月7日(土)、ハマスによるイスラエルへのテロ攻撃がありました。世界を揺るがす大事件です。金(ゴールド)が買われ、原油が買われ、為替市場ではスイスフランが買われましたが、円が買い戻されるということはついに起きませんでした。
【※関連記事はこちら!】
⇒ハマスのイスラエル攻撃から1週間経過し情勢はどう動いた?何かの衝撃で原油が100ドル超となれば米ドル/円は155円へ向かうことも想定すべきか(10月15日、志摩力男)
「リスクオフの円買い」まで消えた以上、ポートフォリオのヘッジとして円は無意味と判断されたのではないかと推測します。
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2024年の円高・米ドル安予想は本当なのか? 円安を止めるのは日銀の政策変更しかない!
アナリストの間では、米国はいずれ金融緩和に転じる、そして来年(2024年)日銀はマイナス金利解除に動く、金融政策の方向性が逆転することで、円高・米ドル安になる……そういう予想がよく聞こえてきますが、今年(2023年)と同じ間違いをしている可能性があるように感じます。
米金利が0.5%低下しても円高になりませんでした。ウクライナにおける戦争、イスラエルとハマスの戦争が起こっても、有事の円買いはありませんでした。この円安を止めるのは、日銀の政策変更しかありません。
しかし日銀は日銀で、賃金と物価の好循環による、持続的安定的な2%の物価目標を目指し、突き進んでいます。
それは、2013年1月、「政府日銀の共同声明」で決まったことで、日銀は日銀の使命を果たそうと全力を尽くしています。実現までにはまだ距離感があると、昨日(11月9日)行われた、FT紙マーティン・ウルフ氏とのインタビューでも、植田総裁は語っています。
Bank of Japan governor warns unwinding ultra-loose policy is ‘serious challenge’
(出所:FT紙)
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とにかく「円安トレンド」継続!経済指標やチャートポイントはあまり関係ない
日銀の言う、「持続的安定的な2%の物価目標」とは本当に可能なのでしょうか?
不可能とは言いませんが、相当難しいと個人的には思いますが、日銀はその目標に向かうしか選択肢はないので、現下の円安トレンドを変えるのは、かなり難しいでしょう。
円安が嫌ならば、「政府日銀の共同声明」を変更するしかありません。日銀は押し付けられた側なので、政治サイドからしか変えることはできないのですが、自民党内の力学上、難しそうに見えます。
結局、この円安の根源に「政府日銀の共同声明」があるのだとすれば、日本国民の民意で決まったものであり、日本国民の選択した方向に向かっているだけと言えます。
どこかで介入があると思いますが、上下動しながら、米ドル/円は上昇トレンド継続でしょう。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
もはや、経済指標がどうこうとか、予想を上回った下回った等々は、あまり関係ないと思います。短期的に、どこで止まる、チャートポイントはどこか、ターゲットは、みたいな議論もあまり意味がないように感じます。とにかく、円安トレンドです。
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