米ドル/円は昨年高値に迫る151.72円まで急騰!
みなさん、こんにちは
今年は日銀の金融政策決定会合後に、円安になる傾向があります。今回も同様。
日銀は10月31日の金融政策決定会合で、YCC政策(=長短金利操作)の一段の柔軟化措置を決定しました。
しかし、マーケットはより踏み込んだ措置を警戒していたため、金融政策決定会合後、急速に円安に。
米ドル/円は一時151.72円まで上昇し、昨年(2022年)高値である151.95円に迫るレベルまで急上昇しました。
(出所:TradingView)
31日の米ドル/円の一日の値幅は269pips(=151.72円-149.03円)と一気に3円近く円が急落しています。
これで当局が為替介入の条件にしているボラティリティ(振れ幅)がかなり高まったことになり、11月1日の東京市場で日銀によるドル売り介入が実施される可能性は急速に高まっていました。
そのため、われわれトレーダーも為替介入に備えて、ポジションを調整していました。
「為替介入は“スタンバイ”状態だ」との宣言で急失速!
実際、1日の米ドル/円は反落。
2日の東京市場での米ドル/円は一時150円台前半まで急速に値を下げています。
(出所:TradingView)
ただ懸念していた当局による為替介入が行われたわけではありません。
米ドル/円が反落した要因は、神田真人財務官が「為替介入は“スタンバイ”状態だ」と宣言したことがきっかけです。
為替介入にスタンバイ、1ドル=151円台で「背景に投機」-財務官
(出所:Bloomberg)
この「為替介入は“スタンバイしている”」というコメントが、実際の「為替介入」同様に短期的に効果があったということになります。
一方、下記のように欧米勢は介入の効果に関しては懐疑的。ドイツ銀行の為替調査グローバルヘッド、ジョージ・サラベロス氏は「日本銀行の円買い介入が機能する可能性は低い」と指摘しました。
円はトルコ・リラやアルゼンチン・ペソと同じ部類、ドイツ銀が指摘
(出所:Bloomberg)
こうしたコメントが出るということは、マーケットは介入効果を軽んじており、米ドル/円やクロス円が買われすぎの状態になっているのではないかと危惧しています。
確かに介入に関しては、前述のジョージ・サラベロス氏が指摘したように、中期のスパンでの効果は限定的。
ただ当局による大量のドル売り介入があると、短期での効果は極めて高いと言わざるを得ません。
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米ドル/円は年内の想定高値にほぼ到達!
過去のコラムでご紹介させていただいたように、米ドル/円の年内の高値は152円、来年は155円というのがコンセンサスになりつつあります。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル/円は、年内のターゲットとなる150円到達後に急落! 当局による円買い介入はあった?なかった?今回の下落は、中長期の米ドル買いチャンスになるか(2023年10月5日、西原宏一)
31日の米ドル/円の高値は151.72円。
つまり、ほぼ年内高値に到達していることになるため、ここからは高値を追わず、じっくりと押し目を待ってトレードしていきたいところ。
一方、米ドル/円に変わってマーケットの注目を集めている通貨があります。
それはユーロ。
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円安よりユーロ安、ユーロ/円やユーロ/スイスフランの急失速に警戒!
米ドル/円は年初来高値を更新し円安が進んだわけですが、全ての通貨に対して円安が進んでいるわけではありません。
例えば、当コラムで注目しているスイスフラン/円。
スイスフラン/円は10月20日に168.42円の史上最高値を更新して以降、調整局面入り。
今週、米ドル/円が年初来高値を更新しても、大きく値を上げることはありませんでした。
結果、先月後半からの日本円は主要通貨の中で、最弱通貨ではなくなってきているわけです。
では、年末にかけて値を下げそうな通貨は何か?
僕はユーロの失速が目立ってくるのではないかと考えています。
ユーロはまず、イスラエルとハマスの衝突の影響。
そして、10月26日に行われたECB(欧州中央銀行)金融政策決定会合で、2022年7月に利上げに着手して以来、11会合ぶりに利上げの見送りを決定したように金融政策の面からも徐々に上値が重くなってきています。
加えて、ドイツを筆頭とする欧州域内の貿易収支が悪化していることもあり、ユーロ/米ドルの戻りは限定的。
(出所:TradingView)
ユーロ/スイスフランは調整局面はあるものの、引き続き0.9300スイスフランへ。
(出所:TradingView)
米ドル/円は介入懸念もあり152.00円程度で失速しており、ユーロ/円の上値も限定的になってくると想定しています。
(出所:TradingView)
中期では円安基調は変わらないのでしょうが、短期での米ドル/円は148~152円でもみあいに入る可能性も高いため、ユーロ/円は156円程度まで値を下げる公算が高まっていると考えています。
イスラエルとハマスの衝突、金融政策の変更、そして欧州域内の貿易収支の悪化。
こうしたことからユーロの上値はじわじわと限定的、ユーロ/米ドル、ユーロ/円、ユーロ/スイスフランを戻り売りとします。
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