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米ドル/円・クロス円は再び円安が進み、米ドル安はかなり緩やかなスピードに
先週のコラムで、日銀の金融政策会合後に円安となった背景と米国の長期金利が頭打ちになったことで米ドル高に限界がきているという話をしました。
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その後、1週間の動きを見てみると、円相場はいったんやり過ぎ感から戻ったものの、再び米ドル/円、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)ともに円安が進んできました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
また、米ドルについては、米雇用統計が予想より悪かったこともあって、米ドル安傾向となっていますが、スピードはかなり緩やかなものになっています。
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日銀金融政策決定会合メンバーの主な意見から見えてきたものとは?
今回は、足元で円安が進んでいることについて、この流れが続くのかという点を考えてみます。
それを考えるに辺り、先日(10月30~31日)行われた日銀金融政策決定会合でのメンバーの主な意見が本日公開されましたので、そこから読み解いてみます。まずは各意見をご紹介します。
〇現時点では、「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現を十分な確度をもって見通せる状況には至っておらず、YCCのもとで、粘り強く金融緩和を継続する必要がある。
〇 内外の経済や金融市場を巡る不確実性がきわめて高い中、今後の情勢変化に応じて、金融市場で円滑な長期金利形成が行われるよう、YCCの運用において、柔軟性を高めておくことが適当である。
〇 賃金と物価の好循環を通じた2%目標の達成には未だ距離があるため、金融緩和の継続を通じて賃上げのモメンタムを支え続けることが重要である。こうした状況では、YCCは運用を修正しつつも、枠組みとしては維持すべ きである。
〇 米国における長期金利上昇の影響を受けて、わが国の長期金利に想定外の上昇圧力がかかっている。粘り強く金融緩和を継続していく必要がある中、こうした状況を踏まえると、YCCの運用のさらなる柔軟化が望ましい。
〇最近の物価指標や春季労使交渉に向けた経営者の発言等を踏まえれば、2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現の確度は、7月の会合時点と比べ一段と高まっていると考えられる。このため、最大限の金融緩和から、少しずつ調整していくことが必要である。
〇昨年 12 月以降YCCの程度を少しずつ弱めてきているが、予想インフレ率が上昇し、実質金利が非常に低い中、緩和効果は十分保たれている。この段階での緩和効果と副作用のバランスとしては、今回柔軟化する運用が適切 である。
〇 名目長期金利の若干の上振れが起きても、実質長期金利はマイ ナス圏にとどまり、緩和効果は強いままと見込まれる。他方、連続指値オペにより名目長期金利を厳格に抑制し続ける場合、 市場機能や市場のボラティリティの面で大きな副作用が発生するリスクは高くなっている。
〇 今回のYCCの柔軟化は、投機的な動きを生じにくくすることにより、イールドカーブ・コントロールの耐性向上に繋がる。
〇7月に決定したYCCの運用柔軟化以 降、債券市場の機能度は改善してきたが、足もとでは物価上昇により投資家の金利目線が高まっていることから長期の資金調達に影響がみられ始めている。また、長期金利の厳格なコントロールによって、ヘッジ取引が困難化するなどの副作用は避ける必要がある。
〇YCCの柔軟化に当たっては、金利の急激な変動を避けつつも、できるだけ市場に金利形成を委ね、 流動性の確保・回復を図ることが重要である。
〇YCCの柔軟化は、出口までの間、副作用の発現を抑制し、金融緩和を効果的に継続するため、そして、将来の出口以降は、金融緩和を維持しつつ、円滑に金融正常化を進める上でも、大きくプラスである。
(出所:日本銀行)
以上、少し長くなりましたが、大半の人はまだ金融緩和は継続する必要はあるもものの、物価目標に徐々に近づいてきており、YCC(イールドカーブ・コントロール)の運用を徐々に変更していくことには賛成であるとの考えを持っているということです。
やはり、このゆっくりと政策を変更していくことが確認されて、急激な政策変更による円高リスクがなくなってきているとマーケットは改めて感じているということだと思います。
(出所:TradingView)
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円売りが有効という認識が広がっている。なかなか動きにくい状況だが、日本政府の行動に注目
先週(10月30日~)の日銀金融政策決定会合後、急激な円安は確かにやりすぎでしたが、いったん落ち着いて考えても、やはり円売りは有効だという認識が広がっています。
さらに、米国の金利がこれ以上上がらないという観測が広がっていることも、円売りを誘っています。通常は米ドル安で反応するというのがもっともわかりやすいですが、円安に反応しているには理由があります。
それは、米国の金利があまり上がり過ぎると、急激に景気が落ち込んだり、株が急落したりするリスクが高まり、リスクオフから円高になることが想定できるからです。ここで金利が上がらないということになれば、リスクオフからの円高リスクが低下します。そういう連想から円売りに安心感が広がっています。
(出所:TradingView)
RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])は先日、0.25%利上げを実施しましたが、ここ数カ月で考えると、今回の利上げが主要国の中で最後の利上げになった可能性が高まりました。
ここからは、世界各国とも金利据え置きがしばらく続きます。それを考えると、やはり金利差からの円売りはまだ続くかもしれません。
あとは、この状況で日本政府がどういう行動をとるかです。今のところ口先介入にとどまっていますが、今後の政府の動きに注目をしておきましょう。現実には、なかなか決断はしづらいかもしれません。
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