日銀の情報漏れ、「介入ナシ」で米ドル/円は151.74円へ
注目された10月31日(火)の日銀会合(日銀金融政策決定会合)では、YCC(イールドカーブコントロール)が再修正され、長期金利1%超えが容認されました。
ところが、当日の米ドル/円はというと151.74円まで上昇。
前夜(10月30日夜)に日経新聞が「日銀、金利操作を再修正へ 長期金利1%超え柔軟に」との記事を出したせいで、「リークどおりか」とYCC再修正のインパクトが薄れたのかもしれません。日銀の情報管理に問題がありますよね。
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(出所:TradingView)
僕はさほど気にしていませんでしたが、10月3日(火)の米ドル/円急落が、介入ではなかったと明らかになった影響もあったのでしょう。
「介入していないなら買ってもいい」と捉えた人もいたようですから。
ただ、あの日は昨年(2022年)高値へあと20銭ほどに迫り、上昇幅も2.7円と大きかったですから、介入が入ってもおかしくなかったですよね。
翌日(10月4日)にFOMC(米連邦公開市場委員会)、翌々日(10月5日)に岸田首相の経済対策発表を控えていたためかもしれません。
(出所:TradingView)
「次の151円台後半」は介入警戒度MAX。米ドル/円は今年の高値をつけたか
同感です。
神田財務官から「スタンバイ」との発言があったように、介入の準備はできていて、あとはタイミングだけだったのではないでしょうか。
次にまた、151円台後半へと上がるような場面があれば、いよいよ要注意です。
一方でFOMC、そして米雇用統計を受けて米金利は低下し、株高・米ドル安が進んでいます。
織り込みを見ると、来年(2024年)6月だった利下げ開始の時期は、5月へと前倒しされています。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
米金利がこのまま一方的に下がるというよりは、高止まりではないでしょうか。
ただ、米ドル/円に関しては、152円で介入が入る可能性が高く、スタンバイ発言により、市場の警戒感も高まっています。
来年は再び155円を目指す展開もありえますが、今年は151.74円で高値をつけた可能性が高いと見ています。
「今年の動きの逆流」が始まった
今週(11月6日~)は、RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])が政策金利を発表します。
インフレが収まらないこともあり、利上げ予想が強まっていますね。
今年もっとも強い通貨はスイスフラン、もっとも弱いのが円で、オセアニア通貨も弱かったのですが、期間を短くすると、豪ドルや円が強く、スイスフランは弱くなってきた。つまり、今年の動きの逆流が始まっています。
ウクライナやイスラエルの地政学リスクや、中国経済への懸念は収まっておらず、ファンダメンタルズ面では、豪ドルを買える状況にないのですが、豪ドルを中心に調整が始まっているのかもしれません。
(出所:TradingView)
市場は、地政学リスクに飽きてしまったのかもしれませんね。
株も買われていますし、VIX指数も急激に低下し、ハイイールド債の指数も窓を開けて上昇しています。
これがリバウンドにすぎないのか、本格的な反転なのか、どう見ますか?
米株については、ここから上がっていく感じはしないですね。あくまでも調整の一環に過ぎないと見ています。
週末には、イスラエルの閣僚が核兵器の使用をほのめかしたりして、本来ならば、株も豪ドルも怖くて買えないのですが、「怖くて買えない市場」が買われています。
「買いたいけど買えていない」という人がいるから上がってしまう、ということですね。
豪ドルにしても「戦争は終わっていないし、中国経済もよくなっていないですよ? 買えないですよね?」と思っているうちに、スルスルあがっていくリスクはあると思います。
FRB要人講演、タカ派発言に注意
ひろこ 今週はFRB(米連邦準備制度理事会)の要人発言も目立ちます。
市場の見方はハト派に偏っているので、「タカ派的な発言が出たときに市場がどう反応するか」が注目でしょうか。
そうですね。今週の焦点は「米金利の低下が続くかどうか」でしょう。
今週はまだ米金利低下が続くとイメージして、豪ドル/米ドルの押し目買い、それに米ドル/円は今年の高値を付けたと想定して、150円をメドに戻り売りでいいのではないでしょうか。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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