2024年の米国経済と米ドルを市場はどう見ている?
2023年も残すところあと1カ月程になりました。
来年(2024年)のマーケットはどうなるのか?各社から来年の相場予想が発表されています。そうした予想を概観すると、大体似たようなストーリーが見えてきます。
・米国経済は減速する
・米国経済が減速するので、米金利は低下する
・米国株には米金利低下はプラス材料、米経済減速はマイナス材料
では、米ドルはどうなるのか?
米金利低下で米ドル下落というのが、多く見られる意見です。私も、ドルインデックスは軽く天井形成したかなとも思います。しかし、一部の金融機関が予想するような、米ドルがどんどん下落するシナリオにはついていけないなと感じます。
(出所:TradingView)
大きな米ドル安を予想する金融機関には、“US exceptionalism”(米例外主義)を拒否する姿勢が見えます。
これまで米国の巨大テック株への投資が集中的に続いてきましたが、AIブームはいずれ終わる。AI関連投資は冷え込み、消費は低迷し、米国はリセッション(景気後退)に陥る。そして大幅な政策金利引き下げが米ドル安をもたらすという構図です。
もちろん相場なので、どのようなシナリオもあり得ますが、2024年年末の米政策金利が3.5%というのはいくらなんでも低すぎると思います。
結局、米国経済への見方の違いが、相場観の違いになっているように見えます。
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米国経済はベア派とブル派に割れる!天井を打ったように見えるドルインデックスの動きが鍵になるか
米国経済ベア派は、かつての有名マクロファンドマネージャーや、モルガン・スタンレー・UBSといった大手金融機関、PIMCOのような巨大債券ファンドに多く見られる感じがします。
一方、米国経済ブル派はゴールドマン・サックスが筆頭です。2024年の米国経済がリセッションに陥る確率を、わずか15%としか見ていません。パウエル議長を始めとするFRB(米連邦準備制度理事会)理事も米国経済タカ派が多いと思います。
私自身は、米国経済に対して楽観的です。
米国経済好調の背景にあるのは、間違いなく巨大テック企業です。時価総額で300兆円を優に超える企業が出てくるなど、昔は考えられませんでした。こうした企業がたまたま米国西海岸に集中していることが、米国経済の強さとなっています。
これから間違いなくAIの時代になります。Windows11にもChat GPTが実装され始め、ものすごく仕事の効率が上がったと感じます。
AIは巨額の投資を必要とします。日本円で兆を超える金額を出せる企業は、そう簡単には見つかりません。
為替予想を立てるときに、個別の米企業のことを考えるとは、かつてはあり得なかったのですが、巨大テック企業が世界中でビジネスをし、サブスクの形で巨額資金を吸収します。
最近は「デジタル赤字」と呼ばれるようになりましたが、完全に資金の流れを補足しきれていないと思います。クラウドビジネスでも含め、サービス収支に反映されている資金より、もっと大きな資金が米国に還流していると思われます。
そうなると、テクニカル的にドルインデックスが天井を打っているように見えても、どこかで反転して米ドル高トレンドに戻るのではないかと思います。
(出所:TradingView)
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米ドル/円は調整があっても円安継続。いずれ152円突破へ
米ドル/円に関しては、依然として円ベア(円安)です。目先は少し調整があるかもしれませんが、時間の経過とともに円安トレンドが再開するでしょう。
米金利はいずれ下がる時期が来るかもしれませんが、来年1回、もしくは2回程度の利下げで、おそらく比較的高い金利水準を維持すると思います。日本はいずれマイナス金利を解除して、少し利上げするかもしれませんが、おそらく1回か2回程度かなと思います。
そうなると、米金利は低下しても4%台後半、日本は利上げしても0.25%ないし、0.5%程度の政策金利なので、膨大な金利差は続きます。
目先は145円程度の円高があるかもしれませんが、米ドル/円は下がっても145円程度だとすると、円安克服には相当時間がかかるように思われます。
(出所:TradingView)
ドルインデックスが低下している間は、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)中心に円安が進み、ドルインデックスが上昇に転じれば、今度はドル円中心に円安が進みそうです。
ユーロ/円はいずれ170円を突破するでしょう。米ドル/円も、しばらくもみ合いかもしれませんが、いずれ152円を突破していくものと思います。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
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