米雇用統計は予想を上回る結果!市場には弱い数字を期待した人が多かった
6月7日(金)に発表された米雇用統計は、事前予想を上回る強い内容でした。
非農業部門雇用者数 27.2万人 (予想18.5万人、前回17.5万人)
平均時給 対前月比 0.4% (予想0.3%、前回0.2%)
平均時給 対前年比 4.1% (予想3.9%、前回3.9%)
ところが、失業率に関しては0.1%上昇し、4.0%となりました。
米雇用統計には、事業所調査と家計調査、2つの調査方法があります。NFP(非農業部門雇用者数)は事業所調査から算出される数字である一方、失業率は家計調査です。
今回の家計調査では雇用者数は-40.8万人と大きなマイナスになりました。労働参加率も62.7から62.5へと低下しています。
事業所調査と家計調査が違う場合、どちらを重視すべきなのでしょうか?
家計調査はブレが大きく、一貫性が無いように見える場合も多く、こうした場合、伝統的に事業者調査を重視します。
今回の米雇用統計に関しては、弱い数字を期待した人が多くいました。それは、米雇用統計前の米経済指標に弱い内容が多かったからです。
上記の表からわかるように、5つの経済指標が発表されましたが、内容的には1対4で事前の市場予想を下回るものが多く発表されました。特にJOLTS(雇用動態調査)の数字の低下は、ついに雇用の逼迫も和らいできたかと思わせました。
ISMサービス業景況指数は、前回49.4と、好不況の分かれ目50を下回ったことから注目を集めましたが、今度は53.8と大きくリバウンドしました。伝統のある経済指標なのですが、こんなに変化するのか?というのが素直な感想です。
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米雇用統計を受けて、米国が金融緩和に向かうとの期待は後退
また、6月5日にはBOC(カナダ銀行[カナダの中央銀行])が、6月6日にはECB(欧州中央銀行)がそれぞれ0.25%政策金利を引き下げました。
特にBOCは声明文や総裁会見もハト派的な内容でした。大きな目で見て、西側先進国は、利下げ局面にシフトしつつあるとの認識が高まりました。
米10年債利回りの推移を見ますと、米雇用統計に向けて4.6%前後から4.3%前後へと急激に金利が低下しました。いずれ米国も金融緩和に向かうとの思惑が高まったからです。
しかしながら、米雇用統計の強さに、米金利は急激にリバウンドしています。
(※筆者提供・TradingView)
では、この米雇用統計で示された強さが、今後も続くのか?
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今週は米CPI、そしてFOMC・日銀会合と重要指標やイベントが目白押し
それを占う上でも、今週は、6月12日(水)の米CPI(消費者物価指数)、FOMC(米連邦公開市場委員会)、6月14日(金)の日銀金融政策決定会合が重要になってきます。
CPI 対前月比 +0.1% (前回 0.3%)
CPI 対前年比 +3.4% (前回 3.4%)
CPI コア 対前月比 +0.3% (前回 0.3%)
CPI コア 対前年比 +3.5% (前回 3.6%)
今回はガソリン価格が低下しているので、米CPIの対前月比は急低下することになるでしょう。ただ、問題はコアの数字です。最近の動向を見ていると、3%を切って、2%台に落とすのはなかなか難しそうです。
それでも米CPIの対前月比がわずか+0.1%まで来ているので、市場予想通りの数字となると、米ドル売りで反応する部分は大きいかなと思います。
FOMCでは、3カ月に1度発表されるドット・プロットがどうなるのか、見ものでしょう。
(※筆者提供)
最近のパウエル議長等の要人発言を振り返ると、2024年末の長期金利水準は現行レベルより、少し上がるのではないかと思います。
つまり、3回の利下げ織り込みがなくなり、2回か、もしくは1回というハト派方向へのシフトが期待されます。
最後に日銀ですが、国債買い入れのプログラムについて真剣な話し合いが行われると思います。
とはいえ、現在6兆円ペース(月々)で購入しているJGB(日本国債)を5兆円程度に下げるとどうなるか。あまりインパクトはないと判断しています。
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