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米国株にとって9月はもっともパフォーマンスが悪い
9月は米国株にとっては歴史的にもっともパフォーマンスが悪い月です。
(※筆者提供)
今年(2024年)の9月はどうなるのか?
それはわかりませんが、レイバーデーの休日明けの9月3日(火)、米国市場は背景のよくわからない「リスクオフ」相場となりました。
米株は大きく売られ(S&P500:-2.28%、ナスダック総合指数:-3.26%)、米金利は低下(米10年金利:3.907%⇒3.82%)、それに反応し米ドル/円はリスクオフの円買いとなり、米ドル/円は147.21円から145.47円へと2円近い下落となりました。
このところのAI相場を牽引してきたエヌビディア(NVDA)が、前営業日比11.37ドル安(-9.53%)と急落したことが理由のひとつだったのでしょう。
(出所:TradingView)
司法省が反トラスト法違反でエヌビディアに召喚状というニュースは、場が引けた後にブルームバーグが報じました。おそらく、事前に知っている人が先回りして売ったのでしょう。
しかし、反トラスト法(独禁法)というのは、テック業界では日常茶飯事のこと。このことがエヌビディアの競争力を削ぐことは無いように見えます。エヌビディアのチップが選ばれるもっとも大きな理由は、単に他社より速いからです。このニュースでトヨタ1社分の時価総額が吹き飛びました(2790億ドル=約40兆円)。
SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)が一番下がっていることが気がかりです。
(※筆者提供)
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米国株下落に米ドル/円が連動するリスクを特に考慮したい
8月5日(月)の暴落から落ち着きを取り戻し、回復しつつあった日経平均も急落となりました。3万9174円まで戻しましたが、3万6200円前後まで下げました。
(出所:TradingView)
前回のコラムでも言及しましたが、今年(2024年)マーケットに積み上がっている最大のポジションは米ビッグテックのロングです。その次が円キャリートレードでした。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル/円は125円が長期的に重要ポイントになる!高値8年サイクルを終了し安値16年6カ月サイクルに向けての調整期間に入ったのか?(8月30日、志摩力男)
円キャリートレードは161.95円から141.70円前後まで急落する過程で、かなり解消されましたが、米国株が本格的に下げる局面が来ると、日本株と円相場が相互に影響しあい、市場変動がより大きくなってしまう傾向があります。
その意味でも、もしこれから米国株が調整を迎えるのであれば、日本株、そして米ドル/円相場は影響を受けざるを得ません。
(※筆者提供)
米利下げで米ドル/円が下がる可能性は大きいですが、この9月に関しては、米国株が下落し、その影響で米ドル/円も下落してしまうリスクを考慮すべきでしょう。
(出所:TradingView)
ただ、昨年(2023年)もそうでしたが、米国株の調整は9月がもっとも大きく、10月下げることもありますが、11月からは上昇相場になります。この9月と10月で下がったところは結局買い場になるというのがアノマリーです。その意味では、過剰に悲観的になりすぎるのも禁物です。
(※筆者提供)
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今後は米国の雇用指標に注意すべき!米国株にとって望ましいのは0.25%の利下げか
先日行われたジャクソンホールでの経済シンポジウムで、パウエル議長が言ったことは、以下の三点です。
(1)これから政策を変更する(利下げする)
(2)インフレより雇用が重要
(3)利下げのペース、規模はデータ次第
その意味では、今後発表される米経済指標が重要になりますが、特に雇用の数字に注意すべきということになります。
9月18日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、FRB(米連邦準備制度理事会)は利下げに動くことになりますが、それが0.25%になるのか、それとも0.50%になるのか、9月6日(金)発表の雇用統計次第となります。
強い数字が出れば、利下げ幅は0.25%となり、もしかすると米ドルは買い戻されるかもしれません。弱い数字であれば、利下げ幅は0.50%となり、その時、米ドルは売られることになるでしょう。
現状、マーケットは0.25%利下げ確率が57%、0.5%が43%と拮抗しています。
(出所:CME提供のFedWatchツールより)
株式市場的には、0.25%利下げが望ましいように見えます。一気に0.50%利下げすると、「今は隠れている大きな景気後退リスクがあるのかもしれない」と、市場が過剰に反応してしまう可能性があります。
過度に世界景気を懸念する必要はないと思っていますが、懸念点としては、原油価格や銅価格等、景気が良い時に上昇するコモディティ価格が低迷していることがあげられます。
原油価格が70ドルを割り込んできましたが(WTI)、中東で戦闘が続いているにも関わらず原油価格が下がるということは、世界の原油需要が後退しているのかもしれません。
(出所:TradingView)
銅価格の下落は中国の需要が落ちていることが要因でしょう。
米商業用不動産の不況も懸念材料ではあります。実際、不動産価格が4割ほど下落しているという報道もあります。
こういった懸念点もあり、9月相場はリスクオフに注意と言えそうです。
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