主要国でインフレの低下が目立ち始め、中央銀行の利下げが始まった
みなさん、こんにちは。
今年(2024年)は、主要国でインフレの低下が目立ち始め、中央銀行の利下げが始まっています。
最初に動いたのが、世界の中央銀行をリードするスイス国立銀行SNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])です。
SNBが最初に利下げをしたのは、2024年3月21日(木)。
このとき、SNBは政策金利を1.75%から1.50%に引き下げました。
これは、主要中央銀行の中で今年初めての利下げ。その後、SNBに追随する形で、主要国は利下げに転じます。
★ザイFX!で人気の西原宏一さんの有料メルマガ「トレード戦略指令!」では、タイムリーな為替予想や実践的な売買アドバイスなどをメルマガや会員限定ウェブサイトで配信! メルマガ登録後10日間無料です。
BOEの利下げが顕著になると、急騰が目立っていた英ポンド/円を筆頭に、クロス円が調整入りする可能性
主要通貨は今年、インフレの低下で影響を受けましたが、他の主要通貨に対して優位性を保っていた英ポンドも、その例外ではありません。
昨日(10月16日)発表された英国の9月のインフレ率は、BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])の目標である2%を3年半ぶりに下回り、来月(11月)の追加利下げの土台が固まったことになります。
英政府統計局(ONS)の16日の発表によると、9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.7%上昇。前月の2.2%上昇からインフレが鈍化した。エコノミスト予想は1.9%上昇、中銀の8月時点の予測は2.1%上昇だった。
(出所:Bloomberg)
9月26日(木)のコラムでも紹介させていただきましたが、今年の英ポンドは他通貨と比較して、圧倒的にファンダメンタルズが良好で、ゴールドマン・サックスを中心に強気なスタンスを維持していました
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル/円は自民党総裁選に注目! 「金利を今、上げるのはあほやと思う」と発言した高市氏が勝つかがポイント。英ポンドは強気派が増えている分、調整による急落に警戒(9月26日、西原宏一)
しかし、9月は私が個人的に見ているシーケンシャルを始め、いくつかのテクニカルでトップアウト(頭打ち)を示唆。
その後、英ポンド/米ドルはもみ合った後、結局は1.3000ドルを割り込んできました。
(出所:TradingView)
英ポンド/米ドルは、チャートのサインにファンダメンタルズが後からついてきた形です。
以下は主要通貨の対米ドル騰落率(年初来)ですが、これを見ると、今年は英ポンドを除くすべての主要通貨に対して、米ドルが上昇していることがわかります。
英ポンド/米ドルのみ、米ドルは値を下げる展開である一方、米ドルに対してもっとも値を下げているのは、いつものように日本円。
つまり、英ポンド/円の急騰が目立っているわけです。
しかし、BOEの利下げが顕著になってくると、英ポンド/円を筆頭に、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)は調整に入る可能性が高まります。
ニュージーランドではインフレがさらに低下。NZドル円の続落に警戒
クロス円のなかで、特に調整が進みそうなのがニュージーランドドル/円です。
インフレが低下しているのはニュージーランドも同じで、7~9月(第3四半期)のCPI上昇率は2.2%と前年同期比で大きく低下。
2021年1~3月(第1四半期)以来3年強ぶりに、RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])の目標レンジである1~3%に戻っています。
RBNZはすでに利下げを始めており、8月に政策金利であるOCR(オフィシャル・キャッシュレート)を0.25%引き下げて、緩和サイクルを開始。
先週(10月7日~)のRBNZ会合では利下げペースを加速し、0.50%引き下げて、OCRを4.75%としています。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル/円を丁寧に押し目買い。中東情勢悪化を乗り越えて底打ちも、152.00円に神田ラインを控えて上値も重くなる。NZ連続利下げ予測で豪ドル/NZドルの上値余地が拡大(10月10日、西原宏一)
インフレが大きく鈍化し、再びリセッションに入った可能性が高いことから、マーケットでは年内最後の会合となる11月27日(水)のRBNZ会合でも、0.50%の利下げが予想されています。
その結果、ニュージーランドドル/円も反落しています。
(出所:TradingView)
ニュージーランドドル/円は日経平均が暴落した8月5日(月)、一気に83.07円まで暴落。
その後、米ドル/円の反発につれ、92.29円まで反発しましたが、
200日SMA(単純移動平均線)が位置した92.05円付近を明確には超えられず。
99.03円から83.07円の50%戻しである91.05円も、徐々に超えられないことになり、戻りも限定的です。
週足チャートで、200週SMAが位置している84.25円レベルまで下落する可能性が高まっています。
(出所:TradingView)
主要国でインフレの低下が顕著になり、各国で利下げが加速。
ニュージーランドの7~9月(第3四半期)のCPI上昇率が大きく低下し、来月(11月)のRBNZも大幅利下げが予想されているなか、ニュージーランドドル/円は200日SMAに上値を抑えられ、200週SMAに向けて続落するかに注目です。
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
2025年最初のマーケット予測セミナー(メルマガ会員は会場参加&懇親会参加可能)を開催します!
西原宏一×叶内文子のコンビが2025年はどんな年になるのか? 政治&経済から読み解き、為替のみならず、株や仮想通貨までマーケットを大胆予測します。
■リアル参加&懇親会 30名程度(開催日に西原メルマガ有料会員限定[登録後11日目から有料会員]。懇親会参加も可能。申込はメルマガ&会員ページから募集フォームにて)、締切1月20日(月)まで。定員に達し次第、早めに締め切る場合もあります。
■オンライン参加人員 制限なし
■参加費 リアル参加&オンライン参加ともに無料。懇親会は実費5000円程度
■日時:1月25日 14時~
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
「トレード戦略指令!」は10日間の無料体験期間がありますので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)