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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

米ドルの反落に警戒! トランプ米大統領誕生を織り込んで
いく「トランプトレード」で米金利高、米ドル高が進んだ
が、米大統領選が後5日に迫りポジション調整が入りそう

2024年10月31日(木)15:26公開 (2024年10月31日(木)15:26更新)
西原宏一

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トランプ米大統領誕生をマーケットがプライスに織り込んでいく「トランプトレード」

 みなさん、こんにちは。

 10月30日(水)のNY市場では、10月の民間雇用者数が23万3000人増と、1年余りで最大の増加となった事が話題に。

 そして、本日(10月31日)は日銀金融政策決定会合を控えており(※)、為替マーケットも不安定に推移しています。

(※日銀金融政策決定会合では、0.25%の政策金利据え置きと金融政策の維持が決定された)

 ただ、11月のマーケットの最大の注目は、5日後に迫ってきた米大統領選

 その米大統領選に向けて、トランプ氏がハリス米副大統領に対する皮肉で、マクドナルドでアルバイト体験をしました。

 ハリス米副大統領が「1983年の夏休みにマクドナルドで働いていた」と主張していることに対し、トランプ氏は「ウソだ」と主張。

 自分は本当にマクドナルドでアルバイトしているぞとアピールしたいようです。

 一方、バイデン大統領は10月29日(火)、ヒスパニック系団体とのオンライン会合で、トランプ氏の支持者について侮辱的な発言をしました。

 トランプ支持者も米国民ですので、その米国民を侮辱するのも強烈ですね。

 こうしたコメントは、中立の米国民20%の人に対して、民主党にいい影響があるとも思えませんが。。。

 当然、これは各方面から激しい批判を受けています。

 民主党内部でも、米大統領選を目前に控えて、オバマ氏の応援は歓迎だが、バイデン米大統領は妙なコメントをせず大人しくしていてほしいと考えているというのが、僕の米国の友人のコメント。

 では、マーケットは来週の米大統領選の行方をどう見ているのでしょう。

 さまざまなメディアをチェックすると、ハリス米副大統領が善戦しており、現在トランプ氏と接戦との報道が多いのですが、自分の米国の友人の中では、まずトランプ氏だろうというのがコンセンサスになりつつあります。

 ヘッジファンド、シタデルの創業者ケン・グリフィン氏も、今年の米大統領選は接戦になるものの、最終的にはトランプ氏が勝利するとの予想を示しています。

 では、マーケットはトランプ米大統領の誕生をどうやってプライスに織り込んでいくのか?

 つまり、「トランプトレード」とはなにかを確認していきましょう。

米大統領選を目前にして、トランプトレードの調整による米金利、米ドルの反落に警戒

 一般的に言われているのが、トランプトレードは米金利高、米ドル高

【※関連記事はこちら!】
米ドル/円は神田ライン152円をあっさり抜けるサプライズ! トランプトレードでの米金利上昇と自公過半数割れ報道での日本株・円売り。避難通貨のスイスフラン/円が大幅高(10月24日、西原宏一)

 一方、Bloombergの報道によれば、米の大幅利下げ観測はかなり後退しているようです。


世界の金融界トップが参加したパネル討論会では、今年あと2回の利下げがあると思うかとの問いに、手を挙げた経営者は1人もいなかった。年末までにあと1回の利下げがあるかもしれないという意見に大半が同意した。
(出所:Bloomberg)


 先月(9月)は、年末までに2回の利下げが行われるというのがコンセンサスになっていましたが、様変わりしています。

 視点を変えれば、ほとんどの参加者が米金利上昇、米ドル高に傾斜しているといえます。

 結果、米ドルは総じて上昇。

 特に米ドル/円は、先週末の衆議院選の結果を受け、円安が進んだこともあり、一時153円台後半まで米ドル高が進んでいます。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 ただ、米大統領選は後5日と迫ってきました。

 選挙結果はどうあれ、大イベントの前にはポジション調整が起こりがち

 つまり、米大統領選前後でいったん米金利と米ドルは反落するのではないかと考えています。

 実際、今週(10月28日~)のユーロ/米ドルは反発、つまり米ドルが反落し始めています。

 ただ、すべての通貨に対して米ドルが下がっているわけではありません。

 ユーロは米ドルに対してだけでなく、ユーロ/円、ユーロ/英ポンド、 ユーロ/スイスフランなどすべての主要通貨に対して上昇しています。

ユーロVS世界の通過 4時間足
ユーロVS世界の通過 4時間足チャート

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 4時間足

 結果、ユーロ/米ドルは反発しているものの、英ポンド/米ドルは1.3000ドルを割り込んでいます。

ユーロが強い要因は2つ

 ユーロ/ドルはモルガンスタンレーを中心に、時間はかかるもののパリティ(1ユーロ=1.00米ドル)に下落するという見方が多いのですが、米大統領選に向けて、そのショートカバーが出ている模様。

 もうひとつは月末のリバランス。月末が近いため、いつものようにユーロが買い戻されたという側面もあると考えます。

 ただ、添付したチャートはドルインデックスの日足。

ドルインデックスの日足はエリオット波動の5波終了で、米ドル全般に調整が入る可能性が高いことを示唆

ドルインデックス 日足
ドルインデックス 日足チャート

(出所:TradingView

 トランプトレードは米金利、米ドル高というのがコンセンサス。

 ただ、米大統領選を控えてトランプトレードの調整による米金利と米ドルの反落に警戒です。


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