米ドル/円相場を組み立てる時、日米金利差縮小で解説するとわかりやすく、2025年の円高予想が代表的に
みなさん、こんにちは。
先週のコラムでも取り上げましたが、来年(2025年)の米ドル/円予想は大きく割れています。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル/円は2025年末に159円か138円か? 新NISAによる家計の円売りが変調なら、日米金利差縮小で下落しそうだが、ユーロ/米ドル中心に米ドル高進行の可能性が高い(12月5日、西原宏一)
ただ、一番代表的なのが日米金利差縮小による円高予想で、その筆頭はモルガンスタンレーです。
モルガンスタンレーは日米金利差に注目しており、来年末(2025年末)の米ドル/円予想は138円。
米景気は25年前半には鈍化し、FRBは25年5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)まで毎会合、合計で1%の利下げに踏み切る」と予想する。日銀も25年1月と7月に利上げをすると見込み、日米金利差が大きく縮小することで25年前半を中心に円高・ドル安が進むとみる。
(出所:日経新聞)
米ドル/円相場を組み立てる時、日米金利差縮小で解説すると非常にわかりやすく、顧客にも説明しやすいもの。
ただ、誰にでもわかりやすいため、市場参加者の米ドル手当が遅れ気味になっているようです。
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一時的な円高局面では、米ドル手当てが遅れ気味の本邦輸入企業が米ドル買いを持ち込むことがあり、円高は短命に終わりそう
前述のとおり、日米金利差縮小で米ドル/円相場を組み立てると、モルガンスタンレーのように来年末は138円という予想になります。
ここでは、その予測が正しいのかどうかを述べているわけではなく、金利差縮小での解説がわかりやすいため、多くの輸入企業の米ドルの手当が遅れているという話をご紹介しようと思います。
来年、日米金利差縮小で円高になるのであれば、輸入企業は本稿執筆時点の152円台などで米ドルを手当てする必要はないわけです。
FOMC(米連邦公開市場委員会)が連続利下げをし、日銀が金融政策を正常化させていく過程で、米ドル/円が140円台へと下落する局面で、米ドルを手当てすればいいわけです。
金融関係者の友人によれば、こうしたスタンスにより、多くの輸入企業では米ドルの手当てが大きく遅れているそう。
特に、関西方面の事業法人で、デリバティブ(※)を使っての米ドルの手当が大きく遅れ気味のようです。
(※デリバティブとは、先物取引、オプション取引、スワップ取引などの総称のこと。為替などの原資産から派生して誕生した金融商品のため「金融派生商品」とも呼ばれる)
それがうかがえるのが、円高局面の滞空時間の短さ。
米ドル/円は9月に一時139.58円という円高局面がありましたが、あっという間に156円台まで駆け上がってしまいます。
(出所:TradingView)
今月(12月)も日銀の利上げ期待もあり、12月3日(火)の米ドル/円は148.65円という円高局面もあったのですが、今回も円高の滞空時間は極めて短く、12月11日(水)には152.82円まで駆け上がっています。
(出所:TradingView)
これだけ円高局面の滞空時間が短いと、事業法人はデリバティブを組む時間もなく、米ドルの手当てが遅れ気味になるのはわかります。
ボラティリティが高い米ドル/円は、12月3日(火)に一時148円台まで急落したように、FOMCや日銀の金融政策への思惑から、一時的に円高になる時はあると思います。
しかし、そうした円高局面では、米ドル手当が遅れ気味の本邦輸入企業が米ドル買いを持ち込むこともあり、円高は短命に終わりそうです。
2025年の米ドル/円は145~165円程度のレンジの中で、円高局面では米ドル買いが機能しそう
2025年は、ユーロ/米ドルを筆頭に主要通貨では米ドル高が進行すると考えることは変わらず。
日米金利差縮小というキーワードがどうしてもひっかかり、なかなか米ドル/円では米ドル高と考えにくくなっていたのですが、前述のように、米ドル/円でも米ドルは底堅く推移すると考えます。
来年は145~165円程度のレンジの中で、円高局面では積極的に米ドルロングにするほうがワーク(機能)するのではないでしょうか?
(出所:TradingView)
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