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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

米ドル/円は160円を試す動きも覚悟すべき状況だが、
円売りバブルはすでに崩壊している!162円台の高値を
更新しない限り、28年までの緩やかな円高傾向は続く!

2024年12月20日(金)18:58公開 (2024年12月20日(金)18:58更新)
陳満咲杜

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FOMCや日銀会合の結果に植田日銀総裁の発言も加わって円売りが再開! いったん160円の節目トライも覚悟すべきか

 円売りが再開されている。きっかけはFOMC(米連邦公開市場委員会)や日銀会合だったが、植田日銀総裁の発言も大きく影響したので、「植田ショック」の再来と言う市場関係者も多いようだ。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 もっとも、米利下げや日本の金利据え置きは市場のコンセンサスのとおりで、政策自体がサプライズではなかった。しかし、FOMC参加者の政策金利見通しは来年(2025年)2回程度の利下げを示唆、植田日銀総裁は来年1月の利上げを明言できなかったので、市場関係者の思惑を刺激し、円売りに拍車をかけた模様だ。

 無理もない。9月に公表されたFOMC政策金利見通しでは4回の利下げが予想されていた。植田日銀総裁のこれまでの発言では、利上げが「12月と1月のどちらか」と思わせる基調であったが、昨日の記者会見において、「もうワンノッチ」ほしいと発言。円売りに火をつけたわけだ。

 「ワンノッチ」という表現がそもそも一般的に使われる日本語ではないはずだ。英語がうまいと言われる植田総裁の意図がどうであれ、結果的にその表現が誤解を招いたようだ。何しろ、「ノッチ」は格付けランキングの段階を意味するだけに、「ワンノッチ」との表現が「容易ではない」とのニュアンスを匂わせたのかもしれない。

 となると、少なくとも短期スパンにおいては円売りの安心感が高まった。昨日(12月19日)は主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)を含め、円の急落が日米両サイドから形成された値動きだったと言えるから、円売りの「合理性」があったと思う。

世界の通貨VS円 1時間足
世界の通貨VS円 1時間足チャート

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 1時間足

 米10年物国債利回りも11月高値を更新しており、ドルインデックスの高値更新と相まって、米ドル/円の158円の節目直前の打診があっても、「行きすぎ」とは言いきれないかもしれない。

 ここまで来ると、やはりいったん160円の節目トライがあっても、覚悟すべき範囲内とも言える。

米ドル/円(右軸・ローソク足)VS米長期金利(米10年物国債利回り/左軸・ラインチャート) 日足
米ドル/円(右軸・ローソク足)VS米長期金利(米10年物国債利回り/左軸・ラインチャート) 日足チャート
 

(出所:TradingView) 

円売りの再来も、円売りバブルとは言い切れない!
だからこそ、あくまで調整という可能性が大きい

 しかし、円売りの再来があっても、今年の夏場(2024年7月)のような状況とは大きな違いがある。それはほかならぬ、円売りバブルと言い切れないところだ。

 円売りバブルではないなら、もう一段の円売りの進行があってもおかしくはないが、逆の視点を取れば、円売りバブルではないから、目下の円売りがあくまで調整波動であって、メイン波動ではない可能性が大きいと言える。

 言ってみれば、7月高値までの米ドル/円や主要クロス円を含めた円売りが大きなバブルだったので、同バブルの崩壊がすでに確認され、7月高値からメイン変動として確立してきた。

世界の通貨VS円 週足
世界の通貨VS円 週足チャート

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 その変動は外ならぬ、円高のトレンド(本質的には円高ではなく、売られすぎた円の買戻し)の進行であるが、トレンドにおける始動の段階において、往々にして大きな揺り戻しが発生し、またその揺り戻しを克服してからメイン変動が一層強化される、というケースが多いから、今はその揺り戻しの最終段階にあるのでは、とも思う。

 大雑把な言い方をすれば、米ドル/円は日米中銀の「心変わり」で再度激しく米ドル高・円安を推進してきているが、7月高値を更新できない限り、今年(2024年)高値を起点とした大型変動波動の構造が、なお維持される

 つまり、162円の大台の再更新がない限り、2028年までの緩やかな円高傾向が否定されたとは言い切れない。仮に、これから7月高値が更新される場合、2011年安値を起点とした大型米ドル高・円安のトレンドがなお維持されていることが示唆される。

激しい円売りがあっても、今は円売りバブルとは言えないと考える2つの根拠とは?

 これこそ円売りバブルなので、今は再度激しい円売りが見られているが、バブルと言えないと思う。根拠には以下の2点を挙げられる。

 まず、ドルインデックスはすでに再度高値を更新している点だ。円売りバブルがなお進行中なら、米ドル/円もすでに7月高値を更新しているか、少なくともいったん打診している。

 が、158円の節目直前までの急騰があっても、ドルインデックスの強さと比例しているわけではないから、円売りバブルよりも一時の反動、またその反動の終盤によく見られるクライマックス的な値動きに見える。

 次に、7月の時点では、ユーロ/円や英ポンド/円、豪ドル/円など、主要クロス円は米ドル/円と揃って高値を更新していた。米ドル全体が2024年年初来高値を更新しているだけに、諸外貨が売られており、主要クロス円は昨日(12月19日)こそ大きく切り返していたものの、7月高値に遠く及ばない水準に留まり、総合的に見ると、とても円売りバブルとは呼べない

世界の通貨VS円 週足
世界の通貨VS円 週足チャート

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 バブルという言葉を使っているから誤解されるかもしれないが、要するに「円の総合的な弱さ」である。総合的な弱さが7月の時点においてすでにピークアウトしていることから考えて、足元の円売りが再開されたとしても、あくまで途中の調整、という位置づけがなお有力視される。

160円の大台の打診があっても、2024年高値の更新がなければ、大型円安のトレンドが終焉したという基本的な判断は不変!

 実際、米ドル/円は常にドルインデックスの値動きと乖離しているから、今のような状況が別に珍しいことではないが、主要クロス円が戻り切れないうちに、米ドル/円のみガンガン高値をトライしていくのもハードルが高い、ということを指摘しておきたい。

 仮にいったん160円の大台の打診があっても、2024年高値の更新ができなければ、2024年をもって2011年からの大型円安のトレンドが終焉した、という基本的な判断は不変だ。

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足チャート

(出所:TradingView

 ドルインデックスに関しては、想定よりも強かったが、それにしても、2008年安値から2022年高値まで、「史上」最長の大型ドル高がすでに終了したので、目先強くても調整子波という位置づけは不変。よって整合性が取れるとみる。

ドルインデックス 月足
ドルインデックス 月足チャート

(出所:TradingView

 ちなみに、今年(2024年)の米ドル/円の年足は、陽線引けが間違いないから、もう4年連続陽線引けとなる。1971年以来、米ドル/円における4年以上の連続陽線(年足)はなかったことから考えると、やはり今回の円売りもそろそろ終盤に差し掛かっているのでは、と推測している。市況はいかに。

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