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西原宏一・叶内文子の「FX&株 今週の作戦会議」

米ドル/円は138円程度までの下落を想定して、戻り売り継
続! 「株安、米金利低下」のリスクオフは日本円が最強。
ただ、円ロングが多くショートカバーがきついことに注意

2025年04月07日(月)15:58公開 (2025年04月07日(月)15:58更新)
西原宏一&叶内文子

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相互関税が「予想をかなり超えたショック」で、グローバルに株が大きく崩れ大混乱に

西原宏一(以下、トレーダー西原)叶内文子(以下、MC叶内) みなさん、こんにちは。

トレーダー西原 今年(2025年)の相場は「ファンダメンタルズより政治」がキーワードだと思っていますが、実際の相場の世界は想像以上です。

 先週(3月31日~)トランプ大統領が発表した相互関税は「予想をかなり超えたショック」で、グローバルに株が大きく崩れ大混乱になりました。

【※関連記事はこちら!】
米ドル/円は138円に向けて続落中! 相互関税は「予想をかなり超えたショック」。グローバルに株が崩れる環境が当面続きそうで、リスクオフに強い日本円が最強!(4月3日、西原宏一)

 それでは、そのあたりから確認していきましょうか?

MC叶内 はい、よろしくお願いします。

 トランプ大統領が4月2日(水)に発表した相互関税が想定以上に厳しい内容で、世界中がリスクオフとなりました。

 4月4日(金)に中国が、米国からの輸入品すべてに34%の追加関税を課すと伝わると、貿易戦争のエスカレートが想起され、下げに拍車がかかりました。米国自身の経済にも悪影響があるわけで、これまで「一強」と言われていた米国株市場も大荒れとなり、社債市場などへの波及も見られ始めています。米長期金利は一時4%割れとなりました。

 米国株は2週連続で下落しました。先週末比でNYダウが-7.86%、ナスダック総合指数は-10.02%安、S&P500が-9.08%安。これはパンデミック宣言の翌週の、2020年3月16~20日週以来の下落率です。

 S&P500は4月3日(木)に4.84%安、4月4日(金)に5.97%安と急落し、11カ月ぶりの安値となりました。2月19日につけた最高値(6144.15)から17.42%下落し「調整局面入り」しました。ナスダック総合指数は最高値から-22.73%で、ついに「下落局面入り」したことになります。

S&P500&ナスダック総合指数 週足
S&P500&ナスダック総合指数 週足チャート

(出所:TradingView

 テクニカル的には、マグニフィセントセブン(※)がけん引してきた2年超の上昇相場は終了したと言えます。半導体株指数SOXは先週末比-16.04%安で7週連続下落です。

(※マグニフィセントセブンとは、米株式市場を代表するテクノロジー企業であるアルファベット、アップル、メタ、アマゾン、マイクロソフト、テスラ、エヌビディアの7社を指す)

 「恐怖指数」と言われるVIXは、昨年8月5日(月)以来の45ポイント台に急上昇しました。

 日経平均は3339.75円安(-9.00%)の33780.58円と大幅下落。こちらも2020年3月上旬の-16.00%以来の下落率です。TOPIXも-9.98%と急落、2週連続の下落です。週初から大幅安で始まり、後半にかけてさらに下げ幅を拡大。8月7日(水)以来となる3万4000円台割れで引けました。後半はこのところ強かった銀行株の下げが目立ちました。

 為替市場はいかがでしたか。

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「株安、米金利安」のリスクオフマーケットで、米金利の低下につれ、日本円が最強という流れに

トレーダー西原 トランプ政権が打ち出した今回の相互関税は、多くの市場参加者にとってかなりショッキングな内容です。

 ゴールドマン・サックスも「ゴールドマンパニック=This Is Much Worse Than Expected(予想をかなり超えたショック)」であるとレポートしています。

 相互関税の内容を確認してみると、以下のとおりです。


トランプ米大統領は2日、貿易相手国に対し相互関税を課すと発表した。全ての輸入品に一律10%の基本関税を課した上で、各国の関税や非関税障壁を考慮し、国・地域別に税率を上乗せする。国・地域別の関税率は日本が24%、欧州連合(EU)が20%、英国が10%などとなっている。中国は発動済みの20%に加え、34%を上乗せする。
(出所:ロイター)


 中国の合計54%の関税というのもすさまじいですね。

 これをきっかけに、リスクアセットである株がグローバルに崩れ始めます。

 為替市場では、リスクアセットである豪ドル/円が急落。避難通貨である円とスイスフランが急騰しています。

 以下は、先週の主要通貨の対米ドルの騰落率です。対米ドルで急騰しているのは、日本円とスイスフラン。急落しているのが、豪ドルとニュージーランドドルです。これはリスクオフマーケットの典型的な動きとなります。

先週の主要通貨の対米ドル騰落率

 リスクオフマーケットでも、日本円はこのところあまり買われることがなくなり、すっかり避難通貨としての役割はなくなっていました。

 しかし、今回は「株安、米金利低下」のリスクオフマーケット。そのため、米金利の低下につれ、日本円が最強という流れになっています。

 今週(4月7日~)は、主要国がどのように報復関税に進むのかが焦点になると考えています。

 それでは、今週のスケジュールを確認しましょうか?

MC叶内 はい。今週海外では、4月7日(月)に2月ユーロ圏小売売上高、4月9日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事要旨(3月18~19日開催分)が公表され、4月10日(木)に台湾TSMCの月次売上、3月米CPI(消費者物価指数)、3月の中国CPI、4月11日(金)に4月米ミシガン大学消費者信頼感指数の発表があります。米投資銀行を皮切りに1~3月期の決算発表が始まります。NY連銀のウイリアムズ総裁の講演があります。

 国内では、4月7日(月)に2月の景気動向指数と毎月勤労統計、4月8日(火)に3月の景気ウオッチャー調査の発表があります。4月9日(水)に植田総裁の発言機会があり、4月11日(金)がオプションSQ(※)算出日。セブン&アイ、良品計画、ファストリなど小売りを中心に決算発表があります。4月13日(日)に大阪・関西万博が開幕します。

(※編集部注:「SQ」とは日経225先物などの株価指数先物や株価指数オプションといった取引の最終決済を行なうための価格のこと。株価指数先物は3月、6月、9月、12月の第2金曜日、オプション取引は毎月第2金曜日がSQ算出日となっている)

 注目されるのは通常なら米CPIです。予想は総合で前月比+0.1%、前年比2.6%です。3月はガソリン小売価格が下がり、2ヵ月連続鈍化となる見込み。コアは前月比+0.3%で2月並み、前年比は+3.0%で2ヵ月連続鈍化を予想しています。

 今週の株式市場ですが、米国株は過去、弱気相場入りすると底入れ反転までに半年程度の時間を要しました。今回もある程度の時間がかかることになりそうだとの見方が出てきました。

 上昇のきっかけになりそうなのは関税政策の転換ですが、トランプさんの気が変わることはなさそうです。先週末の雇用統計がほぼスルーされたことを見ても、3月CPIが落ち着いていても大きく好材料視されることはなさそうです。

 ただ、FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げに動くというなら、株の下支えになります。当局者の発言があれば注目されるでしょう。

 一方、米銀行決算で、4~6月期の業績見通しが弱気だと嫌気しそうな雰囲気です。

 日本株は、まず米国株の下げ止まりを確認してからでないと動けないといったところでしょう。個別に決算の小売株、大阪万博関連などに注目です。

 為替市場はいかがですか。

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米ドル/円は138円程度までの下落を想定して、戻り売り継続! ユーロ/米ドルは1.1200ドルを引き続き目指す

トレーダー西原 僕も、米国株相場はいったん弱気相場に入ったのだと考えています。そのため、戻りはあってもボトムアウトするまでは2~3カ月かかるのかもしれません。

 その結果、米金利は低下傾向、米ドルも総じて軟調な展開予測は変えておらず、主要米銀の為替予測も大幅に変更されています。

 まずモルガン・スタンレーですが、米ドル/円のショートを推奨しているようです。146.40円のショートポジションで、ターゲットは135円(以前は145円)、ストップロスは151.00円です。モルガン・スタンレーはもともと米ドル弱気スタンスですが、その目標値を下げた形です。

 次はゴールドマン・サックス。ユーロ/米ドルの見通しを3ヵ月後、6ヵ月後、12ヵ月後で1.12ドル、1.15ドル、1.20ドルに修正し、米ドル/円は3カ月後を138円、6カ月後を136円、12カ月後を135円(前回150円、151円、152円)に修正したようです。

 トレードで気をつけるべきなのは、マーケットに円ロングが多いため、米ドル/円のショートカバーがなかなかきついこと。

 先週の金曜日(4月4日)の米ドル/円は一時144.56円まで急落しましたが、大きな材料もない中、NY市場の終値は146.95円と反発して週を終えています。しかし、週明けのシドニー市場では、一気に145.00円割れまで値を下げています。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 スイスフランはまだ利下げ局面にあるため、現在のリスクオフ環境で最強通貨は日本円であるとのスタンスを維持しています。

 過去のコラムでもご紹介させていただいたユーロ/米ドルは、引き続き1.1200ドルを目指す展開

【※関連記事はこちら!】
ユーロ/米ドルは1.1200ドルへ上昇中! ドイツが数十年ぶりの財政拡大に大転換し、欧州の再軍備化がテーマに。史上最大の円ロング調整終了まで、米ドル/円は安値売り厳禁(3月19日、西原宏一)

 ただしリスクオフ環境では、米ドル/円かクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の戻り売りのほうが効率的。

 株急落の中では豪ドル/円のショートがワークしますが、僕は基本的に米ドル弱気派なので、米ドル/円の戻り売りを継続。変わらず138円程度までの下落を想定しています。

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足チャート

(出所:TradingView

トレーダー西原MC叶内 それでは、今週も株と為替トレードを楽しんでいきましょう。


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