トランプ大統領の25%自動車関税発表で、米国株は急落も、米ドル/円は円ロングポジション調整の思惑で底堅い動き
西原宏一(以下、トレーダー西原) 叶内文子(以下、MC叶内) みなさん、こんにちは。
トレーダー西原 先週(3月24日~)は、突然発表されたトランプ大統領の25%の自動車関税の報道で大荒れとなりました。
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⇒米ドル/円は乱高下の可能性が高い! 3/31に期末の特殊フロー、4/2にトランプ政権の25%自動車関税発動とさらなる関税発表を控え、米国株の動向を横目に短期売買中心で(3月27日、西原宏一)
その点も踏まえて、先週の株式市場から振り返ってみましょうか?
MC叶内 はい、よろしくお願いします。
S&P500は先週末比1.53%安で2週ぶりの反落です。前週ようやく5週ぶりに反発しましたが、続きませんでした。NYダウは0.96%安、ナスダック総合指数は2.59%安でともに2週ぶりの下落。半導体株指数SOXは5.99%の大幅安で6週連続安となりました。
週初は、米国の追加関税の対象が一部の国や品目に限定されるとの報道で上昇して始まりましたが、西原さんがおっしゃるように自動車関税の発表で下げています。
トランプ関税は米国の自動車会社にも悪影響が大きく、特にメキシコからの輸入が多いGMは大幅安となりました。
半導体関連銘柄も、米・中の規制強化報道で売られました。市場にAI設備投資に関する懸念があるところに追い打ちをかけた格好です。
また、個人消費支出(PCE)が予想を下回る一方、PCE価格指数が予想以上に加速するなどスタグフレーションへの懸念が高まっています。
日経平均は先週末比556円(1.5%)安の3万7120円と、3週ぶりに下落しました。TOPIXも4週ぶりに反落しています。
前半はまずまず堅調で一時3万8000円台を回復する場面も見られましたが、関税政策を巡る不透明感から後半崩れました。自動車関連に加え、日経平均への影響度が大きい半導体関連株が売られ、日経平均は一時3万7000円割れの場面がありました。配当・権利落ちの影響もあったと見られます。都区部の消費者物価指数が強めの数字だったことで、日銀の早期追加利上げ観測が強まったことも重しでした。
為替市場はいかがでしたか。
トレーダー西原 株価の急落により、マーケットはリスクオフの流れとなりましたが、米ドル/円はちょっと特異な動きを見せました。
米国株が急落する中、米ドル/円はなぜか底堅い動き。円ロングが史上最大の規模になっていることで、ポジション調整により米ドル/円は踏み上げられるとの思惑が拡大したことが要因でした。
ただ、今年(2025年)高値158.88円から今年安値146.54円の38.2%戻しである151.25円が超えられず、先週末は149円台後半に反落してクローズしています。

(出所:TradingView)
そして先週のユーロの上値を抑えたのが、四半期末のリバランスです。このリバランスによる「ユーロ売り・米ドル買い」が、最近のユーロの勢いを止めるのに一役買っていると言われています。
そのユーロ売りは今週の月曜日、3月31日に終わるため、収まるはず。後は4月2日(水)の相互関税待ちです。
次に、今週(3月31日~)のスケジュールと株の展望をお願いします。
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ユーロ/米ドルは期末の特殊フローが収まり、上昇再開を想定。米ドル/円は基本戻り売りだが、4/2の相互関税の行方を確認したい
MC叶内 今週は重要な経済指標の発表が相次ぎます。
4月4日(金)の米3月雇用統計が注目されますが、景気懸念が出ている中で4月1日(火)発表の米国3月ISM製造業景気指数、4月3日(木)の非製造業景気指数も重要です。日銀の動きが気になり、今回の日銀短観(4月1日朝発表)はいつも以上に注目されそうです。
米雇用統計で、非農業部門雇用者数の予想は+1万3500人と減速傾向ながら、寒波などで押し下げられた2月の+1万5100人からも減速すると見られています。失業率は4.1%で前月と変わらず予想。
平均時給は前年同月比+3.9%の予想で前月+4.0%から鈍化見込みです。関税によるコスト圧縮の必要性から時給は伸びないと考えられています。
ISM製造業景気指数は49.8と前月50.3から低下見込み。PMI製造業の50割れと同様の動きと見られています。ISM非製造業景気指数は53.1の予想で、前月53.5からは小幅に低下見込み。
日銀短観の予想は、大企業製造業の現状判断DIは12で前回14から悪化見込みです。先行き判断DIも予想9で前回13からやや悪化。大企業非製造業は横ばい予想で、比較的景況感は悪化していないと見ています。実際にはそれがどうか、製造業ではトランプ関税の影響をどの程度ネガティブにみているかが気になります。設備投資計画への影響はどうでしょうか。
そのほか、国内では3月31日(月)朝に2月鉱工業生産、4月1日(火)朝に2月完全失業率と2月有効求人倍率が発表されます。海外では3月31日(月)に中国3月製造業PMIが発表、4月1日(火)にJOLTS求人件数、4月2日(水)にADP雇用報告、チャレンジャー人員削減数、4月3日(木)に新規失業保険申請件数、米国2月貿易収支の発表もあります。
加えて、4月1日(火)にラピダスがパイロット生産を開始します。
今週は、トランプ大統領が4月2日(水)に相互関税を導入するとしており、4月3日(木)には輸入自動車すべてに25%の追加関税を課すことになります。貿易相手国がどう動くのか、トランプ政権からどんなディール発言が出るのか、固唾をのんで見守っています。
米国株は3指数とも25日移動平均線に頭を抑えられて下落しました。雇用統計にも警戒感があるなかで積極的な買いは入りづらそうです。 日本は名実ともに新年度相場入りとなりますが、米国株を見ながら不安定な値動きが続きそうです。
為替相場はいかがですか?
トレーダー西原 相互関税は4月2日(水)の発表を待たないといけませんが、米国の相互関税以外のマーケットのテーマは、ドイツの財政拡大パッケージと日本のデフレの終焉と考えています。
今月(3月)はドイツの財政拡大パッケージによるユーロの急反発から始まっています。ただ、期末の特殊フローによるユーロ売りの影響で、月末のユーロは失速。
ただ、火曜日(4月1日)から新しい期が始まるため、その点において、ユーロは上昇を再開すると想定しています。

(出所:TradingView)
次は、日本のデフレの終焉による円金利の上昇が誘引する、米ドル/円の下落。
米ドル/円に関して、警戒すべきは依然として円ロングが史上最大のままに膨らんでいること。そのため、なかなか円高に走りませんが、米金利が急騰する可能性も低いため 米ドル/円の上値は重いままです。テクニカル的にも38.2%を超えられなかったため、戻り売りでしょう。

(出所:TradingView)
そして、大注目は4月2日(水)の相互関税です。相互関税の発表が想定以上のサプライズなものとなれば、 為替相場もまた神経質な展開となるかも知れません。
為替取引においても、注意すべきは米国株の動向。
米国株が続落するようであれば、注目はユーロではなく、リスクに敏感な豪ドル/円のショートが脚光を浴びるかもしれません。

(出所:TradingView)
米ドル/円は基本戻り売りのスタンスのまま。ともあれ、まずは4月2日(水)の相互関税の行方を確認したいところですね。
トレーダー西原 MC叶内 それでは、今週も株と為替のトレードを楽しんでいきましょう。
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