昨日の海外市場でドル円は、クロス円の下落につれて154.54円まで下げた後は、良好な米雇用指標などを受けて155.28円付近まで持ち直した。ユーロドルは米国が今週末にもイランへの大規模な攻撃を実施する可能性が高まっていることを受けて、欧州時間から強まったリスク回避のドル買いがNY時間も継続し、一時1.1742ドルまで下落した。
本日の東京時間のドル円は、基本的に押し目買いスタンスが優勢となる公算が大きい。ただし、高市政権の政策運営や財政方針を巡る市場の評価に加え、本邦通貨当局によるけん制発言やレートチェック観測が相場の変動要因となり得る。また、週末にかけてはトランプ米大統領がイランへの限定的攻撃を検討しているとの報道も伝わっており、中東情勢の緊張度合いが為替市場に与える影響も注視したい。内政リスクと外部要因が交錯する中、短期的な値動きは振れやすく、ポジション管理には一段の慎重さが求められる局面といえよう。
本日は高市首相の施政方針演説に加え、外相の外交演説、財務相の財政演説、経済財政政策担当相の経済演説と、政府4演説が予定されている。施政方針演説の原案では、17の戦略分野への重点投資を通じた成長加速を掲げ、先端技術・成長産業への官民投資ロードマップを3月に提示する方針が示されている。消費税減税については、所得税減税と給付を組み合わせた「給付付き税額控除」導入までの負担軽減策と位置付け、飲食料品に限る2年間のゼロ税率も夏前に中間整理を行い、関連法案の早期提出を視野に入れる構えだ。
財源面では特例公債や赤字国債に依存しない姿勢を強調し、複数年管理の枠組みを通じて債務残高の対GDP比引き下げを目指すとしている。ただし、市場では財政規律の実効性に対する懸念が根強い。安全保障や憲法改正などの政策テーマを前面に掲げ支持基盤の維持を図る一方、「最大野党」ともいえる金融市場は財政拡大に警戒的であり、国債売り・円売り圧力が継続する可能性がある。
足元では円売りバイアスが強いなかで、本邦通貨当局のスタンスも相場の焦点となろう。18日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、米連邦準備理事会(FRB)が米財務省の要請を受け、為替市場でレートチェックを実施していた事実が明らかとなった。FRB主導では当然なく、ベッセント米財務長官が日本側の意向を踏まえて動いたと指摘されている。
一部市場では、選挙期間中のアルゼンチンで米国のドル売り・ペソ買い介入が実施された事例になぞらえ、高市政権が選挙戦を優位にするため同様の協力を米国に働きかけたとの観測も浮上。さらに、日本による総額5500億ドル規模の対米投資コミットメントの初弾案件公表が、その「貸し借り」の一環との見方もくすぶる。仮に今回のレートチェックが選挙要因を背景とする戦術的対応であれば、米国のドル高警戒感は限定的との解釈も成り立つ。いずれにせよ、円安進行に対し本邦当局がどの水準・タイミングで口先介入のトーンを強めるのか。市場はその本気度を慎重に見極める局面にある。
加えて、中東情勢の不確実性にも警戒が必要だ。ウォール・ストリート・ジャーナルは、トランプ米大統領が核合意を巡りイランに対する限定的攻撃を検討していると報道。前日は地政学リスクの高まりを背景にドル買いで反応したが、トランプ政権の強硬姿勢が内外で波紋を広げる中、これが持続的なドル高トレンドに発展するかは見通し難い。
本日の経済指標では、1月の全国消費者物価指数(CPI)が最大の焦点。今週公表された10-12月期実質GDP速報値は市場予想を大きく下回ったものの、円安抑制の観点から追加利上げ観測はなお燻る。1月CPIはヘッドライン・コア・コアコアいずれも前年比で前月より鈍化が見込まれているが、市場予想をさらに下回る結果となれば、利上げ期待は後退し、円売り圧力が再び強まる公算が大きい。
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