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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

米ドル/円は152円の節目割れで、高市ギャップの147円程度へ反落か。衆院選後の日本債券高と、米政治不安による米ドル売りヘッジが重しに。150円割れは中期で買い場

2026年02月19日(木)13:14公開 (2026年02月19日(木)13:14更新)
西原宏一

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米ドル/円に奇妙な異変。衆院選後の思わぬ「日本株高・債券高・円高」

 みなさん、こんにちは。

 衆議院選挙(衆院選)で自民党が大勝し、日本株が急騰するなか、米ドル/円には奇妙な「異変」が起きています。

 通常であれば、自民党政権の「責任ある積極財政」路線は「株高・債券安・円安」圧力となるはず。ところが、米ドル/円は違う動きをしています。

 衆院選直後に157.76円まで上昇した米ドル/円は、その後152円台前半まで急落。今週も152~156円のレンジで方向感のない展開が続いています。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView(トレーディングビュー))

 その要因は日本長期債の動きにあります。詳細は今週の作戦会議コラムにゆずりますが、日本長期債が落ち着いているため、円ショートの買い戻しが起きているようです。

【※関連記事はこちら!】
米ドル/円は短期で戻り売り。高市政権の基盤が盤石となり、財政悪化懸念が後退して日本株高、債券高、円高へ。中長期での円安は変わらず、147円レベルから買いを検討(2月16日、西原宏一&叶内文子)

 衆院選前までは「日本債券安・円安」という流れであったため、日本債券高(利回り低下)になると当然、円高になります。

 そして、マーケットではもうひとつの「シナリオ」が語られ始めています。

 それは「米ドルのヘッジが増えるのではないか」ということです。

米ドルのヘッジが増えて静かに米ドル安へ。米ドル/円は節目の152円割れなら、高市ギャップの147円へ。中期での買い場となるか?

 マーケットでは、相場のドライバーが経済指標から政治へ移行していると言われています。

 トランプ2.0以前までは、米ドルは「景気が強い」「金利が上がりそう」といった経済指標の動向に左右されていました。

 過去5年間で米ドル/円が120円から160円まで駆け上がったのは、一時米金利が急騰したことも大きく影響しています。

 しかし、トランプ2.0以降、米ドルはそれに加えて、米政府とFRB(米連邦準備制度理事会)の関係や政策の不安定さといった政治に左右されがちとなっています。

 結果として、いい経済指標が出ても米ドル高にならず、逆に政治的な不安感が高まると米ドル安になりやすい状況です。

 現在、AI新興企業アンソロピックの破壊的イノベーションにより、SaaS(※)株の歴史的な暴落が起きています。

(※SaaS(Software as a Service)とは、クラウド上でソフトウェアやアプリケーションをインターネット経由で提供する企業のこと)

 ただし、すべての米国株が反落しているわけではありません。

 そのため、多くの投資家の行動としては「米国株を売る」より「まずは米ドルを売って為替リスクをヘッジする」という動きが増えていると言われています。

 ヘッジですので、一気に相場を動かすようなものではなく、米ドルが反発する局面があれば静かに米ドル売りヘッジをする――こうした動きがあるため、相場は日々のヘッドラインで動くものの、年初来では全通貨に対して米ドルが軟調となっているようです。

 もうひとつの米ドル売り圧力は、資産運用会社が米ドルに対して過去10年間でもっとも「弱気」になっていることです。以下はFT(フィナンシャル・タイムズ)の記事からの抜粋です。


資産運用会社が米ドルに対して過去10年間で最も「弱気」に
米ドルが米国の予測不能な政策立案のあおりでダメージを受けるなか、資産運用会社がドルに対して過去十数年間で最も弱気なスタンスを取っている。ドルは2026年に入り、ユーロや英ポンドを含む主要通貨バスケットに対して1.3%下落した。25年も9%下落しており、現在は4年ぶりの安値に近い水準で推移している。13日に公表された米バンク・オブ・アメリカ(BofA)の調査によると、ドルに対する資産運用会社のエクスポージャー(投資残高)は、トランプ米大統領が大規模な相互関税で世界を動揺させた25年4月の最低水準を割り込んだ。調査では、ドルに対する資産運用会社のポジション(持ち高)は、少なくともBofAが統計を取り始めた2012年以降で最も売りが優勢であることが明らかになった。
(出所:FT)


 ここでも「米ドルが米国の予測不能な政策立案のあおりでダメージを受ける」と指摘されており、経済指標よりも米国の予測不能な政策立案が米ドルの重しとなっているようです。

 結果として、米ドルは急落しないでしょうが、じり安の展開に。衆院選前までは米ドル安・円安でしたが、衆院選後は米ドル/円もいったん上値が重くなっています。

 米ドル/円の節目は神田シーリング(※)の152.00円。ここをブレイクすると、高市ギャップ(※)の147円程度まで反落する可能性があります。

(※「神田シーリング」とは、数年前まで為替介入への警戒感が高まる水準として意識された1米ドル=152.00円のこと)

(※「高市ギャップ」とは、高市早苗氏が2025年10月4日(土)に自民党総裁に選出され、高市トレードへの期待感から米ドル/円が窓を開けて上昇する直前に推移していた、1米ドル=147円程度のこと)

 ただし、中期での米ドル安・円安トレンドは変わらず。相対的な米ドル安トレンドの中で、米ドル/円が150円を割り込むような局面になれば、中期での米ドル買いのチャンスと想定しています。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView


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