6日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、158.09円の高値を付けた後に2月米雇用統計(非農業部門雇用者数:9.2万人減、失業率4.4%)が予想より弱い内容だったことで、157.41円付近まで下押しした。ただ、中東有事のドル買い圧力根強く158.09円まで反発した。ユーロドルは、中東情勢の緊迫化を背景に原油高・ドル高の流れが継続して1.1546ドルまで下落後、週末を控えたポジション調整の買い戻しから1.1621ドルまで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、先週同様に中東有事のドル買いと早朝から100ドルを超えて急騰しているWTI原油先物価格による円売りが継続することが見込まれる中、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に警戒していく展開が予想される。
週末に発表された米2月の雇用統計は、失業率が4.4%、非農業部門雇用者数は9.2万人の減少となり、雇用情勢の安定化を示していた1月の雇用統計が特殊要因によるものとの懸念を裏付ける結果となった。
2月の雇用統計を受けて、フェドウオッチでの予想は、9月の利下げ時期が7月に前倒しされたものの、中東情勢の緊迫化を背景に原油価格が急騰していることで、中東での戦争が終息に向かわない限り、米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ観測は後退したままとなる。
すなわち、7月FOMCを率いることが見込まれるウォーシュFRB議長でも、原油価格が上昇していた場合は、トランプ米大統領が求める利下げには応じられない可能性が高いことになる。
さらに、建国250周年を迎える7月4日付近までイラン戦争が長期化していた場合、政治的には11月の中間選挙でのトランプ米政権の敗北の可能性が高まり、経済的には、物価高と景気減速が併存するスタグフレーションの可能性が高まることになる。
本日のドル円は、中東情勢の激化懸念や原油価格の上昇懸念などを背景に158円台に乗せており、テクニカル分析ではダブル・ボトム(152.27円・152.62円)が完成した後、159.45円を起点とする三角保ち合いの上放れの可能性が高まりつつあることで上昇トレンドに拍車がかかりつつある。
ドル円の上値を抑える要因としては、1月23日にベッセント米財務長官主導による日米協調のドル高・円安抑制としての「レートチェック」の次の段階であるドル売り・円買い介入となる。当時、ベッセント米財務長官は日本側の要請があれば日米協調の為替介入も視野に入れていた、と報じられており、日米通貨当局のドル高・円安阻止の本気度を探ることになる。
トランプ米大統領は、イランとの戦争が当初想定の4-5週間を超える可能性を示唆し、ヘグゼス米国防長官は8週間以上続く可能性を示唆している中、今後の政治日程を見据えての終結の時期が模索されている。
2022年2月、プーチン露大統領は3日間程度で完了するとの目論見でウクライナに特別軍事作戦を仕掛けたが、5年目に突入しても終息の目処が立っていない。
今月のトランプ米大統領の政治日程に関しては、19日に予定されている日米首脳会談での懸念は、トランプ米大統領が高市首相に対してホルムズ海峡でのタンカー護衛として自衛艦の出動を要請した場合となる。
高市政権は、「重要影響事態」や「存立危機事態」を模索していると報じられている。
かつて安倍元首相は、2015年の安保関連法改正とともに、集団的自衛権行使の必要性を強調するため、ホルムズ海峡封鎖を例に挙げたことがある。「ホルムズ海峡が機雷で封鎖され、原油が日本に入らなくなった場合、日本経済と国民生活に深刻な影響を及ぼし、国家の存立を脅かされる可能性がある」という理由付けである。
さらに、トランプ米大統領は3月31日から訪中して、4月1日、2日に米中首脳会談に臨む予定となっている。中国は、イランから原油を輸入し、イランとサウジアラビアとの外交正常化を仲介した実績があるため、終戦に向けた説得が期待されるものの、不首尾に終わった場合、米国はイランとの軍事衝突と中国との通商戦争に直面することとなる。
そして、米国のイランとの闘いが、かつて敗北したベトナムやアフガニスタンとの闘いのように泥沼化した場合、1991年の湾岸戦争のような中東有事のドル「売り」になる可能性にも警戒しておきたい。
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