昨日の海外市場では、ドル円は原油の騰勢が弱まると、株高・ドル安の様相となり一時158.72円まで値を下げた。ただ、ユーロ円など一部クロス円の上昇につれた買いが入り、159.12円付近まで下値を切り上げる場面があった。ユーロドルは一時1.1547ドルまで上昇した。
本日の為替市場は、中東情勢、とりわけイラン情勢とそれに連動する原油先物価格の動向をにらみながら、神経質な展開が続く見通しだ。加えて、本日から日銀金融政策決定会合が開始されるほか、NY時間にはカナダ中銀の政策金利発表、さらに米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表が控えており、主要中銀イベントが集中することで相場が急変する可能性も視野に入れておく必要がある。
アジア時間は、日銀金融政策決定会合の初日と日本の2月貿易収支の発表以外に、目立った材料は予定されていない。ただし、中東情勢を背景に原油先物が神経質な値動きを繰り返す公算が高く、為替市場もエネルギー価格の動向に連動する展開が続きそうだ。
イラン情勢を巡っては、昨日トランプ米大統領が米中首脳会談の延期を要請したことからも明らかなように、当初想定されていた短期決着シナリオは後退し、紛争の長期化リスクが意識されている。大統領自身の発言も短時間で内容が二転三転するなど、戦略的な出口戦略が見えない状況だ。ホワイトハウス内部では、軍事圧力を継続する強硬路線と、形式的な勝利を演出して早期収束を図る現実路線との間で思惑が交錯しているとも伝えられる。
もっとも、仮に早期終結を模索する動きが強まったとしても、イラン側が攻撃被害への補償や政治的成果なしに譲歩する可能性は低いとみられる。そのため情勢の不透明感は当面払拭されにくく、原油価格の高止まりが続く場合、資源輸入国である日本の通貨である円には引き続き下押し圧力がかかりやすい。
一方、日本の政治面では、参議院予算委員会における高市首相の発言が旧統一教会の「先祖解怨」に関連するものではないかとして波紋を広げている。こうした中、明日19日には日米首脳会談が予定されており、外交面での動きにも市場の関心が集まっている。
15日の日米防衛相電話会談、16日の日米外相電話会談を経て、米側からの説明を受けたとされるものの、日本政府は具体的な内容を明らかにしていない。一部では、ホルムズ海峡への艦船派遣を巡る米側からの要請があったとの観測も浮上している。欧州諸国を含む同盟国の多くが慎重姿勢を崩していない状況を踏まえると、日本政府の判断には引き続き注目が集まる。
任期が最大でも残り2年余りとみられるトランプ政権との関係と、長期的な地域安定やイランとの関係維持とのバランスをどのように取るのか。日本政府の外交スタンス次第では、地政学リスクの評価やエネルギー価格を通じて、為替市場にも影響が波及する可能性がある点には注意しておきたい。また、低下してきている高市政権の支持率への影響も避けられず、一気に政権の求心力がなくなる可能性もあり得る。
本日から始まる日銀金融政策決定会合は今月の利上げを見送り、4月以後は中東情勢を見極めての対応となるとの予想が強い。通常であれば中央銀行の政策決定会合期間中はかん口令が引かれていることで、結果発表までは動意づきにくい。しかしながら、日銀に限れば、関係者筋の話としてメディアへ観測記事を敢えて掲載させることもあることで、記事内容によって市場が動意づくリスクには備えておきたい。
円買い要因としては、ドル円が依然として2024年7月以来のドル高・円安水準で推移している点が挙げられる。日銀金融政策決定会合の結果発表や日米首脳会談を目前に控える中、当局による実弾介入の可能性は現時点では高くないとみられるものの、警戒感を後退させる局面ではない。とりわけ足元の急速な円安進行は、政策対応への思惑を市場に織り込ませやすい環境にある。
日米首脳会談では、イラン情勢への対応にトランプ大統領が注力している状況を踏まえれば、首脳会談において為替水準そのものが主要議題となる可能性は限定的とみられる。ただし、仮に為替が直接的な議題に上らなかったとしても、円安の過度な進行をけん制する意図から、両国間で一定の認識共有がなされたとのメッセージが発信される可能性は否定できない。
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