本日のNY市場におけるドル円は、為替介入への強い警戒感が引き続き上値を抑制する一方で、介入を見越してドルショートを積み上げている向きも多く、徐々にその効果が薄れつつある点には警戒が必要だろう。また、二転三転するトランプ政権の対イラン政策も、相場の不確実性を高める要因として注視しておきたい。
詳細な確認は取れていないものの、ゴールデンウイーク期間中には複数回となる円買い介入が本日も観測された。4月30日には5.15円、(4日には1.53円・・・介入でない可能性もあり)、そして本日は2.90円と、断続的にドルは下落している。しかしながら、30日から本日の安値までの累計下げ幅は5.68円にとどまっており、薄商いの中で実施された介入の効果は限定的と言わざるを得ない。背景としては、市場が複数回の介入を既に織り込んでいたことに加え、高市政権がイラン情勢を踏まえた追加的な財政拡大の可能性を示唆している点、さらには依然として根強いドル買いセンチメントの存在が挙げられる。加えて、連休明けに戻ってくる実需勢は、円高局面では着実に円売りを持ち込む可能性が高く、介入による円買い効果は次第に剥落していく展開も想定される。
一方で昨日は、ヘグセス米国防長官が米国とイランの停戦継続を示唆したほか、トランプ米大統領が核合意進展への期待を理由に、ホルムズ海峡における商船誘導作戦「プロジェクト・フリーダム」を一時停止したことが伝わり、原油先物価格は軟調に推移、ドル買いの巻き戻しが優勢となった。また、本日は米メディア・アクシオスが「米国とイランは戦争終結に向けた覚書作成に近づいている」「覚書では双方がホルムズ海峡の封鎖を解除する見込み」と報じたことで、ドル売りが進んでいる。
ただし、元々プロジェクト自体が実効性を伴って進展しているとは言い難く、実態としては対外的な「進展演出」の側面も否めない。実際、米国内ではレギュラーガソリン価格が1ガロン4.536ドルと、家計に重い負担を強いる「異常水準」である4.5ドルを2022年7月以来再び上回った。こうした状況を踏まえれば、対イラン交渉が実質的に前進しているというよりも、発言先行の色彩が強いとの見方も成り立つだろう。
また、アクシオスの報道は当局者の情報とされるものの、トランプ政権当局者の発言は二転三転することがあることため、鵜呑みにすることは危険だろう。この情報の真偽がイラン側から伝わらない限りは再びトランプ政権による演出だけで終わる可能性もあり注意したい。
なお、本日は週末の雇用統計の前哨戦と位置付けられる4月ADP全米雇用報告が発表される。結果が市場予想から大きく乖離した場合には、短期的な値動きを誘発する可能性はある。ただし、米連邦準備理事会(FRB)の政策運営においては、足元では雇用よりもインフレ動向に関心がより強く向けられているため、ADPの影響は一時的な反応にとどまる公算が大きいだろう。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、本日の介入観測で最初に下げ渋った157.00円近辺、その上はこれまでの本日高値157.94円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値めどは、これまでの本日安値155.04円。その下は200日移動平均線154.24円。
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