昨日の海外市場でドル円は、イラン国営放送IRIBが「米軍はイラン周辺から撤退して海上封鎖を解除する」などと報じると、WTI原油先物価格が一時1バレル=87.77ドル前後まで急落し、一時159.25円付近まで値を下げた。ただ、米ホワイトハウスがこの報道を否定すると、原油先物が91ドル台前半まで下げ幅を縮小し、159.58円と4月30日以来の高値を更新した。ユーロドルも一時1.1622ドルと日通し安値を更新した。
本日の東京市場でも、ドル円は引き続きレンジ取引に終始する公算が大きい。ただ、米国とイランの和平交渉の進展や、日銀の今後の金融政策の方向性に絡む報道などを受け、市場が動意づく可能性も否定できない。また、為替介入への警戒感に加え、米国時間には4月米個人消費支出(PCE)デフレーターの発表も控えており、トレードレンジに変化が生じる可能性もありそうだ。
米国とイランの和平交渉については、引き続き情勢が二転三転する展開となりそうだ。そもそも、濃縮ウラン問題や制裁解除、ホルムズ海峡を巡る安全保障問題など、一筋縄では解決できない課題が山積しており、容易な合意成立を期待すること自体が難しいのかもしれない。ただ、米国では中間選挙に向けた政治情勢が活気づいていることもあり、トランプ米大統領が和平交渉を前進させようとする、あるいは交渉が停滞した場合でも進展期待をにじませる発言を行う可能性はありそうだ。昨日行われたテキサス州共和党上院予備選では、トランプ大統領が支持したパクストン氏が現職のコーニン上院議員を破っており、トランプ氏としてもこの勢いを維持したいところだろう。
もっとも、ここ最近は原油先物価格が下落する局面でも、ドル買いの巻き戻しは限定的となっている。引き続き原油価格の動向がドル円市場に影響を与える展開が予想される一方、高市首相による財政拡大路線の継続を懸念する声も無視できないだろう。
緩やかながら円安基調が継続し、ドル円は4月30日に政府・日銀が今年初めて為替介入を実施したとみられる水準まで戻してきている。介入効果が1カ月足らずで薄れたことは、為替当局としても避けたいところだろう。更なる円安進行に対しては、追加介入への警戒感が高まりそうだ。
日銀の今後の金融政策を占ううえでは、昨日から開催されている日銀主催の国際コンファランス「金融政策の新たな視野」にも注目が集まる。本日も会合が予定されており、9時からは氷見野日銀副総裁が炉辺談話形式のセッションにモデレーターとして参加する。セッションにはジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)副議長とレーン欧州中央銀行(ECB)専務理事が出席予定。進行役であるため発言機会は限られるとみられるが、何らかの発言があれば市場の関心を集めそうだ。なお、来週3日には植田日銀総裁が「きさらぎ会」で講演を行う予定であり、市場では同講演が次の重要イベントとして意識されることになりそうだ。
さらに、アジア時間は限られたレンジ内での取引にとどまった場合でも、本日は米国でFRBが重視するインフレ指標である4月米PCEデフレーターなどが発表される予定となっている。NY時間には相場が急変する可能性もあるため、注意しておきたい。
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