昨日の海外市場でドル円は、世界的に株価が下落するとリスク回避の円買い・ドル売りが優勢となり一時156.69円と日通し安値を付けた。NY勢参入直後は157.36円付近まで下げ渋る場面もあったが、米10年債利回りが節目の5%を割り込むと再び上値が重くなった。ユーロドルは、仏10年債利回りが一時5.1%台まで上昇し、2002年以来約24年ぶりの高水準を記録したことで、ユーロ売りが先行し一時1.1189ドルと日通し安値を更新した。ただ、米長期金利の低下でその後は下げ渋った。
本日の東京外国為替市場のドル円は、主要株式市場を中心にリスク回避の動きが先行することで、上値の重い展開が予想される。
昨日の東京市場では、オープンソースのプログラミング言語「PHP」における脆弱性の発覚がハッキング不安を煽ったことも重石となり、日経平均株価は63000円の大台を割り込んで大幅続落となった。米国市場に目を転じても、ダウ平均こそ小幅に続伸したものの、ハイテク銘柄を中心に人工知能(AI)関連投資の収益化の遅れや懸念が改めて意識され、ナスダック総合指数は大幅に反落して取引を終えている。
さらに、米中間選挙の期日前投票が本格化する中、民主党の優位が伝えられている点も市場の警戒感を高めている。仮に民主党が上下両院で多数派を占める「ブルーウェーブ」が実現した場合、AI関連分野への規制強化政策が打ち出されるとの見方から、選挙期日が近づくにつれてAI株をはじめとする株式市場全体の上値を抑える要因となりそうだ。
こうしたリスクオフの地合いを背景に、原油先物価格が大幅に反発したにもかかわらず、安全資産とされる債券への資金逃避(債券買い・金利低下)が加速。米長期金利の指標である10年債利回りは5%の節目を割り込み、一時4.93%台まで低下した。本日の東京市場でも株式市場の軟調推移や米金利低下の余波を受け、ドル円の戻りは鈍いものとなりそうだ。
ドル円の下押し圧力が意識される中、本日は本邦の9月全国消費者物価指数(CPI)の発表が予定されており、その動向に市場の強い関心が集まっている。市場予想では、総合、生鮮食品を除くコアCPI、さらにエネルギーを除くコアコアCPIのいずれも前月からの伸び加速が見込まれている。仮にCPIが予想から大きく下振れない限り、来週に控える日銀金融政策決定会合に向けたタカ派的思惑が強まる公算が大きい。
これまで日銀および財務省が情報発信戦略(観測報道)を通じて意図的に浸透させてきた「2027年度の物価見通し上方修正」という見解が現実味を帯びることになり、これもドル円の上値を抑える決定的な一手となりそうだ。
アジア時間のイベントは、本邦CPIとシンガポールCPIの発表程度に限られる。ただしその後、欧米時間に入ると主要国の各種購買担当者景気指数(PMI)速報値の公表が相次ぐ。さらに、先週末のフランスで見られたデモ隊の暴徒化のように、地政学・社会情勢を巡る不透明感も根強い。週末要因を控えたポジション調整や突発的なヘッドラインによる変動リスクには十分に警戒しておきたい。
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