直近の危機を乗り越えたかのように見えるのは、各国政府が大型財政出動を行った結果に過ぎず、これが今後も続くかとなると、不可能である。
米国などの国々が、非伝統的な金融政策の発動も辞さないといった姿勢を見せているが、今後、その副作用に苦しむ時期がやってくるはずだ。
財政政策も、金融政策も、限界に近づいており、そのような状況下で、次の金融危機が2011年に再び起きてもおかしくはないと思っている。
■米ドル/円は第2四半期に「円高トレンド」に復帰する
ここまでのことをまとめると、大まかな筋として、筆者は次のようなシナリオを描いている。
まず、2011年第1四半期は、米ドル全体(ドルインデックス)が弱含みの展開となるだろう。米国の失業率が高まり、米国経済の回復に対する過大な楽観論が後退すると見ているためだ。
ただし、米ドル/円に限っては、日米金利差に敏感に反応するという特徴から、やや上振れるような展開になりそうだ。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
第2四半期は、米ドル全体は何らかの事情によって上放れする可能性が高い。
基本的には、何らかの形で危機が発生し、株式や商品の反落による「米ドルへの逃避」が発生する可能性が高いと思っている。その際、リスク回避で円も買われやすくなるため、米ドル/円はアタマ打ちとなって「円高トレンド」に再び復帰してくるだろう。
そして、危機の進行が米ドルの売り圧力と化し、米ドル全体は2011年後半にアタマ打ちとなって、やがて急落し、年末もしくは2012年前半までに、ドルインデックスは史上最安値を更新していくと予想している。
■米ドル/円とユーロ/米ドルの2011年の予想レンジは?
かなり荒い予測となっているが、あえて言うならば、米ドル/円は68~92円、ユーロ/米ドルは1.2000~1.5000ドルのレンジ内で推移すると予測しておきたい。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
また、米ドルは対円を含めて、総じて「先高後安」の展開になりやすいと思っている。細かい分析とフォローはこのコラム以外で、年明けの新春セミナーで披露するつもりなので、乞うご期待。
今号は2010年の最後のコラムとなる。
読者のみなさんや編集部の方々に、大変お世話になったことにお礼を申し上げる。
来年もたくさんの方々と切磋琢磨できるよう、がんばりたいと思っている。
それでは、みなさん、メリークリスマス&よいお年を!
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