米ドル/円が3月16日(水)の海外市場でついに80円を割り込み、翌17日(木)のオセアニア市場で一時76.25円まで急落した(「米ドル/円が歴史的な79円台に突入!福島第一原発の懸念でリスク回避の円高」も参照)。
変動相場制に移行して以降の米ドル/円の最安値は1995年4月19日につけた79.75円で、今回、約16年ぶりの史上最安値更新となった。
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東北・関東地方を襲った大震災や福島県の原子力発電所の事故で日本の先行き不透明感が強まったことが主因。
これにより、日本の生命・損害保険会社が保険金の支払いに備えて海外資産を売り、円に変えていることに加えて、その他の日本企業も手持ち資金を厚くするために「外貨売り・円買い」を進めているもよう。
さらに、投機筋の円買いや、79円台半ばに観測されていた大量のストップ・ロス・オーダーが行使されて、急落したと見られている。
また、欧州連合(EU)欧州委員会でエネルギー担当相のエッチンガー委員が、「福島原発の事故は事実上、制御不能」と述べたことも「円買い・米ドル売り」に拍車をかけたもよう。
当初、米ドル/円が80円台前半に軟化した場面では、日本の単独市場介入や協調介入がウワサされていたが、今回は実需の「外貨売り・円買い」での急落のため、介入が見送られたとの見方が多いようだ。
ベンダーニュースによると、財務省幹部は3月17日(木)朝、海外市場で円が急騰したことについて、「コメントしない」と述べ、7カ国財務相(G7)当局者が電話会議を開くかどうかについても「コメントしない」と答えたとのこと。
ただ、国内企業から当局に介入を望む声が多く出てきており、「介入でしか流れを止められない」との見方は強いようだ。
(ザイFX!編集部・小林由二)
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