先週の雇用統計はかなり悪いものとなった。就業者数が18万から20万人の増加がコンセンサスであったところ、実際はたったの5万人あまり。先日のADP指数の悪化などを受けてコンセンサスも引き下げられてきていたが、さらに悪いものとなり、立て続いている経済指標の悪化を裏付けることとなった。
最近は景気のスローダウンを示すような経済指標の鈍化が顕著に見られるようになって来ていたので、マーケットは統計の悪さほどのダイナミックな反応はしなかった。米国株も落ちるには落ちたが、発表前からグローベックスの中でかなり落ちていたので、結果的にはフレッシュに落ちた分と言えばわずかなものだ。
ドル円は先週は毎日、安値が80円台のミドルまでを繰り返していたので、そこが重要なテクニカルポイントであるのは明白だった。発表後にはそのサポートも瞬時にブレーク。安値模索が始まった。次にひっかかりそうなサポートといえば、心理的な節目である80.00、次には5月の安値である79.55近辺である。どこまでかと緊張をもって見ていたが、80.05が直後の安値であった。
一方でユーロドルは1.45台に乗せてきたものの、その辺で足踏み。50ポイント上がるのがせいぜい。ドル円と同じく値幅に乏しい。ファーストアクションではドル売り相場になったものの、やはり多くのプレーヤーも経済指標の悪化を見込んでいたにちがいない。
米国株が始まると、それまで大幅に下げていた株価が戻してきて、マーケットではリスク許容度が増大。クロス円主導の上げ相場となってきた。ドル円はもとのレベルまで戻し切り、ユーロドルも1.45台の後半まで上がってきた。ここでギリシャの支援問題が前進したという話が流れてきて、ユーロは一段高となった。
私はユーロドルやユーロ円でガチャガチャとやってみたが、損益的にはプラスマイナスでゼロという感じだった。金曜日の最後にユーロドルの上げで持っていかれたのが、ちょっと痛かったが…。
週明けの相場の動きが注目されたが、株価も為替もおとなしい。日経先物が金曜日の安値を下抜いてきたが、値幅は小さいものに留まっている。今晩はイベントがほとんどない。フレッシュな材料はない分だけ、金曜日の雇用統計の中味を再吟味しにいく相場展開になるかもしれない。
それでもやはり悪いということになれば、米国株は売り直されてさらに一段安し、マーケットはリスク回避の方向に向かうこととなるだろう。そうなるとクロス円の下落につながるのだが、ユーロ円の売りどころとしては116円台に突入してからだろうか。
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