昨日の海外市場では、月曜日の相場の延長のような状態になった。リスクテークの向きが強まり、米国株は連日の大幅上昇。それにつれてクロス円も大きく上昇することとなった。週初には113円台であったユーロ円も116円台まで回復。ポンドが頭の重い値動きをしているともあって、欧州通貨のなかでもユーロが独歩高だったことになる。
ユーロには固有の上げ要因はいくつかあった。まずはトリシェ総裁の発言である。そもそも7月利上げはありうるとされてきたところだが、本人が直接にインフレに対する脅威を強調して次回の会合の利上げを示唆したのだ。このステージでユーロドルは一気に1.43台に乗せてきた。
私はそれまではユーロドルをショートにしてみては、タイトストップを置きながら、落ちてきたところを買い戻したりしていたのだが、この発言以降はちょっと売り込みづらくなった。こうなると来週のECB会合まで、ずっとユーロが堅調になってしまう可能性すらあるのだ。ニューヨーク勢が参入してくることになると、ユーロ買いは損切りも巻き込んで、ますます強ぶくんできた。
またマーケットのリスク許容度を上げるのに貢献した要因のもうひとつは、ギリシャ支援に関して、ドイツがフランスの提案を飲んで、最終的な合意に至りそうだと言う観測であった。ニューヨーク市場では米国株はひたすらラリーの展開となって、ユーロドルは1.43台の後半まで伸びて、その後は多少の利食いが出るも、値崩れは起こさず。
いかにも欧州の信用問題には楽観論が台頭して来ている形でマーケットは進んでいるが、その注目されるギリシャ議会の大詰めが今日と明日で行われる。特に今晩の20時からの歳出削減の法案審議は為替相場に影響を与えそうだ。
コンセンサスとしては何とか法案も無事に通過すると見られているが、ギリシャ国内では過激なデモやストライキが頻発している。ユーロドルが200ポイント級の急激な上げを示さないことを見ても、いまだに注意しながらの歩みであることには間違いない。
やはりユーロの上値は売りなのかもしれない。客観的に考えればデモに参加するギリシャ人が皮膚感覚で感じているように、今回の歳出削減案が実行されても、根本的にデフォルトの危機がなくなるわけではない。
とりあえずは今週末に迫ったデフォルトを回避はできるというだけのことで、さらにギリシャ国内の混迷は今後深まる可能性もある。スペインやポルトガルなどでも、基本の構造はまったく一緒である。夜中の0時まで待ってみて、あまり伸びないようであれば、ユーロドルのショートで一晩持ってみたいなと考えている。
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